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経済産業省が公開している2023年の第3次産業活動指数(ゲームソフト)によれば、2015年と比較して3倍近い数値を出す高水準で推移しているとのこと。また、2022年における「国内ゲーム市場規模」は2兆316億円とゲーム産業は日に日に拡大していることが分かります。(出典:経済産業省、2023年CESAゲーム白書)。
そして2024年においては、現世代ハードの供給不足も解消されていることに加え、PCゲーム市場を支えるSteamの同時接続者数も12月8日に全世界で3,900万人を超えるなど、多くの人間が「ゲーム」という娯楽に興じており、カジュアル/ハードコア関係なく「ゲーマー」という属性が身近な存在となっていると感じます。
さらに、身近な存在となったゲームと同期するように、YouTubeをはじめ(古くはニコ生から)Twitch、OPENREC、ツイキャス、ふわっちなどストリーム配信が普及し、特にゲーム実況が盛況となり国内外問わず数々のゲーム系インフルエンサーが誕生しました。
こうしたゲームとゲーマーを取り巻く環境は、筆者が青春を過ごした90年代後半~2000年代と比べると、社会的な認知度や寛容性も含め格段に良くなりました。今では親や大人から「ゲーム脳」とか「ゲームばっかしないで勉強しろ」なんて叱られることも減ったのではと思います。
そして年々増していくゲーム関連産業の影響力に、その可能性を見出したのはファッション業界です。eスポーツの台頭や前述のゲーム配信の普及によって「ゲーマーの露出」が当たり前になった時代、『リーグ・オブ・レジェンド』がルイヴィトンとコラボしたり、eスポーツチームがアパレル事業に注力したり、オシャレなストリート系ブランドが格ゲーのプロたちをモデルに起用したり、「ゲーマーとファッション」の関係性も変化しているのが現状です。
そこで本記事では、「変容するゲームとファッション」の実情を探るべく、筆者個人が選ぶ「イケてるゲームカルチャー系アパレルブランド」をご紹介します。
【2024年~2025年】Game*Spark年末年始特集はこちら!◆FOUR DOTS®
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最初にご紹介するのは、"𝙒𝙄𝙏𝙃 𝙑𝘼𝙍𝙄𝙊𝙐𝙎 𝙂𝙀𝙀𝙆𝙎”を掲げるアパレルブランド「FOUR DOTS®(通称4D)」。ゲームなどのgeek(オタク)カルチャーをデザインソースに独自の世界観を表現しています。
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スタイリッシュなブランドロゴを背面にあしらったフーディーやTシャツ、機動性とファッション性を兼ねるジョガースーツからジャケット、ハットまでバラエティ豊富な品揃え。そして、場所を選ばず日常生活にもサラッとオシャレに着こなせるので非常に使い勝手が良いところも特徴です。
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さらに、やたらと購買欲をそそる蓄光タイプのキーチェーンやバンダナ、サイズ感バッチリのデイバッグ、「AKIRA」をモチーフにしたアクセサリーなど、洗練されたデザインの小物類も最高にスタイリッシュです。
そして何と言っても、ガチくん選手、カワノ選手、ぷげら選手が所属する著名なプロゲーミングチーム「Good 8 Squad」のスポンサードを行い、3名をモデルに起用するなど、ゲームカルチャーにも深くコミットしているのが素晴らしい。ブランドが持つストリート的なニュアンスとゲームカルチャーが融合した一押しのアパレルブランドです。
◆vaultroom
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「vaultroom」は、東京・渋谷および福岡に拠点を構える“ゲームコミュニティー”として、さまざまなストリーマーや異なる分野のアーティストが集まる招待制コミュニティの形態を持ち、複数の会社によって共同運営されています。ダイレックが販売業者となり、アパレル事業にも特に注力していることも特徴。
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商品ラインナップにはフーディーやTシャツ、ジーンズ、キャップなどのオリジナルアイテムから、『STEINS;GATE』や『FFXI』『モンスターハンター』といった人気ゲームとのコラボグッズも。さらにはプロゲーミングチーム・ZETA DIVISIONとのコラボレーションアイテムも発売され、一瞬でソールドアウトするなど話題に事欠きません。
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vaultroomの強みは、その洗練されたセンスとブランドイメージの魅せ方が非常に上手いこと。オリジナル商品は、ゲーム/ネットカルチャーをモチーフにしたデザインが最高にクールだし、プロダクト自体の質がとても高く実用的なのです。
そして、俳優の山崎賢人さんやモデルの柳俊太郎さんを起用したルックブックも、エモーショナルでストーリー性のある構成になっていて、ブランドの持つクールでお洒落なイメージを十二分に引き出しています。
◆100 Theives
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アメリカ合衆国カリフォルニア州に拠点を置くeスポーツ組織/ライフスタイルブランドの「100 Theives」は、その確立されたブランド力から“ゲーム関連業界のSupreme”と評されるほど成功を収めています。その人気ぶりは、5分間で50万ドル(約5,300万円)以上の売上を記録することもあるほど。
2017年に「Nadeshot」としても知られる元『Call of Duty』プロゲーマーのマシュー・ハーグ氏が自身の経験を元に、eスポーツ・YouTube・ストリーミング・アパレルという異なる分野を結びつけ設立。『LoL』『CS』などのプロリーグに参入し順調にファン数を増やし、さらに2018年には、人気ラッパーDrakeが共同オーナーに就任するなど、その勢いは止まりません。
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Hoodieやスウェット、Tシャツからジャケットなど都会的で非常に洗練されたストリート感のあるラインナップが特徴的。野暮ったくなりがちなeスポーツ系のブランドとして、「ダサさ」が全くないのです。
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また、アディダスとのコラボレーションやGUCCIとの限定コラボアイテムの販売、高級車ブランド「レクサス」とのパートナーシップ契約など、eスポーツ組織の枠を大きく超えた活躍と成長を見せています。とにかく迷ったら100 Theivesを買っておけば間違いなし!
