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今やPC/コンソール/モバイルそれぞれのプラットフォームでサバイバルジャンルの作品は定着していて、多くのプレイヤーがさまざまな世界を舞台にサバイバルを楽しんでいます。
Game*Sparkでは【クラフトサバイバル名鑑】として、同ジャンルが好きな筆者が、定番作品を中心にクラフトサバイバルジャンルの作品の魅力を紹介・解説しています。今回紹介するのは、2024年10月22日にPC(Steam/Epic Gamesストア)でリリースされた方舟作りサバイバル『ArkCraft: The Rebirth of the World』です。
方舟を作り洪水から生命を守れ!
『ArkCraft: The Rebirth of the World』は、デベロッパーZD Yazilimが手がけるオープンワールドサバイバルクラフト作品。プレイヤーは洪水の脅威が迫る世界を舞台に、自身を含む生命を守るための「方舟」を作らなければなりません。また、洪水後の世界を発展させるという2つの時代が用意されています。
ゲーム内では、クラフトや建築、栽培、畜産、採掘といったアクションだけでなく、木工所や紡績所などの施設を作り、方舟づくりのための拠点を発展させていく必要があります。舞台となる古代世界には野生生物だけでなく、蛮族や怪物もいるため、戦闘や探索で世界の姿を解き明かすことも大切です。
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伐採やクラフトなどのアクションで経験値を得てレベルを上げ、スキルを獲得することで新たなレシピを獲得可能。操作などは比較的オーソドックスで、地道にリソース収集や探索を行いながら、プレイできることの幅を広げていくイメージです。
サバイバルの管理項目は空腹と渇きの2つで、物資も豊富なため、単純に生きるだけならば決して難しくありません。洪水も時間的な制限があるわけでなく、自身で方舟を完成させて“次のフェイズ”にたどり着く形式なので、ゆったりとプレイすることができます。
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丁寧すぎるチュートリアル!
ゲームはまず、プレイヤーの分身となるキャラクター作成からはじまります。本作では細かなキャラクタークリエイトは行えず、複数ある見た目の選択と初期ステータス割り振りを行います。jafetやsamなどは「ノアの方舟伝説」に関連したキャラクター名ですね。
物語の舞台は、さまざまな生物が住んでいる小さな島で、いたるところに村や遺跡などが拡がっています。ゲーム内ではチュートリアルとして、ゲームの基本を学んでいくクエストを中心に進めていきますが、この一連のクエストが非常に長いのも本作の大きな特徴です。
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最初は木を集めたり、作業台をクラフトして設置したり、動物を買って料理したりと、他のサバイバル系のゲームでも多い内容です。しかし、本作の場合、特定のレシピや建築物を作るためにスキルツリーを解放していく必要があるので、チュートリアルであっても、すぐに進められません。
そのため、チュートリアルと同時に拠点の建設や探検、サイドクエストなどをこなし、プレイヤーレベルを上げていくことになります。注意しておきたいのはレベルアップ時のスキルポイントで“ステータスを上げないこと”で、割り振りを間違えると、必要なレシピをすぐに獲得できない事態も発生します。
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もちろん特定のステータスを上げることで得られるスキルもあるのですが、序盤はまずレシピの解放を優先しましょう。筆者はサバイバル系のゲームでスタミナを偏重するきらいがあるのですが、本作ではその結果としてチュートリアル進行が大きく遅れてしまいました。チュートリアル達成まで、ゲームに慣れるのを含めて軽く数時間はかかります。しかし、すべては本作の主目的である「方舟作り」には欠かせない要素なので、しっかりと学習していきましょう。
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「方舟作り」は総合的なタスクが必要!
