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「VR元年」と言われ出してから幾星霜……VRゲームはすっかり我々の生活に馴染み、一般的なものとなっています。いや、あんまりなっていないかもしれません。
やっている人はやっているし、やっていない人はやっていないというぐらいで、「まだまだ普及しきったとは言えないが、耳馴染みのない新技術という感じでは無くなった」というのが正確な現状かなと感じます。VR機器をひとつぐらい所有していたり、実際に体験したことがあるという人は少なくないと思うのですが、日常的にVRゲームを遊ぶ層は少なくとも僕の身の回りを見ると非常に限られている印象です。
鳴り物入りで発売された「PlayStation VR2(以下PSVR2)」も発売当初こそ話題になったものの、収納の肥やしになっているというゲーマーはきっと多いんじゃないでしょうか。僕のPSVR2は実際にそうなっています。PSVR2を買い、『バイオハザード8』でひとしきり鉄砲を撃ち、『グランツーリスモ7』でスゲースゲー言いながら車体を壁に擦りつけたあとは、恥ずかしながらすっかり遊ばないようになり、PSVR2はPS5の脇にちょこんと置いてあるオブジェになってしまいました。
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そんな折、「PlayStation VR2 PCアダプター」が発売されました。これはPSVR2をPC用のSteamVR機器として利用できるようにするための機器ということです。
今回の記事は、ソニー・インタラクティブエンタテインメントから提供された「PlayStation VR2 PCアダプター」を実際に使ってみたインプレッションをお届けします。
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開封してみるとアダプター本体が出てきました。サイズは大きくなく、全面にPSVR2を接続するためのUSB-Type Cの端子があります。
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背面はこんな感じ。PCと接続するためにUSBケーブルが真ん中から出ており、左右には電源用の端子と、DisplayPortの端子があります。本機を使うためには、DisplayPort1.4以上が必須。VRゲームが動くぐらいの新しめのグラボが搭載されたデスクトップゲーミングPCであれば大丈夫かと思いますが、注意しておいてください。またDisplayPortのケーブルは同梱されていないため別途必要となります。
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こちらが電源ケーブルです。サイズ感や端子の感じなどが、かつてのPlayStation Portableのものと酷似しているのですが、同じ電源装置だったりするのでしょうか。PSPを持っていたことがあるひとは、大きさが想像しやすいかと思います。
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全部を接続するとこんな感じ。やや複雑ですが、これでも初代PSVRと比べるとかなり使いやすくなっています。
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まずはリメイク版の『Riven』をプレイしていきます。元となった『Riven』はあの『Myst』の続編となる作品で、筆者が実際にプレイしたことがある謎解きゲームの中では間違いなく最高難度のゲーム。紙とペンが必須のゲームなので、おそらくQuizKnockぐらい謎解きが得意な人じゃないとVR機器を装着したままクリアするのは無理だと思います。
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『Riven』は非常に世界観が独特で、グラフィックの美しいゲームですから、謎解きが異常に難しいことを除けばVRに向いている作品かと思います。筆者環境ではときどきカクついたりもしましたが、おそらくマシンスペックの問題と考えられます。
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続いてPCでVRのゲームをするといえばこちら、『VRChat』を遊んでみます。こちらはかなりサクサク違和感なくプレイでき、他のPCVR環境と比べてまったく遜色ありません。というかPSVR2の画質の高さがフルに感じられて非常に楽しかったので、3日連続で潜ってしまいました。
今まで筆者が使ったことがあるPCのVR機器は「Meta Quest 2」と初代「PSVR(PC接続)」の2つだけだったのですが、それらで『VRChat』をやるのとはまったく体験の性質が異なり、まるで別のアプリケーションのように感じられました。
三点トラッキングで動きをつけることができるのも楽しいですし、最近はスタンミ氏の配信で話題になったことをきっかけとして日本人のプレイヤーも増えており、コミュニケーションもとりやすいです。PSVR2に接続されたイヤホンと内蔵マイクで遊べるというのも気軽でよかったです。
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ということで「PlayStation VR2 PCアダプター」は、接続できる環境さえあれば、高画質でVRゲームが遊べる非常に嬉しい周辺機器となっていました。当たり前のことですが、基本的にPCと接続したPSVR2は普通のPCVRハードウェアと同じです。
しかしその「普通」の嬉しさは、「PlayStation VR2 PCアダプター」の大きな魅力でしょう。「ハイスペックなPCVRハードウェアを持っていない」「ゲーミングPCを持っている」「PSVR2を持っている」というユーザーはそう多くはないでしょうし、ニーズが限られた周辺機器ではあるのですが、その狭い層にとってはまじで必携の一品と言ってもいいように思います。
また「PSVR2やってみたいし、PCでも使えるならほしいけどな~」なんて思っていたプレイヤーにとってもありがたい製品でしょう。PSVR2の大きな魅力であるアダプティブトリガーには現在対応していないので、その点はやや残念ではあるのですが、まあソフト側でも対応してないといけないでしょうし、仕方ないことだなとも思えます。
PSVR2は性能の割に価格が安い、つまりコスパが高いVR機器でしたが、PS5専用ということもあり、今までかなり使用用途が絞られていました。なので、今回のPC対応は非常に嬉しい知らせです。筆者にとっては出てくれて嬉しい周辺機器でしたし、これでPSVR2をもうちょっと活躍させてあげられそうです。繰り返しになりますが、「PCVRの環境を持っておらず、ゲーミングPCがあって、PSVR2を持っているか購入を検討している」という層のプレイヤーにとっては本当に必要なものだと思います。もうちょっと安かったらマジで最高なんだけどな……!