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自動生成やパーマデス(一度死ぬとすべてを失う)など、さまざまな要素が絡み合い、何度遊んでも楽しむことのできるゲームジャンル「ローグライク/ローグライト」。今週の「げむすぱローグライク/ローグライト部」第11回では、基本プレイ無料のテキサスホールデム・ポーカー・バトルロイヤルゲーム『ポーカーチェイス』をご紹介します。
ゲームの概要に入るその前に……「ポーカー」って、「ローグライク」なの?
最高位戦日本プロ麻雀協会所属のトッププロ雀士である朝倉康心氏(オンライン麻雀『天鳳』の最高位である「天鳳位」を2回達成し、『雀魂』でも魂天トップランカーであることで有名、また過去には「東方Project」原作シリーズのトップスコアラーであり、『beatmania IIDX』シリーズでは皆伝を取得しているほどのゲーマーでもある)は、「麻雀」というゲームについて2016年10月の日刊スポーツのインタビューで以下のように答えています。
(麻雀は)「1,000回遊べるRPG」というか、まさにそんな感じです。何回やっても飽きないし、それでいて経験はしっかり生きる。
この「1,000回遊べるRPG」という表現は、国産ローグライクの雄である『不思議のダンジョン』シリーズのキャッチコピーを意識したものでしょう。
本連載の第2回でローグライクには「ベルリン解釈」なる定義があることをご紹介しましたが、改めてその定義を再掲します。
ランダムマップ生成
パーマデス(一度死んだら生き返れない)
ターン制コンバット
グリッド移動
複数の攻略法が可能な複雑さ
非モーダル(すべてのアクションがいつでも実行可能)
リソース管理
ハックアンドスラッシュコンバット
以上の定義を「麻雀」に当てはめてみると、「ランダムな環境(配牌、ツモ)生成」「ターン制コンバット」「複数の攻略法が可能な複雑さ」「点棒・安全牌などのリソース管理」など多くの要素が当てはまっており、「麻雀」を「ローグライク」と見なすことはあながち的外れではないことがわかります。
では「ポーカー」はどうなのでしょうか。ここでは今回取り上げる『ポーカーチェイス』での基本的なルールとなる「トーナメントポーカー(多人数対人戦、全員が同じ量のチップを持った状態から同時に開始し、時間経過とともに最低チップベット額が上がっていく。チップが0になったプレイヤーはゲームから追放される)」について見ていくと、
ランダムな環境(手札などのカード、座順位置)生成
パーマデス(チップ0になると生き返れない)
ターン制コンバット
複数の攻略方法が可能な複雑さ
チップ・ベット額などのリソース管理
といった、やはりローグライクの「ベルリン定義」に当てはまる特徴を多く持っていることがわかります。こういった特徴から、筆者は「トーナメントポーカーはマルチプレイPvPローグライクだ」と事あるたびに主張しています。
『ポーカーチェイス』とは
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『ポーカーチェイス』は、ポーカーの中でも世界共通のメジャーなルール「テキサス・ホールデム」を採用した、バトルロイヤル型トーナメントポーカーゲームです。Skyfallによって開発・運営されている基本プレイ無料ポーカーゲームで、2021年より運営が続いています。
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プレイヤーが6人揃うとゲーム開始です。各プレイヤーはゲーム開始時に一定量のチップを持ち、他の5人のプレイヤーのチップをすべて奪い、生き残ることが目標です。本作のメインとなるランク戦では順位ごとにランクポイントが付与・あるいは剥奪され、高いランクに上がるほどよりレベルの高い卓に挑めるようになります。特に5位・6位を取ったときのランクポイントのマイナス量は大きいので、出来るだけ下位の順位を引かない立ち回りが重要です。
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「テキサス・ホールデム」というポーカーのルールに馴染みのない人のために簡単に説明しておくと、ゲーム開始時に各プレイヤーに手札2枚が配られます。この2枚が配られた時点で最初のベットラウンド(チップを賭けたり降りたりする)を行い、チップを払った参加者が複数いれば最初に場に全プレイヤー共通のカードが3枚開かれて2度目のベットラウンド開始、参加者が残ればさらに共通カードを1枚開いてベットラウンド、最後に1枚共通カードを開いてベットラウンドを行います。
最終的に手札の2枚と場札の共通カード5枚の計7枚で最強の役を作ったプレイヤーがそのラウンドの勝利となり、そこまでで全員が支払ったチップが与えられます。もちろん、ベットラウンドの時点でプレイヤーのベットに他のプレイヤーが全員降りた場合はその時点でそのプレイヤーがチップを獲得します。
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実際の対戦のケースを見てみましょう。最初の2枚の手札が配られた時点で、筆者のひとつ前のプレイヤーがレイズを入れてきました。自分の手札はクラブの8と9。テキサス・ホールデムにおいては「同じスートで連番」という手札は非常に強力で、しかも現在の座席位置がボタン(共通カードが開いて以降、常に最後に行動=後出しジャンケンができる強力な位置)なので、ここは迷わずにコールします。
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3つの共通カードが開いて、できたのはなんとフルハウス!これはほぼ勝ち確と見て間違いない役です。ここで相手はポットの1/3のベットを仕掛けてきました。非常に強い手なのでここでさらなるレイズを返してもいいのですが、ここはあえて手札を弱く見せ、相手にさらなるチップを吐かせるためにコールに留めます。ポーカーの目的は相手プレイヤーの手札に勝つことではなく、より多くのチップを相手から奪うことにあるのです。
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4枚目のカードはダイヤの7で、残りの2枚でストレートを作られた可能性が出てきました。とは言え、フルハウス>ストレートなので、相手がストレートを作っていれば逆に美味しい場面です。このベットラウンドでも相手はポットの1/3をベットし、こちらは次のラウンドでさらにチップを吐かせるためにコールします。
