戦慄のサバイバルホラーFPS『Pneumata』をプレイ―複雑怪奇なアパート探索、グロテスクな敵、手応えある戦闘など”濃密な恐怖体験”が味わえる。一方バグや粗さも目立ちSteamでは「やや不評」 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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戦慄のサバイバルホラーFPS『Pneumata』をプレイ―複雑怪奇なアパート探索、グロテスクな敵、手応えある戦闘など”濃密な恐怖体験”が味わえる。一方バグや粗さも目立ちSteamでは「やや不評」

『バイオハザード』『Outlast』等にインスパイアされています。

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戦慄のサバイバルホラーFPS『Pneumata』プレイレポ
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今回はDeadbolt Interactiveが手掛け、9月20日に発売された『Pneumata』のプレイレポートをお届けします。

悪夢の幕が上がる……『Pneumata』とは

本作は、一人称視点のシングルプレイ専用サバイバルホラーFPS。プレイヤーは一介の探偵に扮し、最愛の妻ジェイミーの死に関連する殺人事件と隠された真相を追うため、クローバーヒルを訪れます。恐怖のアパートには、グロテスクで異形の敵と難解な仕掛けがあり、広大なエリアを調査しながら、数多くの秘密を暴いて生き延びていきます。

特徴的なのは、『バイオハザード』、『Outlast』などのクラシックなホラー作品と、「宇宙的恐怖」を描くH.P.ラブクラフト作品から影響されていること。

確かに、戦闘やシステム周りは『バイオ4』または『バイオ7』のような雰囲気があるし、クリーチャーデザインや陰鬱で現実感の曖昧な世界と舞台設定は、コズミックホラー的だと言ってもいいかもしれません。

緻密なグラフィック、複雑で入り組んだアパートでの探索要素、意表を突きランダムで現れる複数の敵、射撃も近接戦闘も手応え充分の戦闘、難解なパズル……と「濃密なサバイバルホラー」が味わえる一方、イベントシーンのループ、クラッシュ落ち、不親切なユーザーインターフェースなど、バグや粗さも目立っており、Steamでのユーザーレビューでは執筆時点で「やや不評」となっています。


日本語未対応が残念。だがプレイ自体には支障ナシ

まずは各種オプションを見ていきましょう。操作はキーボード及びコントローラーに対応し、筆者はXboxコントローラーを使用。バイブ機能のオンオフなどを設定できます。

この手のホラー作品は、探索要素を備えているウォーキングシミュレーターとしての側面もあり、操作感は評価が分かれる気になるポイント。実際にプレイしてみると、スムースな視点移動と動きで、スティック操作の反応も悪くない感触でした。

グラフィックスは、画面モードや解像度、フレームレートに関するものからカラータイプまで、それなりに幅広く設定できます。

続いて言語設定ですが、残念なことに本作は日本語に未対応です。ただ、体感では高校レベルの英語なので翻訳ソフトを使えばなんとかなるでしょう。ストーリーや背景については、深く理解しなくともプレイ自体は支障なく進行できるので大丈夫です。

複雑怪奇な恐怖のアパートを探索

主人公デイビットは探偵稼業を営んでいる男性で、彼には妻がいましたが不審な死を遂げています。物語は、不審な人物から自宅に届いた一本のビデオテープから始まります。

恐る恐る再生すると、そこには主人公らしき人物が海上で遭難し、なんとか灯台の見える島へ上陸している風景が映し出されます。

灯台の頂上にたどり着くと、ラジオから妻ジェイミーの悲痛の叫びが……。映像はそこで突然途切れてしまいますが、テープには「ミズーリ州 ミルトン」と書かれており、何かの手がかりを掴めるかも知れないと、訪れることを決意します。

ミルトンの町は隔絶された共同体のような場所で、荒廃した雰囲気は抜群に恐ろしく、足を踏み入れるのも躊躇するほど。勇気を出し、車にあった拳銃と回復アイテム、フラッシュライトを手に進んでいきます。

ホラーゲームにおいて「インベントリ」は重要な要素のひとつ。デザインや機能、使いやすさなどは作品の質にも直結すると筆者は考えています。

その点でいえば、アイテム画面は「バックパック」を模した作りでオリジナル性があるし、武器装備はショートカット設定ができたり、アイテム同士の組み合わせや移動、ソートもできて機能性も十分。体力表示も分かりやすく、申し分のない出来だと思いました。他にもジャーナルガイドやファイル閲覧など充実しています。

住人が誰もおらず、豚の頭が転がったり血痕が付着している、不気味で荒廃した家屋を抜けて、「ミルトン礼拝堂」へとたどり着きます。

礼拝堂には、表からは侵入できないので裏手に回って入ります。すると……

何かの「儀式」のように、串刺しにされ息絶えた男性の姿が。間髪入れず、奥から血まみれの斧を持った大男が出てきて初戦闘になります。

戦闘は、両手で防御したり左右移動によるドッジ(回避)アクションが行えますが、正直あまり役に立ちません。それよりも、ダッシュして距離を保ちながら、ヒット&アウェイのオーソドックスな立ち回りのほうが無難に効率よく戦えると感じました。

