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先日9月26日に配信された「Xbox Tokyo Game Show 2024 Broadcast」(以下、Xbox Broadcast)。こちらで今後のXboxで展開を予定している、さまざまなタイトルの発表が行われました。
そんな配信の前日である9月25日、日本マイクロソフトではメディア向けの対面ブリーフィングが実施。同社のパートナーシップディレクターを務める加藤芽奈氏により、配信されるタイトルの他、今後のXboxの展開についての方針が語られました。
これからのXboxは、どのような展開が行われるのでしょうか? 今回のブリーフィングで興味深いキーワードは「アジア」と「さまざまなデバイスによるプレイ」でした。これはマイクロソフトはコンソールのプラットフォームホルダーとして、何を意味しているのでしょうか?
Game Passに日本の人気タイトルが出るだけではなく、アジア圏の注目作が登場する意味
加藤氏はまず、Xbox Broadcastでも発表された以下のタイトルが配信後にXbox Game Passに登場することを紹介。日本で人気のあるシリーズやタイトルが揃っており、特に日本の古くからのゲーマーにもGame Passへ入ってもらえるようにアピールするかのようなラインナップでしょう。
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『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』
『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』
『みんな大好き塊魂アンコール』
『オール・ユー・ニード・イズ・ヘルプ せーのでもふくるポン!』
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それから、Xboxで発売予定のタイトルも紹介。気鋭のクリエイターによる新作が揃っており、いずれも期待がかけられています。
『メタファー:リファンタジオ』
『野狗子: Slitterhead』
『Threads of Time』
『Tanuki Pon's Summer』
『ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地~』
『Age of Mythology: Retold』
『Synduality: Echo of Ada』
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また、日本の伝統的かつ人気RPGやアクションシリーズの発売も予定。こちらも注目度の高いあるタイトルでしょう。
『幻想水滸伝 I&II HDリマスター 門の紋章戦争』
『ファイナルファンタジー ピクセルリマスター』
『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』
『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』
『Starcraft 1 & 2』
『オーバーウォッチ2』
『Fallout 76』
『Bleach Rebirth of Souls』
『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』
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続いて加藤氏が強調したのは、「さまざまなデバイスでXboxのゲームを遊んでもらう環境を提供するために、日本、そしてアジアのユーザーにリーチすること」でした。
今回のXbox Broadcastで発表されたタイトルも、24作品中16タイトルがアジア産になったとのことで、存在感を増しているといいます。そのことを証明するかのように、今後のXboxでリリースされるタイトルには韓国で開発されたタイトルも名を連ねています。
韓国タイトル
『Fragpunk』
『Asurajang』
『The Starbites』
近年のアジアでは中国はもちろん、台湾、インドネシアなどでのゲーム開発も見逃せない発展を見せている最中であり、特に韓国にて興味深いデベロッパーが台頭していると見ています。今回のラインナップでも、その片鱗が見受けられるでしょう。
加藤氏は「こういった多くのラインナップのなかで、アジアはXboxにとって、マーケットだけではなくコンテンツ発信の地域としても非常に大事。我々としてもより一層パートナーシップを築いてゆく」と説明。日本でのXboxはアメリカやヨーロッパのビデオゲームをプレイできる意味が大きかったものですが、今はその趨勢も変わりつつあるということかもしれません。
また、Xbox全体としてもさまざまなプレイヤーに「より多くのデバイスでプレイしてもらう」ことを目標としているとのことです。
これは現在、Xbox Series X/Sのコンソールだけではなく、PCでもゲームプレイが可能である状況から語られているのだと思われます。近未来的にプラットフォームホルダーとして配信しているタイトルは、コンソールのみに縛られずに配信が可能である、ということの近未来についても気になるところでした。
