夏の暑さと湿気の中、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回は先日Steamで早期アクセスが始まったばかりの3DダンジョンRPG『NYAZ 小林さんち乗っ取り計画』(以下、『NYAZ』)の早期アクセス時点でのプレイレポートをお届けします。
『NYAZ』とは
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本作は過去に『NIZ』『MIZ』といったブラウザゲームや、『ウィザードリィ外伝 五つの試練』の公式シナリオ「偽りの代償」の原案を手がけた白峯氏率いるアルトテラスが2024年8月11日にSteamで早期アクセスを開始した、3DダンジョンRPGです。3DダンジョンRPG(DRPG)の中にもさまざまな種類がありますが、本作は『ウィザードリィ』ライクな1作で、6人の冒険者でパーティを組み地下迷宮を探索する……といったタイプのDRPGです。なお本作ではプレイヤーの操作する冒険者や、拠点の主人といったキャラクターがすべて「猫」なのが特徴となっています。
かわいい子猫を人間の家に送り込めるか!?猫たちや子猫を未知の迷宮を探索しながら鍛え、戦うDRPG
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本作は多くのはぐれ猫が集う「ネコズやしき」から選りすぐりのメンバーを集め、近所に引っ越してきた人間の家である「小林さんち」を猫たちの支配下に置くべく、かわいい子猫を送り込む……という目標のDRPGです。
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本作ではデフォルトの6人パーティも用意されていますが、『ウィザードリィ』ライクゲームお約束のボーナスポイント粘りによるキャラクターメイキングも可能です。
種族は特徴らしい特徴がない「ワネコ」、魔法を使う職業向けの「オリエンタル」、力の強い「コビー」、信仰心に篤い「セミフォーリン」、素早さと運の高い「ボブ」という5つ。
それに加え、職業は、前衛向きの「せんし」、後衛からの魔法攻撃に長ける「まほう使い」、回復魔法に長け、前衛での戦闘もこなせる「そうりょ」、宝箱の罠を安全に解除するのに必須の「とうぞく」、本作ではアイテム鑑定がない代わりにアイテムの詳細を知る能力があり、呪文を覚える速度も遅すぎない「ビショップ」、魔法攻撃が使えて刀も扱える「さむらい」、回復魔法が使え重装備できる「ロード」、装備も充実し宝箱もある程度開けることができてクリティカルヒット能力も持つ「にんじゃ」という、8つ。
わかりやすく言えば『ウィザードリィ』ライクゲームではお馴染みの5種族8職業からキャラクターを作成します。本作では高ボーナスが比較的出やすく、キャラクターメイキング時からロードやにんじゃといった上級職狙いも充分に可能です。
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作成したキャラクターには種族に合わせた顔グラフィックと立ち絵が自動的に付いてきます。顔グラフィックには「後頭部」も用意されていて、6人パーティを組んでダンジョンを歩くと6匹の猫の後頭部がぴょこぴょこ動きます。かわいい。
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なお、各キャラクターの顔グラフィックおよび立ち絵は差し替えることが可能です(顔グラフィック・後頭部グラフィックは128x128、立ち絵は256x512の画像)。
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……という訳で、今回も冒険者をスパくんに差し替えてみました。かわいい猫ちゃんの冒険を期待した方には申し訳ありませんが、今後はスパくん6人の明るい後頭部でお楽しみください。
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ダンジョンは『ウィザードリィ』ライクゲーム伝統の一人称視点のグリッドベースを移動する形式で、ダンジョン内には多くのイベントが用意されています。
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もちろんダンジョン内には敵も出現します。敵の残りHPが厳密に表示されているのは『ウィザードリィ』ライクゲームではかなり珍しく、相手の残HPに応じた戦略を立てることができます。本作では危険な敵が現れることは少ないですが、稀に一線を画す強敵(最初のフロアであれば「カミカミバナ」)が出ることがあるので、そういった敵からは逃げることを検討しましょう。幸い、本作の逃走成功率は非常に高いです。
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敵を倒した後には『ウィザードリィ』ライクゲームお約束の宝箱開けのお時間です。本作では宝箱出現直後に盗賊技能を持つキャラクターが自動的に罠を調べてくれるので、あとは罠を選択するだけ……と親切丁寧です。
