今回はThe Knights of Unityがパブリッシャーを、Untold Talesがデベロッパーを担い、2024年11月29日にWindows PC(Steam)およびニンテンドースイッチ向けにリリースした美少女ヴァンサバライク『東京巫女:サバイバル(W.A.N.D. Project)』をご紹介。
『東京巫女:サバイバル』とは?
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本作は、美少女キャラクターを操作して、迫りくる敵を呪文で撃退するヴァンサバライクなシューティングアクション。「魔法エレメントを組み合わせて呪文を編んでいく」部分がコアバリューであり、戦闘は「敵とのバトルを楽しむ」というよりも、「編んだ呪文の効果がどんなもんかを楽しむ」という側に重きを置いているデザインでした。
実際プレイすると、魔法エレメントの各ブロックの方向に注意しつつ、どう組み合わせて連結させていくのか試行錯誤するのが非常に面白い。枠内に収めながら、同時に効果が途切れないようにしつつ、あーでもないこーでもないと頭を悩ませては、戦闘で効果のほどを確認する作業が楽しかったですね。
翻訳の質が……
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その一方で本作は、コアバリューの呪文システム以外は全体的におざなりという印象も強いです。特に杜撰で低品質な翻訳と、一部に生成AIを用いたキャラクター立ち絵(厳密には異なるそうですが……)が悪い方向へ相乗効果を発揮し、そのおかげで戦闘の合間に挟まるストーリー演出が浮いてしまっており、かえってゲーム世界への没入感を台無しにしています。
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開発者によれば(Steamコミュニティ内における言及に対して、1年後に返信された開発者のコメントより)、生成AIまわりは実験的に導入し、開発の進行速度を早めることができたものの、一部アートなどはデモ版のフィードバックでは不評だったので”再調整”したとのこと。しかしそれでも低品質な翻訳も合わさって、特にストーリー演出まわりの「やっつけ仕事」を強調する形で悪目立ちしてしまっているのが現状です。
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また舞台の東京や渋谷、そして巫女といったワードも、ただ見た目がそれっぽいだけで「取ってつけた」感が否めず、ヴァンサバライクの他フォロワータイトルに比べて、ゲーム世界に奥行きを与えるまでに至らず、そもそも翻訳が滅茶苦茶なのでフレーバーテキストとしても十分に機能していないのが寂しいところ。
超個人的かつズレた感想ですが、卒論をでっち上げたらその道の第一人者の前で発表する羽目になった学生時代の自分のトラウマ(自業自得ともいう)が蘇ります。助けて教授!ダメだ背中から撃たれる公開処刑だこれ(錯乱)。
ともあれコアバリューである呪文まわりのシステムは本当に面白いんです。玉に瑕はありますが、今後のアップデート次第では磨けば光ることができるはず……!早速やってまいりましょう。
操作・設定・言語について
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本作は、キーボード&マウスおよびコントローラー操作に対応しています。どちらで遊んでも特に大きな差はありませんでしたが、個人的にはコントローラーの方が、とっさのアクションに対応しやすい分、遊びやすかった感触です。その他設定についてはオーソドックスなものが並びます。
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言語については、いちおう日本語表記に対応しているものの……繰り返しになりますが、品質管理を行う人は誰もいなかったのかと頭を抱えるくらい翻訳のレベルが……!
呪文の説明程度なら短文箇条書きなのでそこまでアレではないものの、ストーリーにおけるキャラ同士の掛け合いは、文章として多少崩れていても読めればまだ良い方で、安定しない一人称や口調など全体的に情緒不安定。機械翻訳をそのままぶっこんだとしても、なかなかお目にかかれないレベルの低さです。
重ねて個人的な感想になって申し訳ないのですが、「日本在住の日本語話者」を名乗り、低品質な翻訳で金をせしめる輩の噂もちらつく今日このごろ……一概にデベロッパーだけに非があるとは言えないですが、アーリーアクセスならまだしも製品版である以上、もう少し品質管理の努力を行って欲しいところですね……いや無茶言うなよ、という部分もよく理解してはいますが……。
本編開始
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さあ始まりました『東京巫女:サバイバル(W.A.N.D. Project)』。トップページからニューゲーム、続いて3人の中からヒーローを選びます。 最初はユミだけですが、何度か戦闘を繰り返して条件を満たすと他の2人もアンロックされます。
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次に選ぶのは杖(ワンド)ですね。こちらもヒーローと同じくそれぞれ得意分野が異なるパラメータ設定がされており、条件によるアンロック式。最後にマップと難易度を選択します。マップについては、クリアごとに新しいマップが開放されていきます。
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個人的にユミとイグナシオは最も使いやすく、次にマキとパラッパによる呪文の同時発動が好きでした。手数の多さと火力の高さこそ正義!
