『Half-Life 2』の20周年記念ドキュメンタリーの中で、Valve創設者のゲイブ・ニューウェル氏は当時を振り返り、インターネット経由でゲーム配信が可能なことを誰も理解してくれない「とても奇妙な時代だった」と語りました。
『Half-Life 2 』の開発中、Valveと販売元であるSierra Entertainmentとの関係性が悪化していたこともあり「自社のゲームは自分たちで管理したい。デジタル販売だけにする必要はないが、物理パッケージを扱う小売店とは取引したくない」と考えていたそうです。
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ゲームショップや小売業者の元へ足を運び、ネット経由でゲームソフトの配信は可能であると何度話しても「彼らはいつだって、それはあり得ないと言うだけ。一人や二人のことではなく、我々が話をした取引先の99%がネットでのゲーム販売は絶対に起こりえないし、“そうさせない”と言ったんです」「ユーザーが欲しいのは手に取れる物理パッケージであって、ネット販売なんて求めてないでしょ?」といった言葉も返されたニューウェル氏にとって、ゲーム販売店は開発元とユーザーの間に立ちはだかる“障害だ”と表現しました。
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その後『Half-Life 2』はSteamから配信される最初のゲームであり、Steamの成功に大いに貢献することになります。
一方、『Half-Life 2』はゲームショップ実店舗の消滅にも貢献したタイトルとなったものの、ゲーム業界の「ネット配信への転換」は中古のPCゲームがある年代以降は激減することを意味し、Steamでのゲーム販売が「所有権ではなくライセンスの購入」にしか過ぎず、ある日を境にゲームが購入できなかったり、購入したゲームを実行できなくなる可能性を考えると「Steamには勝利、消費者であるユーザーには不利益でしかない」との意見も見られます。