今やPC/コンソール/モバイルそれぞれのプラットフォームでサバイバルジャンルの作品は定着していて、多くのプレイヤーがさまざまな世界を舞台にサバイバルを楽しんでいます。
Game*Sparkでは【クラフトサバイバル名鑑】として、同ジャンルが好きな筆者が、定番作品を中心にクラフトサバイバルジャンルの作品の魅力を紹介・解説しています。今回紹介するのは、2016年8月13日にリリースされた宇宙サンドボックスサバイバル『No Man's Sky』です。
紆余曲折を経て「望むもの」に向かった作品
『No Man's Sky』は、イギリスのゲームスタジオHello Gamesが手がける、宇宙を舞台にしたSFサバイバル作品。ゲームは2013年に発表され、自動生成される広大な宇宙を舞台に、プレイヤーが自分の宇宙船で自由に探索や戦闘を楽しめるというコンセプトで大きな話題になりました。
期待された『No Man's Sky』の旅は、決して楽なものではありませんでした。開発時には嵐による大きな被害や、発売延期が原因と思われる殺害予告などの被害を受けています。そして、発表からおよそ2年半を経た2016年8月13日にリリースを迎え、Steamでは同時接続人数20万人という大きな記録を残したのです。
しかし、リリースからおよそ半月後にPCプレイヤー数が9割減少と、ゲームは思わぬ展開を見せてしまいます。また、当時のユーザーからもコンテンツ不足や頻繁なクラッシュなど、さまざまな指摘を受け、Steam上でのレビューは発売後から厳しい内容が増えていました（アーカイブ：2017/4時点の評価）。
Hello Gamesはこうした反応を受けながらも、定期的な無料大型アップデートを行ってきました。2016年11月には建築や交易に関するアップデート、2017年8月にはストーリー、2018年7月には正式なマルチプレイ要素導入など、多くのユーザーが望んでいたシステムが追加されていきます。
アップデートは現在も続いていて、2024年にはグラフィックを含む基礎部分の大幅な改善や「釣り機能」などが実装されます。この精力的なアップデートにより、2021年9月にはSteamユーザーレビューがすべての期間で“賛否両論”だったのが“やや好評”に。紆余曲折を経て『No Man's Sky』は多くのユーザーに再び支持されたのです。
世界は発見に満ちている
本作にはメインのノーマルモードだけでなく、クリエイティブやサバイバル、そして新コンテンツなどをマイルストーンに従ってクリアしていく共同探検など、さまざまなゲームモードが用意されています。カスタムでは、難易度設定の変更なども可能です。
ゲーム本編は、プレイヤーが未知の惑星で目を覚ますシーンから始まり、そのまま基本的な操作のチュートリアルへと移行します。本作はとても自由なゲームですが、操作やクラフトなどは少し独特な部分もあるので、初プレイの方はしっかりと覚えていきましょう。
プレイヤーは、初期状態で素材の収集が行える「マルチツール」と、酸素や外気温対策の「エクソスーツ」を装備しています。ゲーム内では、これらの装備や宇宙船のパーツを拡張していくことで採掘や戦闘、より遠くまでの冒険ができるようになっていきます。
『No Man's Sky』の魅力は“未知の発見”にあります。この宇宙には実に1800京個以上の自動生成される惑星が存在しており、プレイヤーが訪れる場所は“未知の世界”そのものです。周囲を見れば見慣れない植物・鉱物・動物に溢れています。「マルチツール」でこれらを壊せば、酸素や炭素、鉱石などが入手可能です。
さらに、プレイヤーが発見・分析した“未知”のものは命名可能で、ゲームサーバーにアップロードすれば他のプレイヤーと共有することもできます。並んでいる同じような石でも実は別の種類だったり、万物には名前があるのです。宇宙を旅して最高に気に入った環境の惑星を見つけ出して命名する、それはとてもロマンですね！
広大な宇宙の旅は知識が大切
広大な『No Man's Sky』の宇宙には、さまざまなNPC宇宙人たちも存在しています。彼らは種族ごとの言語で会話しており、プレイヤーは最初話しかけてもほとんど内容を理解することができません。ゲーム内では、NPCに教えを請うたり、宇宙各地のオブジェクトにアクセスすることで単語を学べます。