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開けた宝箱からは、どこかで見たようなアイテムが出現することも……本作のアイテムは大まかに『ウィザードリィ』の初期作に準拠した内容になっているので、昔『ウィザードリィ』や『外伝』シリーズを遊んだことがあれば、懐かしいものを感じることができるかもしれません。また、本作の呪文も基本的に『ウィザードリィ外伝 五つの試練』のものに準拠しており、『ウィザードリィ』同様の回数制ではなく、一般的なRPGに近いMP制であるものの、プレイ感覚としては『五つの試練』にそれなりに近いものがあります。
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ダンジョンのとある箇所を調べると、「ゴースト」ならぬ「ゾンビ」が出現。例によって固いけど攻撃力がほとんどなく経験値が高い……という敵ですが、本作では他のザコ敵も経験値がそれなりに高く設定されているため、無理して固いこの敵と連戦する必要はないかもしれません。
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本作の独自要素が「がまん」と「子ネコ」の存在です。「がまん」は他の『ウィザードリィ』ライクゲームにおける「防御(PARRY)」に近いコマンドですが、このコマンドを使うと「SP」が溜まります。各キャラクターにはSPを消費して放つ「スキル」があり、これをうまく使うことで戦闘を有利に進めることができます。
「子ネコ」はパーティの7人目として参加するサポート役で、「がまん」「スキル」しか使う事ができませんが、適切にスキルを使うことで充分なサポートとして役立ってくれることでしょう。また、本作の最終目標は「小林さんちに子ネコを送り込むこと」であり、送り込むのに十分な強さとなるまで「子ネコ」を冒険に引き連れ、鍛える必要があります。
全体的な難易度は低めで『ウィザードリィ』入門には向いている。しかし早期アクセス故の怪しい挙動も
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本作は先述した通り、時折フロアに現れる一部の強敵を除けば全体的な難易度はかなり低めで、各種『ウィザードリィ』ライクゲームの入門に向いた作品と言えるでしょう。オートマッピング・ミニマップともに搭載され、いつでも見ることができるほか、オートマッピングから位置を指定してのナビゲート移動機能にも対応しています。ゲームクリア直前にはアイテムと経験値稼ぎに向いた階層があり、ここで延々とトレジャーハントに勤しむ……という楽しみ方もできます。
しかしながら、早期アクセス故か本作に怪しい挙動が多いのも事実です。先日のアップデートで修正されましたが、カスタマイズしたポートレートがゲームを再開すると読み込まれない問題はちょっと拍子抜けしました。
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それ以外にも、「ダンジョンのテクスチャが稀に読み込まれず、あたり一面暗闇となることがある」「イベント立ち絵が表示された後の戦闘で敵グラフィックが表示されなくなる」「ボス戦でBGMが鳴らないことがある」「リセットを行うとメニュー画面に2回遷移している」といった、怪しい動作を2024年8月16日現在のバージョンで確認しています。
とは言え、これらの問題はおそらく早期アクセス中に改善されるであろう問題であり、こういった部分を差し引いても、充分に遊びやすいDRPGであると言えます。
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筆者のシナリオクリアまでの時間は約7時間で、一見短いようには見えますが、遊びやすく、それなりに濃ゆいダンジョン探索経験をすることができました。今後クリア後ダンジョンの追加予定もあるとの事なので、筆者はそちらの方にも期待しております。
なお、本作にはブラウザ体験版も用意されています。ブラウザ体験版からSteam版へのデータ移行も「復活の呪文」を使うことによって可能なようなので、是非とも興味のある方は触ってみて頂きたいと思います。便利な世の中になったものよのう……。
スパくんのひとこと
『ウィザードリィ』初期作へのオマージュ多めなネコDRPG!是非ともネコと和解してダンジョンに挑んでみるスパ!
タイトル:NYAZ 小林さんち乗っ取り計画
対応機種:PC(Steam/ブラウザ)
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
発売日:2024年8月11日
著者プレイ時間:7時間
サブスク配信有無:無
価格:770円(税込)
※製品情報は記事執筆時点のもの