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フィリピン風の異国で描かれるエモすぎる青春物語『Until Then』は感動を呼ぶ傑作アドベンチャー【プレイレポ】

エモくて心を揺さぶり、怒濤の後半では感動を呼ぶ傑作アドベンチャー。

連載・特集 プレイレポート
フィリピン風の異国で描かれるエモすぎる青春物語『Until Then』は感動を呼ぶ傑作アドベンチャー【プレイレポ】
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Polychroma Gamesによる開発、およびMaximum Entertainmentによるパブリッシングで2024年6月26日にリリースされ「圧倒的に好評」を得ていた『Until Then』は、2024年11月23日に待望の日本語対応がなされました。

そこで、今こそ圧倒的に好評の内実を探るべくプレイレポを書くとき!という思いで本稿をつづります。そして結論から述べますと、本作は情緒溢れる珠玉のアドベンチャーゲームでした。

美麗なピクセルアート、流麗なサウンド

オープニングシーケンスは、鳴り響く目覚ましをスタートボタンで押しまくって、主人公である「マーク・ボルハ」を起こすというもの。人物の汗さえ表現する美麗なピクセルアートが素晴らしい本作は、横スクロールの場面も多いゲームで、舞台は大災害から復興中のフィリピンを模した架空の世界でリアムソンという学校です。

特筆すべきはピクセルアートのみならず、サウンド面でもピアノの感動的なサウンドスコアが流れます。そして、そもそもマークはピアニストです。オープニングシーケンスで起きたマークを動かしてピアノをインタラクトすると演奏し、メールでなんらかの書類選考に落ちた旨が表示されます。そして舞台は学校への登校に移ります。

特別な没入をうながすデザイン

登校中にSMSのようなメッセージが飛んできて、返信内容を選択でき、その内容をキーボードで打つことになります。打つといっても丸写しのようなものではなく、なんでもいいからキーボードをタイピングすればよい仕様になっています。ただしマークが打っている格好なので、キーボードでなんらかのキーを押しても途中で文章を消して(キーボードのキーを押すと消える)文章を打ちなおす場合もたびたびあります。

このやり取りはのちのシーケンスでも存在しており、大きな存在感を放っています。これはプレイヤーをマークへの同化にいざなうように作られており、その演出は巧みに描かれています。セーブポイントがわからないくらい場面転換が多いのも特徴でしょう。

存在感のあるSNSのリアルな描写にミニゲーム

また特徴的なのが、最初にマークの服のボタンをドラッグ・アンド・ドロップで結んだり、登校中に駅で切符を買うのに機械を操作するような場面もあり、特殊なミニゲームが豊富にあります。これは飽きを遠ざけるように作用しており実に好印象です。むしろ飽きるヒマがないといってもいいでしょう。

なおかつSNSもあり「いいね」を押すことも「シェア」することも「リプを送る」こともでき、付いている「リプライを読む」ことも可能で、インタラクティブな側面が強い作りになっています。特にSNSは世界の情勢がうかがえるほど作りこまれており、没入をうながし素晴らしい出来です。また、やり取りには数々の選択肢も登場します。

学生同士のやり取りはエモい

マークはさまざまな学生とやり取りをします。そのやり取りが情緒溢れていて、たとえばチェスの試合に出ている女の子と親しげな交流をしたり、恋の悩みを聞いたりと、学生間でのエモいストーリーが描かれています。

雨の中、手を伸ばしてそれを感じ取り、蝶は雨の中をどうやって飛ぶのだろう、といった会話や、感受性豊かな女の子が「私から逃げたら絶対に許さないから」などといったりと、若者ならではのやり取りが展開。そのエモさでプレイが牽引され、とにかくやり取りがみたい!となります。その青春が描かれる本作は本当に人物達を愛せる作品です。どの人物も生き生きと活写されています。

特殊カットも良さに繋がっている

本作は人物のアップになったり、アップの画面でマークに女の子が詰め寄るカットがあったりと特殊カットも数多く登場。たとえば転校生がやってきて、キャスという女の子が仲良くしようとするものの転校生がかたくなで大失敗する場面では、キャスがマークに「失敗したじゃない!」といって特殊カットの演出が入るような場合もあります。

このように、単なる引きの画面でのやり取りのみならず特殊カットが存在しているので、飽きることがありません。また、美麗なピクセルアートでの演出なのでどの場面も非常に美しいのです。

主人公たちの青春を描いたストーリー

誰かに好かれること、誰かに嫌われること。友達との交流。あたらしい出会い。そして、別れ。本作には青春のすべてが詰まっています。テストの成績が良い悪い、転校生との交流、自分だけの夢。マークと最悪の出会いを果たしたニコールという女の子とのやり取りやその展開。

そして、単なる学生生活からのツイストとなっている生活の崩壊。ネタバレは本作を殺すので詳細は語ることはできませんが、怒濤の後半には落涙する方もいるかと思います。多くを語れない本稿で申し訳ないのですが、絶対にプレイして後悔のないタイトルだと太鼓判を押せます。

ぜひ、青春のすべてと、物語における大きなツイストとなっている崩壊からの展開、そこからどうやって立ち直るか、それを目撃してみてください。

『Until Then』は、PC(Steam)/PS5で発売中です。


《SHINJI-coo-K(池田伸次)》

FPSとADVを偏愛しつつネトゲにも造詣のあるフリーライター SHINJI-coo-K(池田伸次)

「Game*Spark」誌に寄稿しつつも「IGN JAPAN」誌と「GAMERS ZONE」誌にも寄稿。「インサイド」誌にも寄稿歴あり。今はなき「Alienware Zone」誌や「週刊Steam」誌にも寄稿していたフリーライター。 そしてヒップホップビートメイカー業も営む音楽家兼ゲームライターの兼業家。通称シンジ。

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