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8月2日に正式リリースされた潜水艦シム『UBOAT』。その名の通り、第二次世界大戦のドイツ海軍のUボートを操作するゲームです。
此度の正式リリースにあたり、様々な機能が追加されました。特に注目すべきは、潜水艦の艦種を選択できるようになったという点。それまでのVII型に加え、「丸木舟」というニックネームで呼ばれたII型も操作できるようになりました。
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ところがこのII型……特にII A型は、まさに最弱の潜水艦だったりして!?
航続距離が短い!
1981年の西ドイツ映画「Uボート」の主役は、「笑うノコギリザメ」のエンブレムで有名なU96でした。
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このU96の艦種はVIIC型。大戦を通じてドイツ海軍の主力を担いました。大西洋の戦いで米英を脅かしたのも、このVII型です。一方、大戦初期ではまだVII型は数が揃っておらず、それより小型のII型が海の戦いを支えました。
ゲームでも、このII型が克明に再現されています。しかし、下手にこれを選んでしまうと多くの人は後悔してしまうはず。なぜかといえば……あまりに航続距離が短いんだこれが!!
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II A型の航続距離は、僅か1,600nm(約3,000km)。ヴィルヘルムスハーフェン港から北海へのパトロールへ行くのに、数千kmを走らなければならないのが当然のこのゲームにおいて、不安な航続距離と言わざるを得ません。
やむを得ず、パトロールの途中でヘルゴラント島に立ち寄り(位置からして来た航路を引き返すことになります)燃料を補給。これがVII型だったら、無補給で任務を完遂できます。パトロールのさなかに緊急通信が入り、重要物資を積んだ護送船団がいるという情報を掴んでも、航続距離のせいで追跡できなかった……などという事態も。
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最悪、海上の只中で燃料切れを起こしてしまう場合も有り得ます!
発令所の中に厨房が
しかし、それもそのはず。そもそもII型は、沿岸用潜水艦です。良好な操縦性が評価されて訓練用には最適だったのですが、遠洋のパトロールにはまったく不向きでした。魚雷の搭載本数は5本。VII型のそれが14本ということを考慮すると、「よくこんなんで戦争なんかできるよなっ!?」というレベルです。
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発令所の中に小さな厨房があったりして、雰囲気はVII型よりもアットホーム! そんなことを言ってる場合じゃありません。イギリスの国力を削ぐためには、グレートブリテン島へ物資を送る貨物船やタンカーを撃沈するのが急務。性能十分のVII型をもっと送り出せればいいのですが、ドイツの国力はそこまで大きくないのが現実です。従って、大戦初期は訓練用のII型まで駆り出さなければならなかったというわけです。
結核患者発生!
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なお、正式リリース版の『UBOAT』では艦内で発生する様々なトラブルが追加されています。
特に恐ろしいのが、館内で結核患者が発生するイベント。宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」ではヒロインが結核に感染していましたが、結核が“適切な治療さえ施せば確実に治る病気”になったのは戦後のこと。それ以前は、僅かな自然治癒の望みにかけるしかありませんでした。
その上で、小型潜水艦の中で結核患者が出たということは、他にも保菌者がいる可能性も……。
昔の潜水艦の「不潔さ」
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狭い艦内では生活も劣悪になりがちで、乗組員が病気や怪我で倒れた場合もすぐに対処できなかったりします。また、Uボートのトイレはその構造故に大きな欠陥があったそうです。Uボートは米英の潜水艦とは異なり、汚物を艦外へ排出する仕組みでした。ところが、それが機能するのは水圧の低い深度のみ。艦がある程度深く潜航してしまうと、トイレは使用不可能に。
昔の潜水艦とは、極めて不潔な環境にならざるを得ない代物だったのです。
そんな状況に置かれつつ、いつ燃料切れを起こすか分からない航続距離、一発必中を要求される貧弱な魚雷搭載本数のII A型で大戦を戦ったドイツ海軍潜水艦乗組員。人並外れた精神力の持ち主だったことは、言うまでもありません。
日進月歩の電子兵器
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貧弱な性能の丸木舟からVII型に乗り換えた時、誰しもがそのギャップに驚くはずです。魚雷搭載本数は大幅に増え、その気になれば大西洋も横断できる航続距離まで持っています。これなら米英の輸送船団など敵ではない! と興奮すること間違いなし。
ところが、米英も怠けているわけではありません。電子装備を改良し、1943年頃になるとこちらの無線が簡単に傍受されてしまうという事態も。第二次世界大戦は「電子戦」という側面があり、最新鋭のレーダーやコンピューターが惜しみなく戦場に投入されました。ドイツ軍の複雑な暗号を解読したのも、イギリスが極秘裏に開発したコンピューターです。
こうした技術的進化も表現されている『UBOAT』は、夏休みにプレイするには最適の1本。さぁ、君もクリークスマリーネの一員として勇敢に大西洋を駆け巡ろう!