Nexon CEO イ・ジョンホン氏に独占インタビュー!『アラド戦記』や『メイプルストーリー』などの世界的IP活用戦略と「初恋の相手、Nexonへの熱い想い」【G-STAR 2024】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Nexon CEO イ・ジョンホン氏に独占インタビュー!『アラド戦記』や『メイプルストーリー』などの世界的IP活用戦略と「初恋の相手、Nexonへの熱い想い」【G-STAR 2024】

NexonのCEO イ・ジョンホン氏へインタビューを実施。『アラド戦記』や『メイプルストーリー』など老舗IPを活用した今後のIP戦略から、20年以上にも及ぶ「Nexon一筋」のキャリアを持つイさんのゲーム文化やNexonに対する想いまで、インタビューを通して伺いました。

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Nexon CEO イ・ジョンホン氏に独占インタビュー!『アラド戦記』や『メイプルストーリー』などの世界的IP活用戦略と「初恋の相手、Nexonへの熱い想い」【G-STAR 2024】
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11月14日~17日にかけて、韓国・釜山にてゲームイベント「G-STAR 2024」が開催されました。Game*Sparkは、この韓国最大規模のゲームイベントでメインスポンサーを務めたNexonのCEO イ・ジョンホン氏へインタビューを実施。『アラド戦記』や『メイプルストーリー』など老舗IPを活用した今後のIP戦略から、20年以上にも及ぶ「Nexon一筋」のキャリアを持つイさんのゲーム文化やNexonに対する想いまで、インタビューを通して伺いました。

◯イ・ジョンホン氏 プロフィール

2003年に大学を卒業後、NEXON Korea Corporationへ入社し、ゲーム開発の現場からキャリアを進める。19年間で8億5,000万超の登録ユーザー数と220億米ドルを超える累計総売上高を記録した『アラド戦記』、2003年に配信開始以来2億5,000万超の登録ユーザー数と50億米ドルを超える累計総売上高を記録した『メイプルストーリー』などにおいて、プレイヤーのエンゲージメント向上と収益の拡大に貢献。長期に渡りゲームを成長させる同社のライブ運用における部門責任者も務めた。

2018年には、NEXON Korea Corporationの最高経営責任者に就任。2023年3月に株式会社ネクソンの取締役に就任後、2024年3月より当社代表取締役社長に就任(https://www.nexon.co.jp/about/)。

――イさんのキャリアについてお聞かせください。

イ・ジョンホン: 新卒でNexonに入社し、以降20年以上にわたってこの会社で働いています。最初はゲームの開発チームに入り、MMORPG『風の王国』に携わりました。当時、韓国ではITベンチャー企業ブームが起きていて、Nexonにも優秀なエンジニアが多数在籍していました。「私が2日間悩み続けていたバグをほんの30分で解決してしまう」というようなハイレベルな方もいましたね。そうして仲間たちの優秀さを感じる中で、自分は開発のみならず他の分野でも能力を活用する必要があると考え、以降はビジネス面やゲームサービスの事業全般に関わっています。

――「G-STAR 2024」初日のNexonブースを見て、どのように感じましたか。

イ・ジョンホン: 今回の「G-STAR」では様々なタイトルを試遊展示しましたが、多くの方が熱量を持ってプレイしてくれて、その姿が非常に印象に残りました。新作を披露するだけでなく、実際に手にとって試遊してもらい、プレイヤーからのフィードバックが得られる重要なイベントだと考えています。

――今回のNexonブースにおける目玉タイトルは『SUPERVIVE』だったと思いますが、このタイトルをプッシュした背景や、プレイヤーの反応について教えてください。

イ・ジョンホン: 今回の「G-STAR」で『SUPERVIVE』を目玉タイトルに選んだ理由は11月21日にローンチを控えていたためでしたが、本作を試遊したユーザーからの反応は非常に熱く、嬉しい思いです。


開発した様々な作品は内部でテストプレイを重ねているのですが、そこで最も反応が良かったのが『SUPERVIVE』でした。そこでリリースを決定したのですが、正直なところ「初めて触れるには難しいゲームではないか」と考えていました。しかし、今回の試遊出展ではすぐにルールを理解して楽しんでいるプレイヤーが多く、自信を持って本作をリリースするまでにたどり着けました。

