自動生成やパーマデス（一度死ぬとすべてを失う）など、さまざまな要素が絡み合い、何度遊んでも楽しむことのできるゲームジャンル「ローグライク/ローグライト」。今週の「げむすぱローグライク/ローグライト部」第6回では、現在Steamにて早期アクセス中の国産のローグライトアクションRPG『蒐命のラスティル -とこしえの迷宮城-』の魅力をお伝えします。
『蒐命のラスティル -とこしえの迷宮城-』とは
本作は、神戸情報大学院大学・神戸電子専門学校の手がけるゲームブランド「KIC Games」からSteamにて早期アクセスとして配信されているローグライト3DアクションRPGです。
毎回構造が姿を変える謎に包まれた「迷宮城」。冒険者ラスティルは妖精コトリンに導かれ、この城の探索に挑みます。ゲームジャンルとしてはいわゆる「無双系」のスピーディーな3Dアクションで、剣・銃剣・杖の3種類の装備を適切に切り替えながらボタンでの攻撃・特殊攻撃・回避・ジャンプ、そしてボタン同時押しの組み合わせでさまざまなスキルが発動できます。
ドロップアイテムやダンジョン内の宝箱から手に入るアイテムには最大★4までのレアリティがあり、レアリティが高いほど装備の性能が高く、さらに様々な特殊効果が付与されています。
もちろん強い武具を装備すればするほど有利ですが、ダンジョン内で力尽きてしまうと所持しているアイテムはすべて没収されてしまうので、強力なアイテムを手に入れた場合はそのまま進むか、あるいはいったん引き返して倉庫に預けるなり、ダンジョンを周回して装備を強化していくか……などの選択が問われます。
また、本作はゲームを進めていくとさまざまな「英雄」たちの魂を解放していくことができます。
英雄たちの能力は各フロアのクリア時報酬であり、迷宮城内に点在する英雄の像を調べたときも得られるスキルとして提示されるようになります。毎回の冒険ごとに英雄たちの能力はリセットされてしまいますが、現在の装備に合ったスキルを習得していくことで、ラスティルはより強力になります。
ある程度ゲームが進行すると、ダンジョン内で手に入る「捕獲石」を使ってモンスターを撃破することにより、低確率で「モンスター・ファミリアー」が手に入るようになります。これを持ってダンジョンを脱出すると、以降捕獲したモンスターを「おともファミリアー」としてダンジョンに連れていくことができます。
各ファミリア―には、ダンジョンで手に入れた「スキルピース」を使用してファミリアーを強化できます。こうして強化した能力や性格はダンジョン内での強さや行動AIに反映されます。
ファミリアーは自動行動するので時折敵に囲まれてあっさりやられてしまうこともありますが、数十秒後にリポップするので心配はご無用。安心してお気に入りのモンスターを連れまわしましょう。
ゲームを進めて得られる特殊能力に、「浮遊武器」があります。これはメイン装備以外にもサブの武器をラスティルの周辺に浮遊させて持ち歩けるというもので、浮遊武器とメイン武器はいつでも交換できるので敵との相性に合わせて武器を交換する……ということができるほか、習得スキル次第では浮遊武器が自動的に敵を追尾して攻撃するオールレンジ攻撃まで可能になります。ええい、蒐命のラスティルはバケモノか！！
ダンジョン内の特定の階層には店があり、不要アイテムを売ったり必要なアイテムを買ったりすることができます。ゲームが進むと「盗む」というコマンドが出るように……これを行うとどうなるかは、ローグライク愛好家の皆様には想像がつくのではないでしょうか（なお某ゲームと違い、店員も絶望的に強いわけではなく、あえて敵対させて捕獲石を使うことで仲間モンスターにすることも可能だとか……）。
もし迷宮城内で力尽きてしまうと装備や所持品は失ってしまいますが、ダンジョンを探索して得られる「SP」は蓄積されます。この「SP」を消費して、拠点で閲覧できる「スキルツリー」を成長させられます。このスキルツリーの成長でキャラクターの基本能力値だけでなく、浮遊武器の装備数や英雄スキルの所持数なども永続的に強化することができるので、挫けることなく何度も迷宮城へと挑みましょう。
kawaiiキャラクターでスピーディーで爽快なアクション探索！こんなに楽しいことがあるか
さて、ここまでこのゲームのシステム面を解説してきましたが、なんと言ってもこのゲームの最大の魅力は「ラスティルちゃんがかわいいこと」です。なお、髪型・髪色はゲーム開始時にカスタマイズが可能です。
「鉄の鎧」を装備すると胸に「鉄のよろい」という手書きのゼッケンを貼りつけた服装になります。もしかしてラスティルちゃん……アホの子？
なお、和服系の柔らかい素材の防具を装備させると、何かとは申しませんがしっかり「揺れます」。意外とおっきい。
もちろんラスティルちゃんのかわいさだけでなく、スタイリッシュなアクションも魅力です。基本は攻撃ボタン連打でガンガンコンボが繋がって敵をなぎ倒せますし、さまざまなスキルで追い打ちをかけたり、緊急回避で華麗に避けたり……というスピーディーかつスタイリッシュな操作が簡単にできます。
また敵の攻撃に対するジャストガードやジャスト回避で敵に隙ができるという要素も搭載されており、ジャストタイミングの判定も結構甘めなので巨大ボス相手でもなかなか気持ちのいい戦いができます。
本作のサバイバルスキルを問われるのがダンジョン内に点在する「モンスターハウス」です。ここでは部屋に十数体のモンスターが登場し、一斉にラスティルに襲い掛かってきます。単純に通常攻撃やスキルで敵をまとめて倒すだけではなく、召喚のスクロールで味方の数を水増ししたり、爆発のスクロールで敵を吹き飛ばしたり、あるいは回復アイテムをがぶ飲みして生き残ったり……など、ありとあらゆる生存戦略が必要になる部屋です。
もちろん敵を全滅させれば大量のアイテムが手に入って見返りは大きいですし、シナリオを進行させるためには一部のモンスターハウスの制覇で手に入るアイテムが必須なので、持てる力のすべてをつぎ込みましょう。
本作の現行のSteamでの評価は「賛否両論」で、主に早期アクセス初期のバグの多さや動作の重さ、フロア内の罠のテンポの悪さの面で評価を落としていますが、2024年11月16日時点のバージョンではこれらの多くは改善されています。
現行バージョンでも遠距離攻撃を放つ敵に多数囲まれるとなかなかアイテム使用ができず、ハメに近い形でアイテムを使う前に倒されてしまうがある（最大HP消費など何らかの形で格闘ゲームのバーストのような敵吹き飛ばしができるようにしてほしい）、キャラクターメイキングのやり直しができないなど、不満に感じる点があることはあるのですが、少なくとも現時点でかなりレベルの高いローグライト3DアクションRPGだとは思います。
何はともあれこの『蒐命のラスティル』、無双系アクションゲームの気持ちよさ、ローグライトの繰り返し強化やキャラクタービルドの楽しさ、そしてひとつのミスが装備アイテム全ロストに繋がりかねないローグライクらしい緊張感が絶妙にかみ合っており、早期アクセス段階ながらかなり完成度の高いローグライトアクションRPGです。かつてアーケードで稼働していた『Quest of D』『シャイニングフォース クロス』や、PS1の『TOBAL No.1』のクエストモード（ウダンズダンジョン）が好きだった方なら、本作が刺さる可能性は高いと思います。とにかく、最近の筆者おススメの一本です。
あと、ラスティルちゃんかわいい（大事なことなので、最後にも言いましたよ）。
