嗚呼、息苦しい…「非常に好評」のサイコスリラー『THRESHOLRD』をプレイ。不気味なローポリ、行動次第でさまざまに分岐する物語など、極限の“酸欠”短編ホラー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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嗚呼、息苦しい…「非常に好評」のサイコスリラー『THRESHOLRD』をプレイ。不気味なローポリ、行動次第でさまざまに分岐する物語など、極限の“酸欠”短編ホラー

貨物列車はいったい何を運んでるんだ?

連載・特集 プレイレポート
嗚呼、息苦しい…「非常に好評」のサイコスリラー『THRESHOLRD』をプレイ。不気味なローポリ、行動次第でさまざまに分岐する物語など、極限の“酸欠”短編ホラー
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今回は、ゲームデザイナーでもあるJulien Eveilléが手掛け、2024年11月20日にSteamで発売した新作ホラーゲーム『THRESHOLD(スレッショルド)』のプレイレポートをお届けします。

本記事はネタバレ要素を含んでいるため、閲覧の際には十分ご注意ください。

ひと呼吸も無駄にするな。極限の短編スリラー

本作は、一人称視点のホラーアドベンチャーゲーム。プレイヤーは「国境検問所」の新人職員となり、列車を規則正しく運行させたり、清掃や廃材の回収など多岐にわたる仕事をこなしつつ、数々の謎を解き、致命的に空気の薄い山頂で生き延びていくことが目標となります。

特徴的なのは、不気味なPS1風のローポリグラフィックで描かれる奇妙な世界。舞台の山頂は極端に空気が薄く、なにか行動するたびにすぐ酸欠に陥ってしまう過酷な環境です。

その常に死と隣り合わせの極限状態が、プレイヤーの焦りと緊張感を生み出し、ジワジワと恐怖心を引き出すシチュエーションホラーのようなプレイフィールで、同様にローポリなヴィジュアルと難破した宇宙船という閉鎖空間が舞台の傑作ホラー『Mouthwashing』を彷彿とさせます。


さらに、プレイヤー自身の国籍も含めあらゆる行動と選択が物語に影響をおよぼし、さまざまな結末を迎えるマルチエンディング形式も本作の魅力。何も考えず仕事に従事するのか、それとも真実を明らかにしていくのか……すべてはアナタ次第です。

執筆時点でのSteamレビューは、322件中88%がポジティブな「非常に好評」ステータスを獲得。またMetacriticでは、メタスコア85点を記録するなど高い評価を受けている秀逸なインディーホラー作品です。


日本語ローカライズは雰囲気抜群。コントローラー操作に対応

言語は日本語字幕/インターフェイスに対応。日本語表現において特に問題はなく、むしろ作品の雰囲気に合う素晴らしい翻訳で好感が持てました。操作は、キーボードおよびコントローラーの使用が可能です。

その他の設定は、操作感度や音量、視野角といった極めてシンプルなものでした。

国籍さえも……ユニークな難易度設定

難易度は2つ用意してあり、「集中力抜群」のプレイヤー向けには、操作キャラの思考が少なく遅い上に、ヒントなどの補助が最小限というハードなレベル。「気が散りやすいプレイヤー」向けには、キャラの思考が明瞭で謎解きもしやすいイージーまたはノーマルなレベルとなっています。

そして、なんとプレイヤーの出身地によっても難易度が変化し物語自体にも影響する、とてもユニークなシステムでした。

歯茎と酸欠に注意せよ。過酷な山頂で生き延びろ

時は2021年の日本。物語は、控室のような薄暗い部屋から始まります。ロッカーが2つあり、右は主人公のものでもう片方は別の誰かが所有しているみたいです。ここがどこかは分かりませんが、少し見て回りましょう。

どこかで見覚えのある容器

狭い空間はなんだか息苦しく、時折地鳴りのような振動と音がします。国旗が飾ってあったり、歯科医院や呼吸器科なども併設されている様子。洗面台には、マウスウォッシュの容器が大量に捨てられていたりします。

長椅子に置かれていた仕事の「契約書」。詳しい内容は確認できませんが政府との契約のようで、興奮を隠しきれない主人公。

契約書をスロットに差し込むと、「急いでドアの前に立ってください」とアナウンスが。そして、すべて準備が完了した様子で今から「監視作業」が始まるようです。⋯⋯監視?

