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【キャリアクエスト】“好き”を仕事にするということ。天文からゲーム開発を志したプランナーに聞く、コーエーテクモの企業風土と新人教育

Game*Sparkと4Gamerの共同による就活イベント「キャリアクエスト」、その第2回に合わせたインタビュー企画をお届けする。今回話を聞いたのは、コーエーテクモゲームスでプランナーを務める家本あかねさんだ。ゲーム業界志望の就活生は、ぜひ参考にしてほしい。

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【キャリアクエスト】“好き”を仕事にするということ。天文からゲーム開発を志したプランナーに聞く、コーエーテクモの企業風土と新人教育
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Game*Sparkと4Gamerの共同による就活イベント「キャリアクエスト」の第2回が、2024年12月22日に東京ビッグサイトで開催される。

ゲーム業界への新卒就職を目指す就活生を対象としたこのイベントでは、業界のさらなる発展を願うべく、出展企業の説明会をはじめとした、さまざまな企画が予定されている。このイベントに合わせ、4GamerとGame*Spark両誌では、各出展メーカーで活躍している現役クリエイター達に“ゲーム業界を目指す学生のためのインタビュー”を実施した。

本稿では、コーエーテクモゲームスで『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』の開発に関わり、現在は未発表タイトルでプランナーを務めている家本あかねさんに、自身の就活経験や入社後の環境などを聞いている。ゲーム業界志望の就活生は、ぜひ参考にしてほしい。

なお、本記事はGame*Sparkと4Gamerによって共同制作された連載記事となる。

ゲーム業界就活イベント「キャリアクエスト」公式サイト

■好きが高じて飛び込んだゲーム業界

――本日はお時間をいただきありがとうございます。まずは自己紹介をお願いできますか。

家本あかねさん(以下、家本さん):2020年度に新卒でコーエーテクモゲームスに入社し、今年で5年目になる家本です。学生時代は惑星学を専攻し、隕石の研究なんかをしていました。現在はシブサワ・コウブランドで開発中の新規タイトルで、プランナーを担当しています。

――惑星学とは、ゲームクリエイターのとしてはまた、めずらしいプロフィールですね。

家本さん:そうかもしれません(笑)。大学では、天体の軌道や地球の地震といった分野を幅広く研究していて、私自身は隕石の微細組織を調査し、地球の水の起源を探るといった研究をやっていました。

――そうすると、やっぱり就職先は宇宙関連が多いのでしょうか。安直かもしれませんが、例えばJAXAとか。

家本さん:確かに宇宙関連の仕事を目指している人はいました。先輩の代には、実際にJAXAを受けた人がいましたし。でも私も含めた同世代にはいなくて、全員が宇宙関連を目指しているわけではなかったですね。それに、天文は研究成果が実社会に影響を及ぼすまで、すごく時間のかかる分野ですから。私の場合はもっと直接的に社会に関わりたくて、好きだったゲームの世界に飛び込むことにしたんです。

――なるほど。ちなみに惑星学で学んだことが、今の仕事に役立つようなことは、あるものなんでしょうか。

家本さん:さすがに直接役立ったことは、まだないですね(笑)。ただ修士のときの研究で、朝から晩まで実験や観察をして、ひたすら論文を読んで結果を出すっていう、そこで培われた根性のようなものは、ゲーム作りにも共通するというか、役立っていると思います。

――学生時代に、学業以外の活動は何かしていましたか。

家本さん:土日にアルバイトはやっていましたが、それ以外はほとんどゲームで遊んでましたね(笑)。

――ということは、かなりのゲーム好きですね。

家本さん:はい。めちゃめちゃ遊んでます。子どもの頃、父が「ファイナルファンタジーX」を遊んでいるのをひたすら見ていたところから始まって、最初に買ってもらったのが「ポケットモンスター ルビー・サファイア」。そこから今までに、かなりのゲームを遊んできました。

――その流れだと、やはりRPGが中心ですか。

家本さん:ポケモンから始まったので、その次はドラクエやFFでしたが、RPGに限らずアクションやシミュレーション、MMOなんかもかなり遊びましたね。「ドラゴンクエストX」に至っては3000時間ぐらい……。

――それはすごい(笑)。ではゲーム業界を志望したのは、本当に好きが高じてなんですね。いつか作り手側に回りたいと、ずっと思っていたんですか。

家本さん:学生の頃は、ただプレイするのが楽しくて、実は開発のことはあまり考えていませんでした。ただ大学の頃になると、YouTubeのライブ配信などに開発スタッフの方が出るようになり、そこにファンアートなどを投稿していたりしていたんですね。それで開発の裏話なんかも聞くようになり、「開発の人達ってこんな感じなんだ」と興味を持ったことが、ゲーム業界を目指したきっかけだったと思います。

――数あるゲーム会社から、コーエーテクモゲームスを選んだのはなぜでしょうか。

家本さん:コーエーテクモゲームスのタイトルをよく遊んでいたので、メーカーとして好きだったのはもちろんですが、経営が安定していることや、働き方や福利厚生が希望に叶うものだったのも大きな魅力でした。あとは入社してから分かったことですが、社員に真面目な人が多く、企業として社会貢献にも熱心なのも大きいですね。

――ゲーム業界はどこも狭き門という印象がありますが、家本さんの場合、就活はいつ頃から始めたのでしょうか。

家本さん:私は院試を受けて修士まで進んでいましたので、本格的に就活を始めたのは4年になってからでした。実は3年のときに、ちょっとだけ地元神戸の企業を中心に就活をしたことがあったのですが、そのときは全然通用する気がしなくて。もっと将来のことを考えないといけないと思い、4年になって地元の外にも視野を広げた結果、コーエーテクモゲームスに出会えたというわけです。

――コーエーテクモゲームスの選考はいかがでしたか。もう5年も前の話にはなりますけど。

家本さん:実は、あまりよく覚えてないんです(笑)。ただ面接では、自分の言いたいことを言えた感触はありました。当時の最終面接は会長か社長のどちらかだったんですが、私の場合は会長だったんです。いろんなことを質問されましたけど、一つ覚えているのは、小さい頃何をして遊んでたのかを聞かれたことですね。

――なんと答えたんですか?