NexonのIP戦略とCEOの視座

――イさんは、NexonのIP戦略において「垂直的成長戦略」と「水平的成長戦略」という2つの方向性を提示されています。この考えの具体的な内容と背景を教えてください。

イ・ジョンホン: 「垂直的成長戦略」は、「『アラド戦記』や『メイプルストーリー』といった現在Nexonが持っている主力IPをより大きく拡大していく」という方針です。『アラド戦記』は累計登録者数8億5,000万を超える作品ですが、認知度の面ではアジアに限られている印象があります。そこで、ライブサービスではない“パッケージングしたゲーム”の本作をリリースすることで、「日本を含む世界中で『アラド戦記』の認知度も上昇する」といった相乗効果を期待しています。

一方で「水平的成長戦略」では「Nexonに次の柱となる新しいIPをひとつずつ増やしていくこと」を意識しています。

日本の『マリオ』シリーズや、『ゼルダ』シリーズ、『ファイナルファンタジー』シリーズといったIPは世界中のゲーマーに愛されていますよね。そして我々も『アラド戦記』や『メイプルストーリー』という、強力かつ全世界で長期にわたって愛されるIPを擁していて、誇りを持って運営しています。こうした既存のIPを「垂直的成長戦略」にてさらに成長させながら、「水平的成長戦略」として新しい主力IPを創り出していくことが、我々が掲げている方針です。

――「垂直的成長戦略」で取り組まれる施策のひとつに「ハイパー・ローカライゼーション」を挙げられていました。この取り組みについても、具体的に教えてください。

イ・ジョンホン: シンプルに述べれば、「ローカリゼーションに多額の投資をすること」を「ハイパー・ローカライゼーション」と考えています。グローバルワンビルド(画一的なサービスとして全世界に展開すること)ではなく、現地の人々の好みや文化に合わせてコンテンツを提供することを重要視しています。近年、それぞれの地域の好みを考慮せず、グローバルワンビルドでのサービスを行うゲーム会社が多いと感じます。欧米のパブリッシャーがアジア圏で成功できていない理由は、そこにあるのではないでしょうか

そこでNexonでは、それぞれの地域に開発チームを作り、現地のニーズに合わせて素早くコンテンツを提供していきます。そのため、我々は「ハイパー・ローカライゼーション」に取り組んでいこうという考えです。

――日本における「ハイパー・ローカライゼーション」の取り組みについて教えてください。

イ・ジョンホン: ライブサービスゲームの開発チームは韓国にありますが、今後は日本のメンバーで構成される現地チームの設立を考えています。翻訳はもちろん、日本のトレンドに合わせたイベントの開催やコスチュームの発売などに、多額のリソースを投入していく予定です。

――「水平的成長戦略」に関連して、新たな柱を作る試みを教えてください。

イ・ジョンホン: 水平的成長戦略の取り組みとしては、完全オリジナルのゲーム作品を展開します。「G-STAR 2024」でも映像のみ出展しましたが、スウェーデンのEmbark Studiosで開発している『ARC Raiders』というゲームも2025年中の発売を予定しています。

――「水平的成長戦略」について再びお聞かせください。『アラド戦記』や『メイプルストーリー』で培ってきたノウハウは、今後発表されるゲーム作品にどのように活かしていきますか。

イ・ジョンホン: Nexonが持っている強みとして、ゲーム運営を行う中で収集したデータを中央で管理・分析する組織が挙げられます。そのため『アラド戦記』や『メイプルストーリー』など20年以上続くゲームで得られた情報やノウハウを、既存のゲームはもちろん、新規のゲームにもシェアできます。それぞれの開発チームが、このデータに基づいてユーザーを満足させられるようなゲーム作りに取り組んでいます。

――イさんは『ブルーアーカイブ -Blue Archive-』や『デイヴ・ザ・ダイバー』という、日本人にも馴染み深いプロジェクトも担当されています。それらのタイトルのチームで指揮をとった際に、大切にしていたことはありますか。


イ・ジョンホン: 私は、クリエイティブな面では直接関わっていません。クリエイティビティや努力は、全て開発スタジオから生まれたものです。私が関わったといえるものは2点で、ゲームを開発する上で必要な素晴らしい人材を揃える人事面でのサポートと、意思決定のハードルをより低くするための仕組みづくりです。