アジアの各地域でXboxはいまだ黒船であり、触れられる機会を増やしたい
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ブリーフィングに続いて各メディアによる質疑応答では、発表された内容についての回答が行われました。いくつか興味深い点があったため、Game*Sparkでも気になった発言について伺ってみました。
ーー今後はアジアとのパートナーシップを強める発言がありましたが、あらためまして、日本マイクロソフトではいつ頃からアジアの存在感を意識されるようになったのでしょうか。
加藤氏:私の個人的な推察も含めてですが、アジアの各国には、日本で初めてXboxが発売されたときのような “黒船”といったイメージがまだまだあるのではないかと。
ーー “黒船”とは懐かしいですね(笑)。初代Xboxは発売された当時では、海外のマイクロソフトからコンソールが展開されることや、日本のコンソールに慣れたユーザーからするとFPSなど海外のゲームの文脈も物珍しかった時代でした。
加藤氏:我々としては先ほども述べたように、Xboxがいろいろなデバイスでプレイ可能になることに重きを置いている中で、アジアというのは成長が絶対的に大きい市場であると見ています。
コンソールだけではなく、PCやクラウドといったゲーミングのほか、いまWindowsで携帯のデバイスがたくさん出ていると思います。遊びの幅が持てるということは、アジアにとってXboxを遊べる環境が広がっていくところだと思っています。ですので、これまで展開が難しかったアジアのエリアでの大きな成長に繋がると我々は見ています。
ーー「さまざまなデバイスでXboxのゲームをプレイ可能に」とおっしゃらっていましたが、そこには今後のプラットフォームホルダーとしてゲームの展開をコンソールに絞らないことを意味することが、さらに進むのでしょうか。
加藤氏:Xboxのゲームコンソールだけではなく、PCでも遊びやすい環境が整っているのだと思います。これまでフィル・スペンサーやサラ・ボンドも言い続けていることですが、「それが成長のカギだ」と思っています。
コンソールだけではなく、いろいろな体験をいろいろな場所で出来ることが重要です。たとえば先日発表したFire TV Stick 4KでGame Pass Ultimateのクラウド対応ゲームが遊べることもそうですけど、エントリーできるポイントがあればヘビーなユーザーではなくても、Xboxの扉を開けやすい環境になっていると思います。
ーー他社も含めた話になりますが、最近ではコンソールの値段が下がりにくく、為替や物価上昇に伴い高額なため、収入が低い世帯はおいそれと手を出しにくくなっています。その意味ではGame Pass Ultimateにおけるクラウドゲーミングは先進的で、PCやスマートフォンなどマルチデバイスでプレイできる機会とは、そうした壁を取り払う部分もあるのかと。
加藤氏:具体的なところはお話できませんが、我々としてはいろいろなユーザーのニーズに応えることが大事だと思っています。その意味ではXboxのエントリーポイントを増やしていて、そういった形で応えていると考えています。
ーーそうしたエントリーポイントを増やすポイントに、クラウドゲーミングの効果は大きいように思われますが、アジアでもクラウドからの伸びを感じられていますか。
加藤氏:最近で言うとPCやクラウドというのは、ゲーム業界だけではなくさまざまな分野で成長していると思います。我々としてもそこに期待をしているところも、ひとつ大きいところです。
いま、プレイヤーのニーズは非常に広がっているので、様々なニーズに応えていくというのが我々にとって大きな宿題です。
ーー加藤さんは20年以上ゲーム業界に関わられているとのことですが、この1年の業界の変化についていかがですが。
加藤氏:やはり業界の流れもあるのかと思うのですけど「クロスプラットフォーム」とか「マルチプラットフォーム」というキーワードがこの数年、存在感を増していると考えています。
我々としてもコンペティター(※競争相手)の方たちが活躍することが、実際に市場を活性化させることと思っていますし、パートナーの方たちのコンテンツが売れて、ユーザーがいることがビジネスにおいては大事かなと思います。
ーー今年のXboxのエントリーポイントという意味では、『パルワールド』については外せないと思います。マイクロソフトとして、かなりインパクトのある結果が出ていましたか。また、最近はコミュニティなどでも『パルワールド』の話題で溢れかえっており、その現状も含めてどうお考えなのかも伺えれば。
加藤氏:その現状というのはどのあたりを出していくかによりますけれど……(苦笑)。『パルワールド』は我々だけじゃなく、日本のゲーム業界にとってすごくインパクトが強かったんじゃないかなと思うんですね。なにか雷のようなかたちで、爆発的に売れて。我々としてもプラットフォームとしてサポートしているタイトルだったので、そういったインパクトはもちろん大きいです。
そういう意味では刺激があって、すごくいいニュースだったなと思います。我々だけじゃなく、世界中のいろいろなニュースに取り上げられていますが、現状、我々は一つのタイトルとして引き続きサポートすることは変わらないです。
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