KUNPAN GAMESより配信予定のスマートフォン向けRPG『Elona 2 ドット絵×異世界×アドベンチャーRPG』が日本のフリーゲーム『Elona』の後継作を謳ったことにより多くの議論を呼んだことについて、『Elona 2』およびその前身のモバイル版『Elona』である『Elona Mobile』開発元の「Digital Dog(デジタルドッグ)」がSNSにて同作の背景を説明する声明を行いました。
明かされた「契約」の存在、その内容が焦点か
『Elona 2』とは、KUNPAN GAMES(海南昆磐网络技术有限公司)がリリース予定のスマートフォン向けアドベンチャーRPGです。当初、プレスリリース内でnoa氏が原作のフリーゲーム『Elona』の後継作と発表されていたものの、同氏は後継作ではないと否定。『Elona 2』というタイトル使用の打診があった際も断ったことを表明しました。
この表明を受けてかKUNPAN GAMESは同日、デジタルドッグが過去にnoa氏の許諾を得て開発したスマートフォン向けRPG『Elona Mobile』の続編であるという旨の説明のほか、『Elona 2』の開発・配信において、“「正規のIPライセンスを取得し、関連する公式認証」を受けている”と釈明しています。
本件についてはSNS上でユーザーから反発の声が上がっており、この釈明にも非難が寄せられていましたが、今回、開発元であるデジタルドッグのメッセージとして、より詳細な背景が説明されました。
説明によると、2018年に同社はnoa氏と「ゲームライセンス許諾契約」を締結。「『Elona』のモバイルプラットフォームにおける永久的かつグローバルな専有使用権を取得」したといいます。この契約に基づき、同社は“『Elona』の「モバイルオンラインゲームを開発する権利」を有している”と主張しており、本作のグローバル独占配信権をKUNPAN GAMESに許諾したとのことです。
今回の説明では、過去にKUNPAN GAMESが主張した「関連する公式認証」や、デジタルドッグが締結したとする「ゲームラインセンス許諾契約」の詳細は明かされていません。したがって、noa氏に『Elona 2』名称の使用の打診を断られていた状態であっても名称の使用ができるか、法的な正当性の有無はその契約の内容に大きく左右されます。
とは言え、法的な正当性の有無と、感情として正しいと思えるかは別物です。「知識のない人気インディーゲーム制作者につけこみ、多くの権利を取り上げた」とすら捉えられかねない状況は、まだ多くの説明をKUNPAN GAMESとDigital Dogへと求めさせることになるのかもしれません。
本件以前を考えると『Elona Mobile』自体はファンベースにもある程度受け入れられていた作品です。noa氏が開発を進める原作『Elona』の後継作『Elin』が早期アクセス開始を控える中で、特に日本において『Elona Mobile』ではなく『Elona』の後継作を謳ってしまったこと(中国などではモバイル版『Elona』の名称はそのまま『伊洛納(Elona)』であったことには注意です)は事情があったとしても「見えていた混乱」だったのではないでしょうか。今回の声明では「今後はこのような事態を未然に防ぐため、一層の注意を払ってまいる所存」としています。
過去に配信元が変更された可能性も
なお、noa氏の許諾を得ている『Elona Mobile』はLTGAMES GLOBAL(厦门雷霆互动网络有限公司)が配信していますが、『黑星勇者成名录』なるタイトルが中国政府の認可リストに掲載された際は、同社の名前が記載されています。
『黑星勇者成名录』は『Elona 2』の別名であるとされているものの、今回デジタルドッグはKUNPAN GAMESに「グローバル独占配信権」があると説明しているため、当初LTGAMES GLOBALが配信元になる予定が、何らかの理由でKUNPAN GAMESに変更された可能性が考えられます。