
東京ゲームショウ2024のインディーズゲームエリアにて、Springloadedはゲームスタジオ経営シム『Let’s Build a Dungeon』を出展。日本語と英語のデモ版を1台ずつ用意しています。
『Let’s Build a Dungeon』は新興のゲームスタジオとしてMMORPGを開発・運営していく経営シムですが、単なる経営シミュレーションではなく実際に“ゲーム内ゲーム”をプレイヤー自らが作り上げていくのがポイントのタイトルです。2024年の独・gamescom 2024や米・PAX Westにもプレイアブルが展示されましたが、日本語版はTGS2024が初となります。
デモ版は1人20分の制限があり、実際のゲーム開発パートを中心にプレイが可能。RPGの舞台となる島を選びから始まり、勇者の職業(デモ版は戦士と魔法使いの2種類のみ)、街づくり、ダンジョン設計、造り上げたダンジョンをNPCプレイヤーたちが攻略する姿を眺めるまで、一通り体験できます。



内部にはモンスタースポナー、宝箱、トラップ、ボス部屋などダンジョンになくてはならないギミックはもちろん「壊れた梯子」といった、雰囲気作りにかかせないオブジェクトまで自在に配置できます。序盤はワンフロアだけの小さなダンジョンしかできませんが、「モンスタースポナーを5つ配置する」「宝箱を3つ設置する」といったミッションをこなしたり、床面積とオブジェクトの比率など条件を満たせば、さらなる深い階層や広い部屋へと拡張できるようになります。
開発段階である現時点では、街やダンジョンに配置できるオブジェクトを1万種類用意しており、正式リリースまでには2万種類に増えそうとのこと。
地味になりがちな経営パートにも開発の遊び心が見える

会社経営ステージでは人材の雇用・解雇、QA部門から上がって来る難題、オフィスのスペースや借りるエリアの賃料問題などさまざまなタスクが降りかかりますが、デモ版で触れられるのはごく一部に制限されています。

むしろ経営ステージでグっとくるのは、プレイヤーの開発用PC画面に表示されるどこかで見たようなアイコンたちです。「IRQ Chat」はICQ、「NapWire」はNapsterなど一部のPCユーザーには懐かしい限り……。さらに「IRQ Chat」にはプレイヤー=あなたの上司である社長から直接「TGSの会場はどう?うちのゲームは来場者にウケてる?」などメッセージが飛んでくるのですが、その名は「Lord Richard」。かつて『ウルティマオンライン』でロード・ブリティッシュと呼ばれたリチャード・ギャリオット氏を思い出します。

SpringloadedのLead DeveloperにしてCEO・James Barnard氏いわく、彼自身がゲーム開発の世界に入った当時に愛用していたツールたちをもじったものだとか。経営パートでは「IRQ Chat」で様々なスタッフとのやりとりがあり、そのために膨大なテキストを準備したそうです。
『Let’s Build a Dungeon』は先述のような「街を作りましょう」「新たな人材を雇用する」といったミッションが70個用意され、すべて終わればゲームとしてのエンディングを迎えます、もちろん、すんなりとはいきません。作ったRPGはSteam風プラットフォームに登録・販売でき、もしプレイしたユーザー(NPC)から「つまらない」レビューが相次げば、フィードバックをもとにプレイヤーは新たな指示を与え、修正を試みなければなりません。

また、会社の資金が0円になって「破産」になることはありません。ただし資金不足になった場合は投資家からさらなる資金調達を行えるものの、発売後の売上分配比率が変わり、ほとんど儲けが出なくなる可能性もあるのだとか。
経営パートはそこそこに、ひたすら自分の理想のゲーム内ゲーム作り、ダンジョン拡張に集中したいユーザーにはクリエイティブモードも用意されています。

最後にBarnard氏に開発の進捗状況を尋ねたところ、「ゲームショウに出展するたび来場者からさまざまな質問をされ、それがまた新しいアイディアに繋がってどんどん構想が膨らんでしまうせいで、開発状況は50%程度です。発売は2025年、それ以上の詳細は口にできません。そこで“それ以上何も言うな”と睨んでいるスタッフがいますから(笑)」とのこと。また、過去のゲームショウ出展時には『Let’s Build a Dungeon』に10歳の子供が夢中になってしまい、止めるのが大変だったぐらい年齢を問わず幅広く遊べるゲームになっている、ともコメントしています。
『Let’s Build a Dungeon』はPC(Steam)とXbox Series X|S向けに2025年発売予定です。