家本さん:「友達と秘密基地を作って遊んでました」って答えたと思います。ただ、「そんなこと聞かれるんだ」と思ったので、それが印象に残ってるんだと思います。対面での和やかな面接でしたね。

■コロナ禍を経て、プログラマーからプランナーへ

――家本さんの現在の肩書きはプランナーですが、志望もプランナーだったんでしょうか。

家本さん:はい、プランナー志望でした。ただ、開発に関われるなら何でもいいぐらいの気持ちではありました。そうしたら、最初の研修後に配属されたのがω-Forceで……そのときはプログラマーとしての配属でした。

――そういうこともあるんですね。元からプログラミングの経験があったんですか?

家本さん:いえ。学業でも趣味でも、私はそれまでプログラミングをやっていなかったので、興味はありましたが、最初はそんな自分が通用するのか不安でした。でも実際に配属になってみると、現場はそこまでプログラミングの専門家ばかりというわけでもなかったんです。

――では、入社後の研修で学んだわけですね。

家本さん:研修もですが、コーエーテクモゲームスには新人教育のための「ブラザー制度」という、ブラザーになった先輩が仕事を教えてくる制度があるんです。私の場合もプログラマーの先輩に付いていただいて、プログラムの考え方をしっかり叩き込んでもらいました。もちろん知識があれば即戦力になれますが、そうでなくとも仕事を覚えていける環境ではあります。

――プログラマーからプランナーに転向したのには、何かきっかけがあったんですか。

家本さん:はい。配属されたω-Forceでは、「ファイアーエムブレム無双 風花雪月」に関わることになったんですが、その開発途中にプランナーの手が足りないということで、急遽手伝うことになったんです。それでレベルデザインを担当していたら、「君、そっちのが向いてるんじゃない?」と言われて。そこからはずっとプランナーです。

――入社してから困ったことや、苦労したことは何かありましたか。

家本さん:入社直後にコロナ禍になってしまったので、それが一番大変でしたね。対面の面接は私の代が最後で翌年からリモートになりましたし、入社後の研修にもかなり影響があったと思います。先のブラザー制度も、リモートで先輩とやりとりする形になってしまったので、対面で直接教えてもらえる機会が減ってしまったのは残念でした。

――やっぱり、リモートよりも対面のほうがいいですか。

家本さん:新入社員のときは、気軽に質問できる対面環境のほうが絶対にいいと思います。今は対面に戻っているので、ちょっとうらやましいです(笑)。それから同期の繋がりも私の代はほとんどなくて、離れた部署になると顔を合わせる機会もないので、それが少し寂しいですね。

――では逆に、入社後に嬉しかった、また楽しかったことはなんでしょう。

家本さん:やっぱりクレジットで自分の名前が出たときは嬉しかったですね。先の「ファイアーエムブレム無双 風花雪月」なんか、ずっと遊んでいたシリーズだったこともあって、関われたのは本当に幸運でした。まさか自分が作ることになるとは、夢にも思っていなかったので。

――ああ、それは分かる気がします。苦しい日々が報われたという感じでしょうか。

家本さん:それでいうと、私は仕事そのものが楽しいので、開発の日々もかなり充実していると思います。これは就活時に聞いた先輩の受け売りですが、「ゲーム開発自体がAAAタイトルみたいなもの」なので、それ自体が本当に面白いものなんですよ。

――なるほど……家本さんの場合、好きなものを仕事にされたパターンですが、一方で好きだからこそ仕事にしたくないという意見もあるように思います。その点はどうお考えですか。

家本さん:好きなものを仕事にすることは、私は純粋にいいことだと思っています。好きだからこそ熱量をもって仕事に向き合えますし、パフォーマンスも自然に上がるものですから。もちろん仕事なので、納得のいかないことや自分の意見が通らないこともありますが、それも含めてのゲーム開発です。自分も幸せで、かつ会社にとってプラスになっているなら、それが一番なんじゃないでしょうか。

――分かりました。では最後に、今現在ゲーム業界を目指している学生の皆さんに、何かアドバイスをいただけますか。

家本さん:私の経験でいうと、やっぱり多くの企業を調べてみてほしいと思います。これはゲーム業界に限らずですが、よく調べてみると、自分が持っていたイメージとは実情が異なる企業が少なくありませんでした。自分の場合は、最初はいろんな業界の企業が集まる就職イベントに足を運んで、結果としてゲーム業界を志望する気持ちが高まりましたが、反対に別の業界の選択肢が見えてくるケースもあると思います。

それと自分の反省点として、インターンをもっと活用すればよかったと少し後悔しているので、機会があれば利用してみるといいと思いますよ。

――本日はありがとうございました。

【キャリアクエスト】開発の現場から見た、コーエーテクモの仕事風景とは。入社5年目のプランナーが語る夢、そしてキャリアプラン
《ライター:稲元徹也,撮影:佐々木秀二》
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