エレベーターに乗り、地下深くからかなりの距離を上がっていきますが……。

たどり着いたのは山頂付近にある「国境検問所」。ここがプレイヤーの勤務地となります。

すると、何かの作業をしていた人物がこちらにやって来ます。彼の名前は「Mo(モー)」という先輩職員。すでに16時間もここで見張りをしていたらしく、歓迎の祝辞を述べてくれます。

「ようこそ 国内一退屈で高ストレスな保守業務へ」

気になるのは、彼が口にした「Ni(ニー)」という名前。どうやら検問所の前任者らしいですが……それに、さっきから会話はすべて筆談。なぜかと思いきや、空気の貴重なこの場所では、メモでのやり取りが必須とのこと。

すると早速仕事の基礎とイロハを教えてくれるというので、モーについていきます。

短いトンネルを抜けると、轟音を鳴らしながら走る長い貨物列車の姿。線路と川を挟んで、こちら側には奇妙な形をした汽笛が据えてあります。モーによると、列車はしょっちゅう減速してしまい、その状態が続くと非常にマズいとのこと。

というワケで新人職員としての初仕事は、点滅信号が示す目標速度」を保ち列車を規則正しく運行させること。そのための道具である「笛」を手に入れ、汽笛の前で吹くと……

信号が赤から青に変わり、列車はふたたび走り始めました。なんだ、これが仕事なんて随分簡単じゃないか。そう思っていた矢先……

笛を吹いたことで体内の酸素を消費したのか、激しいダメージを受けます。その姿を見たモーから「空気缶」というキーアイテムを入手。

空気缶は携帯型の酸素ボンベのようなもので、中には空気が充満しています。表面には歯の模様があり、これに合わせ噛み砕いて酸素を吸入していくのですが……

酸素中毒者

空気缶のガラスは固く、噛み砕くたびに歯茎がボロボロと削れて出血してしまいます…!画面左上部にはアイコンが表示されていて、最初は綺麗だった口元が次第に血まみれになっていく様子はとても痛々しい。

本作において、酸素残量はHPであり、空気缶は回復アイテムと言ったところでしょうか。何か行動したり笛を吹くたび「死の宣告」を受けるシステムは非常に残酷で、プレイ中は常に焦燥と不安に駆られました。

やるべき仕事をこなし謎を解き明かせ

列車を運行させることに成功し、喜びもひとしお。ですが、勤務中にはやるべき仕事や知るべき事柄が山積みです。まずは、プレイヤーの命を繋ぐ空気缶の入手システムから。反対の山側にある券売機で支給チケットを受け取ります。

そして第二棟「空気缶供給所」へと向かいます。移動する際は、緊急時以外は歩きでないとすぐ酸欠状態になるので慎重に。ちなみに、モーは休憩するため一旦現場を離れました。

小屋の中には大きな何かを入れる機械と、空気缶供給マシーンなどが置いてあります。チケットを入れようとしても反応がない……「なんで動かないんだ?」と思っていたら、外から警告音が。ああなるほど、列車を運行させないと報酬は受け取れないようです。

汽笛を高らかに鳴らし、信号が青に変われば一定時間中機械にアクセス可能。チケットを差し込んで空気缶をゲットします。

川の下流にあるフィルターにこびり付いた白い物質を除去したり、厚板を拾い集めて小屋を修復したり……他にもさまざまな仕事をこなしていきます。もちろん、滞りなく列車を運行させ、チケットで空気缶を交換するのも忘れずに。

ある程度仕事に慣れてくると、いくつかの疑問点が浮かんできます。例えば、敷地内に置かれた真新しいお墓のことや、崩れた足場、無造作に転がる血塗れのサカナなど……とても不気味です。

