皆さんは、日本全国に実在する「名字」がどれくらいあるかご存知ですか?民俗学者であり名字研究者の第一人者・丹羽基二氏の「日本苗字大辞典(1996年/芳文館)」によると、その数は約30万種類にも及ぶと提唱しています。近年では、そのデータに誤りがあり実は10万種程度といった説もあるようですが、いずれにしても膨大な数の人名が我が国には存在しているようです。
ところで、筆者は中学生の頃に自分を“特別な存在”であると信じ、イタい言動を繰り返すいわゆる厨二病を発症していた暗黒の時期がありました。とりわけ自身の平凡な名前に辟易し、「神宮寺」だの「花京院」だの漫画の主人公のようなきらびやかな姓に人一倍憧れていたものです。
というワケで、今回はインディーデベロッパーgMarksが手掛け、11月28日に発売した『改名師』のプレイレポートをお届けします。
名前の珍しさ予想ゲーム
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本作は、ローグライト要素のある2Dカジュアルゲーム。プレイヤーは「改名師」となって、“珍しい名前への嫉妬心から生まれた妖怪”にレアな名字を与えて改名することで妖怪を祓い、朝まで生き延びることを目指します。
なお、珍しさの判断基準は「日本の名字ランキング」に基づいているとのこと。出典は明記されてはいませんが、おそらく月間1,000万アクセスを誇るという「名字由来net」を参照にしていると思われます。
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特徴的なのは、ユニークなゲームシステム。基本的には「自分の手札に並ぶ名字から妖怪の名前より珍しい名前を予想して選び、見事それが的中すれば敵を倒すことができる」という非常にシンプルなもの。
しかし、一見簡単そうに見えてこれがなかなか難しいのです。もし間違えて妖怪の持つ名前より平凡な手札を切ってしまうと襲われてゲームオーバーに。なので、知識として正確な名字ランキングを知っていないといけないし、これまでの人生の中で目にした数多の名字が、どれだけ印象に残っているか己の「人名感覚」とでも言うべき直感も必要となります。
ただの運否天賦なゲームかと思いきや、手札を好きな時に増やせる支援カードの存在や、ぴったり1ランク上の名前に解明するとコンボが発動したり、死亡時のスコアリセットなど、ローグライト要素も実装されていて、戦略的に奥深いゲームプレイを楽しむことができます。
日本語対応。キーボード操作のみ
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言語は日本語字幕に対応。操作は、キーボード&マウスのみでコントローラーは未対応です。その他の設定は、画面モードとBGM音量などごくシンプルでした。
「改名札」で妖怪を祓い生き延びろ
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早速本編にいきましょう。基本プレイ画面はこのように、スコアとゲーム内時間、「改名札」と呼ばれる自分の手札、敵の妖怪が表示されています。
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そして、上述した通りルールは簡単。「鈴木」に対しこちらの手札は「新井」「山村」「山本」「山下」。うーん……どれがより珍しいのか判りづらい。でも鈴木はおそらくランキング上位の名前だからどれでも大丈夫だろう……そう予想して「山下」を選びます。
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すると見事に的中!妖怪を祓うことに成功しました。ちなみに、「鈴木」姓は全国ランキング堂々の2位でおよそ1,757,000人。「山下」姓は27位でおよそ407,000人が分布しているそうです(出典:名字由来net)。
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鈴木はメジャー名字なので比較的カンタンでしたが、次の妖怪「関」はそうはいきません。人生を振り返ってみても周りにいたこともないし、声優の関智一さんを知っているくらい。あまりランキング上位の名前ではなさそう……ということで、今回はこちらも馴染みの薄い「山村」で勝負してみます。
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一か八かで山村をぶつけ、無事祓うことに成功!「関」という名前は全国ランキング120位、「山村」はなんと402位で、読みやすい割にかなり珍しい姓のようです。
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そして次は、ボス敵の上妖怪「伊藤」が現れました。改名札は「新井」「山口」「原」「高野」というラインナップ。伊藤はリアルで知り合いもいるし、何度も見聞きした名前。これは余裕で勝てそうな感じがします。
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ボスはHPが高く、2回祓わないと倒せません。まず「高野」を選びぶつけて的中し、一回目の祓いに成功。しかし、なんと敵はその名前を吸収し「高野」に変化します……!予想外の展開に戸惑う筆者。
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高野より珍しい名前がまったく予想できない。適当に「原」を選んでしまい、ぶつけると……不正解だったようで、ボスに「新井」の札を奪われます。残ったのは「山口」のみ。案の定、高野より一般的な名前だったようで手札が尽きてしまい、ゲームーオーバー。
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ゲームオーバーになると、獲得したスコアやローカルスコア成績など各実績が確認できます。倒された妖怪の名前の珍しさランクも判明し、次の挑戦のヒントになります。当然ですが、積み上げたスコアポイントはリセットされます。
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そして、「改名極道場」というチャレンジモードがアンロックされ、クリアすると報酬をもらえます。十級から始まり、どんどん難易度が上がっていく仕組みです。
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道場では、本編とは違いウェーブ制で規定の回数を凌げばクリアになります。今回は、手札には「中村」と「若林」、敵は「織江」「鈴木」「早瀬」の3体。もちろんこの手持ちで織江や早瀬とは勝負できないので、中村を鈴木にぶつけます。
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すると、鈴木だけでなく両隣の妖怪も消滅……!なんか知らんが、コンボみたいな現象が発生しました。
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実はこのコンボのような現象は「改名の極み」という特殊な技のようです。ピッタリ1ランク上の名前に改名すると発動し、妖怪をまとめて祓うことができる便利かつ重要なシステム。手札が足りずギリギリの場面で、一発逆転を狙えるかもしれません。
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なんとか道場をクリアして報酬をゲット。もらえたのは「改名札支援」で、プレイ中に一度だけ手札を1枚増やしてくれるサポートアビリティです。これでレア名字を引き当てれば、一気に有利になるでしょう。
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本編をクリアするには、敵を倒して朝まで時間を進めて生き延びることが条件です。
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しかし、ゲームが進行するにつれ、人生において見たこともないようなかなり珍しい名字が登場するので、突破するのは容易ではありません。
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例えば、「五百雀」という名前は全国に約10人ほどしかいない超レア名字で、主に三重県伊賀市に分布しています。こちら側にある時は心強いですが……
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敵側に珍しい苗字の妖怪がいると、一気に難易度がハネ上がります。たとえば「七五三掛」は……そもそも読めない。調べてみると「しめかけ」と言うらしく、全国に約330人ほどのレアすぎる名前。「圷」も難読名字で、どうやら「あくつ」と読むらしく、人口分布は意外と多く3,600人いるようです。
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このように、ゲームを通じて日本に存在する名字を楽しく知ることができるのも本作の魅力。慣れてくると単調な作業ゲー感が強くなるのが惜しいですが、予想した名前が当たったときとコンボを決まったときには爽快感がありますし、カジュアルに遊べるので是非一度プレイしてみてはいかがでしょうか。
タイトル:『改名師』
対応機種:Windows PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)
発売日:2024年11月28日
著者プレイ時間:3時間
価格:470円
※製品情報は記事執筆時点のもの
スパ君のひとこと
イラスト風の和風ビジュアルの雰囲気良し!予想した名字を当てて妖怪を祓う爽快感も楽しかったスパ!