覚えた単語が増えることで、少しずつ会話が理解できるようになるのです。また、種族ごとにプレイヤーとの友好度も設定されていて、親交を深めることで交流の中で多彩なメリットを得られます。知識こそが、宇宙で生き延びるために最も大切な力です。
もちろん生きるために必要な知識は、宇宙でのサバイバル能力にも関連します。スーツや宇宙船をアップグレードするためには設計図が必要ですし、基地や住居の建築に関しても同様です。設計図を得るためには、さまざまなクエストやミッションを受けたり、購入する必要があります。
ゲーム内の知識は自分で見つけ出すものです。新しいアイテムを作るための素材はどこにあるのか。宝が記された地図を入手したけどどうやってそこに向かうのか。宇宙の冒険は、地図やマーカーとのにらめっこすることになるでしょう。幸い燃料などのリソースはかなり集めやすいので、冒険の中で稼いでいきましょう。
チュートリアルやヘルプ、クエスト指示などのサポートはありますが、多くの項目にはそれぞれを“発見”するという前提が必要です。探索したり、ストーリーを進めたり、宇宙ステーションでミッションを見つけたりと、さまざまな行動の先に新たな世界と知識が広がっているのです。ただし、惑星保全のために働いている機械「センチネル」には十分気を付けましょう。
家も巨大船も、バギーだって自分のもの！
ゲーム開始時に修理する宇宙船だけでなく、ゲーム内ではさまざまなプレイヤー用の乗り物や施設なども用意されています。まずは初期クエストを進めていくことで拠点建築ができるようになります。
拠点はまず土地の所有権を獲得するためのコンピューターを設置する必要があります。無事に土地を得たらその後は家や生産施設、テレポート装置などを設置していきましょう。特にテレポーターは、宇宙ステーションに簡単に行き来できるようになるなど、旅で非常に便利なものになります。
さらに、宇宙生活に余裕が出た頃には「貨物船」を入手できていると思います。貨物船は移動拠点として使えるだけでなく、雇った船を派遣して物資を稼いだり、カスタマイズして多彩な機能を付けることができます。入手することで、ゲームが劇的に変化するものの一つです。なにより、ドック付きの船を持てるのが嬉しい！
ほかにも、バギーや潜水艦、二足歩行ロボなどの「エクソクラフト」と呼ばれる乗り物も登場します。所持している乗り物はマップ内に呼び出すことができる（一部条件あり）ので、探索中に宇宙船を見失ったり、困難な地形に出会ったときなど、気軽に使えるのが嬉しいところです。
ゲームにメインストーリーは存在しますが、本作はとにかく自由な空間を楽しむ作品です。とにかく宇宙中を飛び回ったり、ひたすら建築を楽しんだり、乗り物をコレクションしたり、遊び方に間違いというものはないのです！
発表で鮮烈なデビューを飾った『No Man's Sky』の道のりは、リリースしても決して楽なものではありませんでした。しかし、8年間という長い年月をかけて、今もなおアップデートされ続けている本作は、非常に豊富なコンテンツと遊び方が用意されたサンドボックス作品として唯一無二と言っていいものに仕上がっています。
思うままに宇宙船で銀河を旅する先には、必ず“未知の発見”が待ち受けていることでしょう。過酷な環境の星や一風変わった生物が住み着いている星だけでなく、もしかしたら地球のように水が豊富な美しい星があるかも知れません。お気に入りの星を見つけるために冒険するため装備や燃料を準備するのも楽しいものです。
やれることは多いものの、操作自体はそこまで複雑ではなく、カジュアルにもディープにも遊びやすいのも『No Man's Sky』のオススメしたい部分。日本語対応もしていますし、PCだけでなく各種コンソールでも配信されているのも嬉しいポイントです。さらに、VRにも対応しています。大いなる宇宙が舞台の、最高に自由な冒険に出かけましょう！
紆余曲折の末に辿り着いたのは唯一無二の宇宙生活！冒険もクラフトも、知識を集める旅も楽しいスパね！