ゲームの中では、とあるNPCに話しかけることで方舟づくりのメインクエストがスタートします。方舟は当然ながら巨大なもので、しかも洪水から生命を守るための準備や備蓄も必要になり、簡単に作りあげられるわけではありません。プレイヤーはまず、方舟作りの準備のために拠点を発展させなければなりません。
例えば、方舟の船体を作るための木材や銅を収集・加工、方舟で生き延びるための食料や種、服や道具の備蓄。そして何よりも、方舟に乗せるための動物を集めなければなりません。これらすべての作業を、プレイヤーはたった1人で行うことになるのです。生産施設では自動生産ができるので、探検中にどんどんキューを入れましょう。
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当然ながら効率的な収集を行うためには、より優れたツールが必要になります。そのために島の鉱山まで行ったり、農場で必要な種を手に入れたりしなければなりません。しかし、古代の時代のためか、色々な場所にはキマイラやデーモン、ドラゴンといった危険な生物も待ち受けています。
『ArkCraft: The Rebirth of the World』では、方舟作りを含め目的がはっきりと提示され、それを達成するために奔走することになります。レベルを上げてスキルを強化する、武器を強化する、お金を稼いでNPC商人から必要なものを購入する、そのやり方はさまざまです。
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長いチュートリアルなど、総合的なタスクが必要になるのは、開発がゲームデザインとして意図しているのではないかな、と思います。気がつけばほぼすべての要素を網羅し、知識や資材も豊富になったら、いよいよ方舟作りです!
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試練を乗り越え、いざ新時代へ
本作のメインコンテンツのひとつでもある方舟作りは、このゲームらしく簡単に行えるものではありません。船造りは1番から順番にパーツを組み合わせていく方式です。そして、大切な話なのですが、方舟は全部で50種類を超えるパーツが必要です。
もちろん各パーツにはそれぞれ資材が必要で、それも決して少なくありません。木材や釘などは千個、いやもっと必要かもしれません。さらに、動物は牧畜だけでなく、罠を使う野生生物などを含めた多くの種類、作物の種も多彩な種類を100個ずつと、最初見たときは気が遠くなるくらいのタスクです。
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ただし、拠点をしっかりと構築しておけば、多くの資材は安定して入手できます。自然資源の再生もそれなりに早いので「今日は木材を集中して集めよう」としている内に、鉱山の鉱脈が復活します。また、施設を作れば拠点で鉱石や粘土などを生産できるようになるので、資材に関してはどんどん安定していきます。
時間制限もなく、サバイバルとしては緩め(飢えや渇きはあるが、一部の樹木を切って手に入る木の実を食べてるだけで死なない)なので、とにかく「方舟作り」のための作業に集中できます。少しずつ、少しずつタスクをこなし、完成させたらいよいよ新時代の幕開けです!新しい時代で解放されるスキルやレシピもあり、ゲームはまだまだ続きますよ!
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『ArkCraft: The Rebirth of the World』は“方舟を作る”というテーマを主軸に、非常に多角的なゲームプレイが求められます。それぞれはオーソドックスなクラフトサバイバル作品に近い内容ですが、とにかく必要とされる作業量が多いので、地道にじっくり進めていくことが大切です。
開発陣が精力的なアップデートに取り組み、UIやゲーム機能も短期間で大きく変化しています。一方で不具合も多く、先日追加された「作物を触るだけで収穫できる」機能が「畑に入った野生生物が触った作物が主人公の収穫扱いになる」という不具合になり、いきなりインベントリに種と野菜が溢れて驚きました。Steamフォーラムでの返信や対応も早いので、なにか気になる点があったら要チェックです。
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また、ゲーム内で説明されていない機能も多く、不親切さが目立つことは否めません。条件を満たせばキーボード「F」で飛べるようになるのですが、その説明に気付かず、操作ミスでいきなり飛んだ主人公に筆者は呆然とし、思わず「お前飛べたのか……」と呟いていました。一度操作を覚えると超便利ですよ、飛行。
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クラフトサバイバル経験者であれば操作やアクションはわかりやすく、“方舟を作る”テーマや、それで終わらないゲーム内容もユニークです。まだまだ不具合も多く発展途上のゲームですが、しっかりと収集・探検・建築の面白さを味わえます。1,000円以内という価格を考慮しても、かなり魅力的な可能性を秘めているゲームだと思います!
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