銃器による攻撃は射撃体勢になると『バイオ7』に近い距離感で、撃った感覚は軽すぎず重すぎず、バランスが取れた印象です。リロードも早くテンポ良く戦闘を継続できます。ただ、この斧男はHPが非常に高く、あっという間に弾薬が無くなっていきます。

資源が乏しい場合は、ドラム缶など周囲の爆発物を使って大ダメージを与え一発逆転できるケースも。ボス戦や複数の敵に囲まれた時に重宝する戦法です。このように戦闘は迫力と緊張感があり、とても手応えがあると感じました。

斧男をギリギリで倒し、礼拝堂を後にします。そして、ついに本作の舞台、「クローバーヒルアパートメント」へやって来ました。ここから、ようやく本格的な探索が始まります。

アパートメントの内部は想像した通り荒れ果てており、湿っぽい不穏な空気感に支配されています。どこから異形の敵が現れるか分からず、全方位に気を張って慎重に探索していかなければなりません。

しかし、そんな修羅場にも癒やしの「セーブ部屋」が用意されています。リラクゼーション音楽が流れ、ゲームの保存とアイテム保管庫があり、思いっきり『バイオハザード』をオマージュした空間です。

さて、調査を続けていきましょう。本作の特徴でもあるアパートメント内部の探索は、広大かつ複雑に入り組んでいて、やりがいがある反面非常に迷いやすい構造です。

しかも、マップが存在しないので現在地が分からず、何度も行き来することもしばしば。この辺りのシステムは、コアゲーマーにとっては問題ないかもしれませんが、初心者には不親切で賛否が分かれるところだと思います。

当面の目標は、「エレベーターキー」を探し出し、再びエレベーターを起動させること。そして、さらに上階にある未知のエリアを調査していきます。

落ちているメモや壁に貼ってある資料を頼りに、部屋の鍵を発見したり、隠し通路から新たな場所を見つけたり……とにかくアパート内部は広く、あちこちへ奔走します。

時にはアパート外へ出て探索することもあり、一筋縄ではいきません。ガスステーションでは、「ショットガン」を入手可能で装備の強化が行えます。

道中、アパート内にも外にも敵がウヨウヨ徘徊しています。見ての通り、クリーチャーの姿はグロテスクなデザイン。遭遇するとかなりの恐怖で、操作をミスってしまうくらい焦ります。

クリーチャーはランダムに突如現れることもあり、気が抜けません。その上だいたい2体以上で襲いかかってくるので、弾薬を温存しておかないと簡単にゲームオーバーに。奴らの動きはどの種類も結構素早く、逃げ切る前に一発は必ず喰らってしまいます。

艱難辛苦を乗り越え、ついに「エレベーターキー」をゲット。起動して上階へと進みます。この先にどんな恐怖が待ち受けるのか……それはプレイヤー自身で確かめてみてください。

「やや不評」にはワケがある

空中浮遊するカオスな光景

本作は現時点でSteamでのステータスが「やや不評」となっていますが、それには理由(ワケ)があります。あくまで筆者個人のプレイ環境においてですが、よく遭遇したのがグラフィック表示に関するバグ

本来あるべき家の壁が表示されず、内部の家具だけで空中に浮いたように見えたり、中庭の広い空間にオブジェクトが一切無くなってスカスカだったり、明らかに問題がありそうでした。

さらに困ったのがイベントシーンのループ。最新のロードゲームを開始し、すでに探索済みの場所へ再度訪れた時に、先程見たカットムービーが再放送されるという珍現象が起き、頭が一瞬混乱しました。本作は、あまり意味のないような短いイベントシーンがたくさん盛り込まれているので、何度も観るのが苦痛でした。

他にも複雑な構造のわりにマップ機能がない不親切さ、セーブデータが消失する場合があること、最適化不足によるクラッシュなど、システム周りの欠点が非常に惜しいと感じました。

とはいえ緻密に作り込まれたグラフィックスや、陰鬱で不気味なアパートメントの世界、グロテスクで秀逸なデザインのクリーチャーはとても恐ろしく雰囲気抜群。ゴア表現満載の緊張感ある戦闘は十分価値のあるもので、万人受けではないですが、コアなホラーファンにはオススメできる作品だと思います。

  • タイトル:『Pneumata』

  • 対応機種:Windows PC(Steam、Epic Games Store)/海外PS5Xbox Series X|S

  • 記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)

  • 発売日:2024年9月20日

  • 著者プレイ時間:5時間

  • 価格:3,900円
    ※製品情報は記事執筆時点のもの

スパ君のひとこと



アパート探索は雰囲気抜群で超怖い!ただ、システム周りの欠点が非常に残念だったスパ




《DOOMKID》

心霊系雑食ゲーマー DOOMKID

1986年1月、広島県生まれ。「怖いもの」の原体験は小学生の時に見ていた「あなたの知らない世界」や当時盛んに放映されていた心霊系番組。小学生時に「バイオハザード」「Dの食卓」、中学生時に「サイレントヒル」でホラーゲームの洗礼を受け、以後このジャンルの虜となる。京都の某大学に入学後、坂口安吾や中島らもにどっぷり影響を受け、無頼派作家を志し退廃的生活(ゲーム三昧)を送る。その後紆余曲折を経て地元にて就職し、積みゲーを崩したり映像制作、ビートメイクなど様々な活動を展開中。HIPHOPとローポリをこよなく愛する。

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