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最後の共通カードにハートのJが落ち、ストレートのみならずフラッシュの可能性もある共通カードが出そろいました。とは言え、相手がハートの7と10、またはハートの10とQでストレートフラッシュ、あるいはJ2枚か9とJで上位のフルハウスを作られていない限りはすべてこちらの勝利です。相手はこの場面でチェックを選択。対して、筆者はこの場面で負けている可能性は相当低いのでポットの1/3ベットを打ちました。
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相手はしばらく悩んだ後、コール。ショウダウンで相手が公開したのはクラブのJとQで、出来ていたのはJと9のツーペアでした。
相手からの立場でこの戦いを振り返ってみると、最初の共通カード3枚が開いたときはストレート狙い、あわよくばこちらを降ろせるのではないか……と考えて4枚目の共通カードが開くまでベットを続けましたが、ストレートが引けなかったので最後にチェックし、最後のこちらからのベットに対しては7または8だけのペア完成ならJペアの手札でも勝てるし、または何も出来てないブラフベットではないか……と読んで、コールに至ったのではないかと思われます。何はともあれ、こうして筆者は大きなチップ量を手にすることができたのです。
ポーカーはまさに己の経験と知識で強くなったことを実感できる「ローグライク」。キャラクターも魅力的だ
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本作『ポーカーチェイス』ではプレイヤーの実力に応じたランク分けがなされており、プレイヤーの実力が高まれば高まるほど、上のランクに到達できるという、まさしく「プレイヤーの経験と知識が重要」なローグライク感覚を実感できるランクシステムが構築されています。
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なお、筆者のランクはランクポイント2300以上が要求される最高位のレジェンドで、2024年12月20日時点でのランクポイントは2678です……ですがこれでも100位以内のトップランカーにはまったく届かないのでご心配なく……。
「ポーカー」にそんなに戦術や戦略があるの?と思われた方。ムチャクチャあります!とりあえずは、上記の『ポーカーチェイス』公式の初心者教則動画でも見てみてください(すごく……「バトル・ロワイアル」パロディです……とは言わない約束)。
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また、本作には「おすすめ機能」というサポート機能があり、これをONにすると毎回手札が配られて自分の手番になった時点でゲームに参加すべきか、あるいは降りるべきかのおすすめの選択を通知してくれます(プレイヤーの手番の前にレイズが入っていない場合のみ)。このおすすめ機能の選択はポーカー経験者から見てもかなり優秀な選択肢となっており、慣れないうち、あるいは慣れていても多少の迷いが生じたらこの機能のお世話になっても良いかもしれません。
ポーカーの初心者から初級者向けの読み物としては「ポーカー道」、あるいは「やる夫がポーカーに挑戦するようです。」などが挙げられます。また、ポーカー系インフルエンサーの「世界のヨコサワ」氏の一連の動画も参考になるかもしれません。
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本作の魅力はもうひとつ、キャラクターの多彩さにもあります。本作では定期的にキャラクターがガチャで追加され、各キャラクターにガチャやログインボーナス、対戦結果などで手に入るアイテムを贈り好感度を上げ、好感度を最大まで上げて「進化」させることで新たな衣装や対戦中に使用できるスタンプが解禁されます。ゲーム開始時に使えるキャラクターはピンク髪でグラマラスな女子高生「吉良紗幸」だけですが、ゲームを進めてブロンズランクに到達することで謎の黒騎士兜男「ジェイムズ・サンドマン」も使うことができます(ブロンズランクへは数回のプレイで到達できる。なお「ジェイムズ・サンドマン」の声優は「桐生ちゃん」の黒田崇矢氏)。
また、外部作品とのコラボレーションも頻繁に行っており、2024年12月25日からは「福本伸行」作品とのコラボレーション復刻が行われます。「アカギ」「カイジ」のみならず、未アニメ映像化の「銀と金」から森田鉄雄も登場し、声優は各種映像作品とは異なりますが、原作の雰囲気は良く出ています(特に銀河万丈氏による「カイジ」の利根川幸雄や、若本規夫氏による「アカギ」の鷲巣巌ボイスはかなりのインパクトあり)。
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なお、いくら課金してガチャを回して、原作で強運持ちとして描かれていたキャラクターを使用しても、実際のゲーム内では有利になることはありません。当たり前ですが、このあたりはフェアです。
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ゲーム内には多くの装飾品が実装されており、これを集めてカスタマイズするのも楽しいです。装飾品の多くはガチャのほか、大会入賞報酬やポイント交換で手に入れることができます。
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また、本作のメインモードとなる「ランク戦」以外にも、決まった日時に開催され、数百~千人以上のプレイヤーが一堂に生き残りをかけて戦う「大会」や、リングコインを賭けていつでも自由なタイミングで参加できる「リングゲーム」など、本作にはさまざまなゲームモードが用意されています。それぞれのゲームモードで個別にランキング集計が行われるので、得意なゲームモードを探してみるのも一興でしょう。
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何はともあれ、「ポーカー」は自分の経験と知識を基に、手持ちのカードとチップをどう活かして戦うか……が要求されるマルチプレイPvPローグライクである――筆者は、そう改めて主張します。この記事をきっかけに、ローグライク・ローグライト愛好家の皆様にも「ポーカー」の魅力の一端が伝われば、これに勝る喜びはありません。
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