ルールはただひとつ「絶対に振り返らないこと」…異色の短編ホラーADV『孵道(かえりみち)』プレイレポ―“QTE地獄”を乗り越え無事生還できるか | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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ルールはただひとつ「絶対に振り返らないこと」…異色の短編ホラーADV『孵道(かえりみち)』プレイレポ―“QTE地獄”を乗り越え無事生還できるか

まだまだ暑い夏にピッタリの和風ホラー作品。

連載・特集 プレイレポート
ルールはただひとつ「絶対に振り返らないこと」…異色の短編ホラーADV『孵道(かえりみち)』
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公式トレイラー(Steamより)

今回は、インディーゲームサークル法螺会が開発する『孵道(かえりみち)』のプレイレポートをお届けします。

なお、本記事にはエンディングを含むネタバレ要素があるので閲覧の際は十分に注意してください。

異色の短編ホラー『孵道』とは

本作は、モノクロ漫画風のポイント&クリック形式ホラーアドベンチャー。ホラーノベル『怪話』シリーズや怪異判定アドベンチャー『奇天烈相談ダイヤル』など多くの独創的なインディーホラー作品を送り出すサークル法螺会が開発し、シナリオ/演出/スクリプトを笹森簀児氏、イラストを白米氏、挿入歌を乃花こより氏が担当しています。


プレイヤーは夏の放課後を舞台に、主人公の「僕」としてプレイします。先生の言いつけである道中では絶対に振り返ってはいけませんという約束を守って、怪異が巻き起こる帰り道を無事に生還しなければなりません。

特徴的なのは、プレイヤーが振り返るか否かはいわゆる「QTE(クイック・タイム・イベント)」で判定されます。ランダムに現れる画面上のボタンを制限時間内にクリックして、成功すれば先へと進み、一度でもミスすれば即ゲームオーバーとなる、非常に緊張感のあるゲームシステムが導入されています。

また、日本の田舎風景や童謡などをモチーフに展開されるストーリーは、断片的に語られるのみで全ては明かされず謎めいています。しかしその余白が逆に怪談的な恐怖を引き立てており、ゾッとするような和風ホラー体験を生み出しています。クリア時間は一周約20分、エンディングは全10種類でコンプリートには1~2時間程度なので、気軽に何度も遊べるのも魅力的です。

操作方法、言語、難易度設定

操作方法は、キーボード&マウスのみに対応し、コントローラーとSteam Deckには非対応です。言語は日本語字幕に加え、音声にも対応し没入感がグッと増しています。声の出演をいけどゆき氏、加々流がろら氏らが担当しています。

難易度は「安全」「注意」「警戒」「危険」レベルの4つ。特に「危険」はクリア後に解放される高難度レベルで、挿入されるジャンプスケア率の上昇、QTEの数量や時間が圧倒的に増え、さらにはダミーも出現し、さながら「QTE地獄」のような非常に難しいものとなっています。

“振り返ってはいけない”……恐怖の帰り道を乗り越えろ

家へ無事に辿り着くには「決して振り返らないこと」「何があってもまっすぐ進むこと」という先生の言いつけを忘れてはいけません。まずは人気のない山道を進んでいくのですが……道中に異変がないか画面をくまなく探して確認します。

すると、なんと人の足が落ちていました。明らかにヤバい雰囲気が漂う中、ここで突然QTEが始まります。

「振り返らない」というボタンが次々と出現するので、消えないうちに急いでクリックします。しかし、何度かミスってしまい振り返ってしまうと……

妖怪のような得体のしれない「何か」が道の向こうから現れ近付いてきます!

そして画面いっぱいになるまで追いつかれゲームオーバーに。本作は、QTEに失敗すると一発で終わってしまうのでかなり緊張感があります。

家に無事辿り着き本編をクリアする以外にも、こうしてゲームオーバーになってもエンディングが分岐するようで、今回は「おかえり」という結末だったようです。

再開して山道を進んでいくと、生首が転がっていたり、足が落ちていたり、怪異は激しさを増しいる様子。さらに、道の奥手には見慣れぬ少女が佇んでいます。もしや学校の同級生でしょうか?

そんなワケありませんでした。近付いてきた少女は「あなたの右目ちょうだい」と恐ろしいことを言い放ち、ここでQTEが開始。ボタンの数も制限時間も短くなり、最初より難しくなっています。

なんとかQTEの嵐を切り抜け、振り返らず少女を撃退することに成功しました。さあ、この調子でどんどん進んでいきましょう。

山道を抜けると、今度はお寺があります。お堂には怪しげなお婆さんがいて、右方向を指さしています。なぜこんな場所にいるのでしょうか……とにかくそちらの方へと行ってみます。

すると廃墟のような空き家があるので、好奇心から中へと入っていきます。

長い渡り廊下には、同級生くらいの少年がいて「だるまさんがころんだ」をしようと言われます。

今回のQTEはちょっと変わっていて、少年が後ろ向きの時に「前に進む」ボタンを押さなければなりません。振り向いた時に押してしまうとゲームオーバーです。タイミングを良く見て成功させます。

クリアすると、次は「旗揚げ」で遊ぶことに。この無邪気さが逆に不気味です。

少年の声を最後まで聞いて、赤の旗か白の旗を間違えることなく正確に上げていくと先へと進めます。

最後はわらべ歌「かごめかごめ」で遊びます。「うしろの正面だあれ?」と誰が言ったのかを当てるのですが、特徴的な声で覚えていたので難なくクリアしました。しかし、安堵したのも束の間……

取り憑かれたような少年に襲われます。QTEは連打するタイプで、時間内に赤いバーが無くなれば成功です。なんとか鬼の連射で振りほどくことができ、奥へと進んでいきます。

そこから現れたのは、神々しくも可憐な少女。最後のQTE「手を伸ばす」ボタンを押しますが……彼女はいったい誰なのか、主人公は無事生還できるのかはぜひプレイヤー自身の目で確かめていただきたいと思います。



本作の良かった点は、怪談的な謎めいた物語と秀逸なイラスト、没入感の増す日本語音声など本格的な和風ホラーを手軽に楽しめること。QTEを取り入れたゲームシステムも緊張感のあるプレイに繋がっていると思いました。ただ一方で、手軽さと引き換えに本編のボリュームが若干足らない気もしますが、まだまだ暑いこの夏にピッタリのホラー作品だと感じます。


  • タイトル:『孵道』

  • 対応機種:Windows PC(Steam)

  • 記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)

  • 発売日:2024年8月14日

  • 著者プレイ時間:2時間

  • 価格:350円(2024年8月22日まで30%オフの245円)
    ※製品情報は記事執筆時点のもの

スパ君のひとこと



地獄のようなQTEをクリアするのは大変だったスパ!




《DOOMKID》

心霊系雑食ゲーマー DOOMKID

1986年1月、広島県生まれ。「怖いもの」の原体験は小学生の時に見ていた「あなたの知らない世界」や当時盛んに放映されていた心霊系番組。小学生時に「バイオハザード」「Dの食卓」、中学生時に「サイレントヒル」でホラーゲームの洗礼を受け、以後このジャンルの虜となる。京都の某大学に入学後、坂口安吾や中島らもにどっぷり影響を受け、無頼派作家を志し退廃的生活(ゲーム三昧)を送る。その後紆余曲折を経て地元にて就職し、積みゲーを崩したり映像制作、ビートメイクなど様々な活動を展開中。HIPHOPとローポリをこよなく愛する。

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