◆ZETA DIVISION
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「ZETA DIVISION」は東京を拠点とするeスポーツ/ゲーミングライフスタイルブランドとして2017年に設立。『フォートナイト』『PUBG』『Brawl Stars』『VALORANT』等多くのプロゲーミング部門で実績を上げつつ、『オーバーウォッチ』では日本人初のOWリーガー(Ta1yo選手)を輩出するといった快挙も達成しています。
また、JCBカードやレッドブル、ハーマンミラー、INZONEなどさまざまな分野とのパートーナーシップを締結していることも特筆すべき点です。
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競技シーンとは別に、個性豊かなクリエイター陣も在籍しており“ゲーミングライフスタイルブランド”として、ゲームカルチャーに根差した多様なアパレルを展開しているのも魅力。Hoodieからコーチジャケット、キャップといった定番アイテムから、フットウェアブランド「SUICOKE」とのコラボレーションアイテムまで、幅広く実用的な商品ラインが揃っています。
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もちろんブランディングも超一流で、オンラインストアでの各シーズンごとに在籍メンバーを起用したプロダクトのルックブック的な見せ方も「ZETA DIVISION」の発信力の力強さを感じるし、vaulroomとのコラボで俳優が着用していたりと、ファッションとしても最高にイケてるアパレルブランドだと思います。
◆FENNEL
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「FENNEL(フェンネル)」は、日本を拠点に置くeスポーツ企業/アパレルブランドとして2019年に設立。『荒野行動』『VALORANT』『LoL』など11部門のプロチームを持ち約70名が在籍しています。それだけでなく、DIESELやNEW ERAとのコラボレーションを果たしたり、音楽スタジオ「FENNEL STUDIO」を構えていたり、新たなカルチャーを生み出す総合的なクリエティブ集団としての側面もあります。
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最先端のアパレル業界の流行を取り入れつつ、エッジの効いたストリート的なニュアンスが特徴的。とくに2023年には、ゲーマー、ストリーマーたちに寄り添った新ライン「FNNL w/(ウィズ)」を発表し、リバイバル中のY2K(2000年代)ファッションを全面に押し出したプロダクトが最高にクール。他の現行ブランドにも全く引けを取らない、非常にハイセンスで実用的なアパレルブランドです。
◆&CHIPS™(CAPCOM)
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最後にご紹介するのは、『バイオハザード』『モンスターハンター』等で著名なカプコンの自社ブランド「&CHIPS™(アンド チップス)」。カプコンIPをアパレルとして再構築したブランドとして展開し、様々なデザイナーとのコラボレーションアイテムを販売しています。
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とくに、NFTジェネラティブコレクション「NEO TOKYO PUNKS」がヒットしたイラストレーター/クリエイターのROKU氏をデザイナーに迎え、『ロックマン』シリーズを再解釈したアイテムは、E缶やお馴染みの敵キャラなどロックマンユニバースをポップでスタイリッシュに表現。長年愛されているカプコンのIPをフレッシュに生まれ変わらせる新たな試みとして注目のブランドです。
さて今回ご紹介したブランドは、どれもが最高にクールなおすすめのものばかり。ゲーマーとファッションを取り巻く環境は変化し続けています。気になるアイテムがあればぜひ一度手にとって見てはいかがでしょうか。
【2024年~2025年】Game*Spark年末年始特集はこちら!¥2,952
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)