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最初はチュートリアルも兼ねてストーリー演出が展開されます。会話選択肢が表示されはするものの特に分岐するでもなく、会話のテキストも「見かけは日本語だけど、よく読んだら何言ってんのかよくわかんねえ」状態なので、正直全部スキップしても良いと思います。
というかストーリーを無視して、呪文を編むスペルクラフトと戦闘を交互に繰り返すだけでも本作の魅力は十分に発揮されているので、どんどん先へ進みましょう。
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じわじわと数を増やして押し寄せてくる敵……ウェーブを制限時間内いっぱいまで生き残ればクリア、それを10ウェーブまで繰り返すとボス戦に突入してクリアすればマップ開放。その合間にスペルクラフトで好きな呪文を組んでいく、というのが本作の基本的な流れです。
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敵のバリエーション数はそこそこで、操作キャラに向かって距離を詰めて接近戦を仕掛けるタイプが主で、火の玉や自身をぶつけてくる遠距離タイプに大別されます。
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ウェーブが進むとやや大型の敵も登場するので、当たり判定に注意しないと「避けたと思ったのに被弾」という地味なダメージが蓄積されて死に至ります。またボス戦だけ制限時間ではなくボスの体力ゲージを全部削りきらないと倒せないルールなので、それまでに呪文を十分に強化していないと詰みます。詰みました。
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こちらが行う攻撃は基本的には自動で行われ、一定時間経過、移動距離、放置時間といった各単位ごとに呪文が発動する仕組みです。攻撃も操作キャラを中心に周囲へ展開するもの、ランダムで発生するものなど様々。個人的には、ウェーブ終盤だけでなく全体を通して呪文をばらまけるよう、モジュール同士の相乗効果が大きくなると嬉しいのですが……!
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その呪文のビルドは戦闘の合間に挟まれるスペルクラフトの画面で、あれこれ試行錯誤しながらモジュールを組み合わせて呪文を編んでいきます。各モジュールにはパラメータ以外にもそれぞれ「効果」と「向き」がランダムに設定されており、組み合わせる際にはその順番に注意する必要があります。
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せっかく強力な効果でも、向きの都合上、他モジュールと連結できずに呪文に組み込めなかったり、またはモジュールを当てはめるための枠が足りなくなったり、そもそもこの組み合わせだと効果が干渉し合って弱まってしまったり……頭を使って試行錯誤する過程がこのスペルクラフトの面白さだと思います。
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悩んだときは、敵を倒すと手に入る「エッセンス」を通貨に新しいモジュールを追加するもよし、新しい枠を解放するもよし。行き詰まりそうになってもきっかけ一つで「あ!この向きなら上手くいきそう!」と気づいてトントン拍子に呪文を編むことができた時の爽快感は素晴らしいものがあります。
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ストーリー演出まわりで、あーだこーだと文句を垂れはしましたが、重ねて本作のスペルクラフトのシステムは本当に楽しい。慣れないうちは、ついつい左から右へ連結していくよう思考していたのが、徐々に枠内いっぱいを使って縦横無尽に繋いでいけるようになるのが楽しいんですよ。いずれにせよ、今後のアップデートでせめて翻訳のレベルだけは改善して欲しいところですね……!
タイトル:『東京巫女:サバイバル(W.A.N.D. Project)』
対応機種:Windows PC(Steam)/ ニンテンドースイッチ
記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)
発売日:2024年11月29日
著者プレイ時間:3.3時間
サブスク配信有無:無し
価格:1,300円(2024年12月14日まで1,040円のセール中)
※製品情報は記事執筆時点のもの
スパくんのひとこと
………タイトルに反して、巫女さんの姿がどこにも見当たらないスパよ?