今日ではもはやPCゲーマーにとって欠かせぬ存在となり、大量のインディーゲームが花開く場所となったSteam。しかし、もしかしたらその「Steam」が影も形もなかったか、あるいは当時の大企業の論理で作られた、使いづらいDRMサイトとして時代の徒花となっていた世界もあったのかも知れません。
Valveは、名作FPSアドベンチャー『Half-Life 2』の20周年を記念して公開されたドキュメンタリー「Half-Life 2: 20th Anniversary Documentary」の中で、同作開発中に起こったVivendiとの絶望的な訴訟とそれを救ったとあるインターン生の話を語っています。
名作FPS開発の裏側で実は潰れてかけていたValve
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先日に公開された「Half-Life 2: 20th Anniversary Documentary」は『Half-Life 2』に焦点をあてたドキュメンタリー動画です。幻の「Episode 3」の開発舞台裏やハッキング、リーク事件などについて当時の関係者らが語る興味深い内容となっています。
動画中では『Half-Life 2』開発中にVivendiとの裁判で潰れかけてしまっていたことにも触れています。Sierra Entertainmentを買収したVivendiは『Counter-Strike』のライセンスをインターネットカフェに供与しましたが、Valveはライセンスの範囲外であるとしてこれに反対。最終的に訴訟に発展する事態になりました。
当初はValve側の有利に事が進んでいましたが、Vivendiが大きな法律事務所を新たに雇ったことで状況が一変。2001年の最初の契約の取り消しや、Vivendiの『Half-Life』IP全取得、Steamの運営の停止などを目論んだ大量の反訴でValveを追い詰めます。
倒産寸前の危機を偶然救ったのはまさかの夏季インターン生
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ValveはVivendiのアジアでの活動についての書類を求めましたが、それに対して大量の韓国語の文書を提出。当時のValveでは多国籍企業であるVivendiに太刀打ちできず、時間と資金を浪費させる手法に倒産寸前まで追い込まれます。
しかしながら、偶然にも夏季インターン生として在籍していた「アンドリュー」氏の存在によりまたもや状況が一変します。韓国語が母国語でありカリフォルニア大学ロサンゼルス校で韓国語学を専攻していたという同氏は、大量の証拠の中から、VivendiがValveとの契約に関する文書を意図的に破棄したことを示唆するメールを発見。この証拠によりValveは無事に有利な状況での和解を勝ち取りしました。
歴史的名作の開発の裏側でValveが潰れかけ、奇跡的に危機を脱したというとてつもない秘話も公開されたドキュメンタリー「Half-Life 2: 20th Anniversary Documentary」は公式YouTubeチャンネルで公開中です。
※UPDATE(2024/12/3 19:10):本文中、表現を一部変更しました。