優秀な人材は自ら責任感を持って、ゲームの開発やサービスに取り組みます。それぞれが自由な環境で開発ができるよう、全力で支えたことが私が取り組んだ全てです。

――イさんが見る「ゲーム業界」についてお聞かせください。入社してからの約20年間で一番大きく感じている変化は、どのようなものでしょうか。

イ・ジョンホン: 我々が最も真摯に受け止めるべき大きな変化は「ゲーム開発者とプレイヤーの関係性の変化」です。ファミコンなどのゲーム機が主流だった時期は、ゲーム開発者はコンテンツを与え、プレイヤーはそれを受動的にプレイするだけでした。しかし、現在はプレイヤーは様々なフィードバックを与えてくれます。そして意見に向き合ってくれる開発者やゲーム会社を応援して、支えてくれます。このフィードバックに向き合うことが出来ないゲーム会社は、この先のゲーム業界で生き残れないと私は考えています。

「ゲームファン」としてのNexonへの想い

――Nexonファンのコミュニティでは“イさんが10代の頃から「Nexonファン」であったこと”も知られています。イさんのゲーマーとしての思い出について、お聞かせください。

イ・ジョンホン: 自分が死ぬ前にパッとひとつ思い出すゲームがあるとすれば、それは……実はNexonのゲームではなく『悪魔城ドラキュラ』ですね。『マリオ』も愛していますし、まさに自分の夢に思い描いたようなキャラクターでした。これらの作品を中心に、日本のゲームをずっとプレイしながら少年時代を過ごしてきました。

その後、Nexonの『風の王国』というゲームにのめり込みました。本作は開発者が用意したコンテンツをプレイするだけでなく、作品の中でユーザーと直接コミュニケーションができます。 『風の王国』のプレイを通して作った思い出は多く、「この作品を開発したNexonに入りたい」という思いで頑張ってきました。

――もしNexon以外に入社されていたら、どのようなキャリアを送っていたでしょうか。

イ・ジョンホン: Nexon以外の企業に入社していたら、「お金のために仕事をする人間」になっていたかもしれませんね。そうなると「自分の人生」と「仕事」を切り分けて考えるしかなかったと思います。Nexonに入社することが出来て、本当に良かった。私にとってNexonは職場というモノを超えていて、初恋の相手というか、我が家のような存在でもありますね。もし10代の頃の自分にメッセージを送れるのなら、「なんとしてでもNexonに入れ!」と伝えたいですね(笑)。

――いちゲームファンとして、イさんがNexonに思うことはありますか。

イ・ジョンホン: 私はNexonという会社で20年以上「ゲーム」を仕事にしていますが、それでも仕事ではなく、ひとりのプレイヤーとしてNexonのゲームをプレイすることが一番幸せな瞬間です。

我々はゲームを通じてプレイヤーに幸せを与えたいし、Nexonの社員にもゲームを通じて幸せな暮らしを送ってほしい。普段の私は営業利益や成長ばかり語っているので、社員から「このCEOは嘘をついている!」なんて言われてしまうかもしれません(笑)。

ただそれでも、ゲームファンとしての自身を振り返ってみると、自分自身が本当に向き合うべきことを思い出せますね。この質問は私にとっても非常に嬉しいです。

――最後に日本のゲームファンにメッセージをお願いします。

イ・ジョンホン: 日本の皆さんには、2025年に『The First Berserker: Khazan』と『ARC Raiders』の2作を披露する予定です。『メイプルストーリー』は質の高いローカライズを実施します。日本の方にもよりNexonのゲームに興味を持ってもらえるよう全力を尽くしますので、ぜひこれからもよろしくお願いします。

――本日はありがとうございました。

提供:Nexon


インタビュアー/ライター:ゆん,編集:キーボード打海

インタビュアー/ ゆん

感性を刺激する美しい作品と、今までにない、異形の作品が好きです。 ゲームそれ自体を伝えるのはもちろんのこと、 海外のゲーム作品を通して、現地の文化を日本に伝えることや、 日本のゲーム作品を取り巻く、現場の空気や熱量を、余すところなく伝えることが目標です。 アニメをみたり、歌ったりもしています。

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編集/「キーボードうつみ」と読みます キーボード打海

Game*Spark編集長。『サイバーパンク2077 コレクターズエディション』を持っていることが唯一の自慢で、黄色くて鬼バカでかい紙の箱に圧迫されながら日々を過ごしている。好きなゲームは『恐怖の世界』。

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