それより何より、貨物列車はいったい何を運んでいるんだ?巨大な壁の向こうには何があるのか?その正体を突き止めることはできるのでしょうか。

そして「異変」の結末は……あらゆる選択と行動が物語を変える

モーが言うには以前ここに大きな一本松があったのですが、前任者のニーが「イカれた計画」のために切り倒してしまったそうです。その話を聞いてさらに気になったのは、ニーの素性と計画の詳しい内容です。

敷地内には第一棟の小屋があり、笛を吹くと扉が開き中へと入れます。この部屋は、酸素が充満していていつでも十分な呼吸ができる特殊な場所。廊下の奥へと進んでいくと……

突如、見たこともないような光景が現れます

形容しがたい亜空間に佇む黒い4体の影らしきもの。どうやら政府筋の人間のようで、プレイヤーの質問に2つだけ答えてくれます。

たとえば、ニーの身に何が起きたのか、なぜ国境検問所が富士山の山頂にあるのかなど、ここでどんな質問をするのかで物語の展開が分岐し、結末が変化します。

質問を終えて作業に戻る主人公。山頂へ続く足場を修復し登ってみると、列車から「死骸」のようなモノが溢れているのを発見します。

その後、ホイッスルを吹いたところ点滅信号が突然壊れ、川は血が流れたかのように真っ赤に染まってしまいます……!明らかな異変にパニックになりながらも、説明を求めるため第一棟へと急ぎます。

どうやら列車の積荷のことはタブーだったようで辞職するのか、それとも全てを知りたいのかと迫られます。ここの選択次第でも、結末に大きな影響を与える重要な場面です。

外へ出ると、さらなる異変が検問所を襲いかかります。

ふと空を見上げると、何かのカタマリが降ってくる!

それは、なんと牛や馬やヒツジ、ニワトリなど多くのバラバラになった「動物の死体」でした。

大量の死骸は壁の向こうから大量に降り注いでいて、止む気配がありません。避難するため小屋に入ったところ……

周囲が塞ってしまい、閉じ込められてしまいます。死骸の雨、崩壊していく検問所。そして空気が徐々に少なくなり、息苦しく死が目前に迫る状況で、果たして主人公は生き延びて、真相を明らかにできるのか……プレイヤー自身の目で確かめてください。


本作の良かった点は、独特なローポリグラフィックが織りなす謎めいた物語と、焦りと緊張感を生む秀逸な舞台設定。プレイヤーの選択で変化するマルチエンディングもリプレイ性があり、クリアまで約1~2時間程度の良質な短編ホラーで多くの人に遊んでもらいたいオススメの作品です。

  • タイトル:『THRESHOLD』

  • 対応機種:Windows PC(Steam)

  • 記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)

  • 発売日:2024年11月20日

  • 著者プレイ時間:4時間

  • 価格:1,500円
    ※製品情報は記事執筆時点のもの

スパ君のひとこと



不気味な物語と焦りを生む舞台装置が素晴らしく、秀逸な“酸欠”ホラーだったスパ!



ライター:DOOMKID,編集:キーボード打海

ライター/心霊系雑食ゲーマー DOOMKID

1986年1月、広島県生まれ。「怖いもの」の原体験は小学生の時に見ていた「あなたの知らない世界」や当時盛んに放映されていた心霊系番組。小学生時に「バイオハザード」「Dの食卓」、中学生時に「サイレントヒル」でホラーゲームの洗礼を受け、以後このジャンルの虜となる。京都の某大学に入学後、坂口安吾や中島らもにどっぷり影響を受け、無頼派作家を志し退廃的生活(ゲーム三昧)を送る。その後紆余曲折を経て地元にて就職し、積みゲーを崩したり映像制作、ビートメイクなど様々な活動を展開中。HIPHOPとローポリをこよなく愛する。

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編集/「キーボードうつみ」と読みます キーボード打海

Game*Spark編集長。『サイバーパンク2077 コレクターズエディション』を持っていることが唯一の自慢で、黄色くて鬼バカでかい紙の箱に圧迫されながら日々を過ごしている。好きなゲームは『恐怖の世界』。

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