今回は、corsgamesが開発し10月28日にリリースされた『Waffle Cone Willie(ワッフルコーン・ウィリー)』のプレイレポートをお届けします。
“追われる恐怖”を描くサバイバルホラー
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本作は、一人称視点のサイコロジカル・ホラーアドベンチャー。プレイヤーは、徘徊する不気味な「殺人アイスクリームトラック」から逃げながら、街を探索してパズルを解き、隠された不吉な真実を明かしていきます。次の犠牲者となるのか、それとも生き延びられるのか……。
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最大の特徴は、一度見たら夢に出てきそうな殺人アイスクリームトラック「ウィリー」の恐ろしい顔面。人間を容易く噛み砕けそうな鋭い歯、脳味噌のように深く刻まれた肌シワ、妖しく光る赤色の眼光、トラックから突き出たおぞましい輪郭と不気味な表情など、そのインパクトは絶大。プレイヤーはこの異形に“追われる”恐怖を存分に味わうことでしょう。
顔面凶器といえば、邪悪な機関車チャールズから逃げる傑作ホラー『Choo-Choo Charles』も似たような世界観とゲームシステムで、本作への影響が伺えます。こちらの作品も素晴らしいほど怖いのでぜひ体験していただきたいと思います。
日本語に対応。コントローラー操作はイマイチ
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操作はキーボード及びコントローラーパッド使用可能。コントローラーでは、カーソル移動や一部アクションが反応しないので注意が必要です。言語は日本語字幕/インターフェイスに対応し、翻訳精度は高くはないもののゲームプレイに支障はありません。
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その他は、音声やキーバインドなどの設定。グラフィックスは解像度や画質の変更が出来ますが、処理が重く落ちやすいので品質は落としたほうがいいかもしれません。
街を探索し殺人トラック「ウィリー」から生き延びろ
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主人公は、あらゆる超常現象を調査しているエージェント・ディビッド。彼は同僚のリックから不穏な手紙を受け取り、舞台となる放棄された街「スウィートウォーター」へとやって来ました。
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リック曰く「街にいる間ずっとアイスクリームトラックのジングルが鳴り続け、誰かに監視されている」とのことで、パニックになった彼は仕事を放棄して去ることを決意。どうやら、ここで何が起きているのか真相を解明して欲しいようです。
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スウィートウォーターは静寂が包む住宅街。そのリアル感が雰囲気抜群で、早くも背筋がザワつき出します。まずは、アイコンに従って「47番地」の邸宅を調査していきましょう。
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インベントリは簡素な機能が纏まったシンプルな設計で、所持品を調べたり現在の目標を確認できます。
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家中を隅々まで物色していくと、キーアイテムやヒントが書かれた紙片など、様々なオブジェクトを発見。正直なところ、ウィリーに追われるだけのチープなものかと思いきや……本作は探索要素が意外なほどしっかりと作り込まれており、とても歯ごたえあるプレイフィールでした。
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地図を頼りに調査を続け、52番地の家を調査していると、ガレージの奥に気になるメモを見つけます。そこには「“聖ミカエルのレリック”のピースを集めて一つにすれば悪夢は終わる」と書かれており、隠された4つのピースの場所がそれぞれ記載されています。
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というわけで、各レリックが眠るエリアに移動しようと一旦外へ出ると、何やら遠くの方から歪んだジングルが聞こえてきます……!徐々にその不快な音がこちらに近づいて来たかと思った、次の瞬間。
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妖しく発光するレッドアイ、鋭利な歯列と巨大な口元……人喰いアイスクリームトラック「ウィリー」が突如目の前に現れ、その異常なほど恐ろしい顔面にビビリまくった筆者は、思わずコントローラーを放り出す始末。
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ウィリーに見つかり逃げ切れなかった場合、一発即死でセーブ時点からリスタートします。確かに、あんまデカい口で食われたらひとたまりもないでしょう。
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殺人トラックはスウィートウォーターの街中を徘徊しており、神出鬼没です。もし目線を合わせてしまったら襲いかかって来て非常に危険なので、しゃがんだり植木に隠れながら見つからないよう慎重に進んでいく必要があります。
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ただし、ウィリーは家の中までは追ってこれません。その上、もし逃げ切れた場合ヤツは一時的に消えるという習性があるので、ワザと見つかって生死を賭けた勝負に出るのも緊張感とスリルがある戦術でしょう。
戦慄の怪奇現象と明らかになる“異形の正体”
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プレイヤーにとって、家の中が絶対に安全かと言うと決してそうではありません。探索中には数々の背筋が凍るような怪異が頻発。例えば、何の変哲もなかった物置部屋の一角に、振り返ると人のカタチをした謎の黒い袋が突然現れたり……
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別の部屋に入ったところ、前触れもなく不気味な笑い声が響き渡り、ドアが勝手に動いて閉じ込められたり……心臓に悪いジャンプスケアが至る場面で起こります。
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そしてダイニングルームに差し掛かかると、目線の先に真っ白のスーツを着た誰かが立っている。「どうせコレもジャンプスケアで、すぐ消えるやつだろ。恐がるこたぁねえ」と甘くみた結果……
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なんとコイツ、しっかりとした敵でビビり倒す筆者。しかも捕まると即ゲームーオーバーに。殺人トラック以外に敵がいるなんて……聞いてないよ!とにかく、外も中もまったく気が休まりません。
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謎解きは、意味深なメモを解読し正しい順番で装置を作動させていく、ホラーゲームではオーソドックスなスタイルですが、なかなかやり応えがあり満足感の高い仕上がりだと感じました。
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時折、家の中でいくつかの新聞記事を見つけることがあります。それによると、アイスクリーム屋の「ウィリー・トンプソン」が逮捕され、立場を利用して子供たちを誘拐した罪で死刑判決が下された、というゾッとするようなことが書かれています。
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それに留まらず、死刑が執行され無事平和が戻ったかにみえた街で、再び不吉なジングルが聞こえるという噂話が。つまり、プレイヤーが遭遇するバケモノの正体は、もしかしたら殺人鬼ウィリーの幽霊が憑いてしまった異形のアイスクリームトラックだったのか……?!
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最後のレリックを求め、公園へ訪れます。「これで、やっとアイツを倒すことができる」と安堵したのも束の間。後ろの方から、聞き覚えのある不快な音が流れてきたのでした……。
本作の良かった点は、やはり殺人トラック「ウィリー」の造形とデザインで、その異形の姿は絶大なインパクトを与えます。そして息を殺しながら移動するステルス感と、捕まってしまえば一発死という緊張感がスリルを増大させ、追われる恐怖を見事に感じました。
また、しっかりと機能していた探索と謎解き要素、ジャンプスケア要素は、程よい刺激で飽きさせない良い工夫だと思いました。所要クリア時間も1~2時間程度と気軽にプレイできるので、ぜひ遊んで欲しい良作ホラー作品です。
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タイトル:『Waffle Cone Willie』
対応機種:Windows PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)
発売日:2024年10月28日
著者プレイ時間:4時間
価格:1,800円
※製品情報は記事執筆時点のもの
顔面凶器の殺人アイスクリームトラックに追われるのが怖すぎたスパ……!不吉なジングルが鳴り出すのも不気味だスパ