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1月23日の早期アクセスから話題騒然、圧倒的好評の評価を得ているレーシングゲーム。その名は『首都高バトル』。初日の同時接続は14,000人を越え、何者でもなかった走り屋たちは首都高にその名を刻むために車を走らせていきました。
そこまでの話題になる本作は一体どの様な想いやコンセプトを持って制作したのか。ということで今回は実際に『首都高バトル』を制作しているスタッフである野口健太郎氏と佐藤孝年氏のお二方を招いて発売日前日に特別インタビューを敢行。その内容を包み隠さずお伝えいたします。
今後のアップデート計画や知られざる首都高への拘りがここに。
あの時の熱を皆に知って欲しいからこその選択
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――まずはお二人の『首都高バトル』における立ち位置をお伝え頂ければ幸いです。
野口健太郎氏(以下、野口):開発のプロデューサーをやらせて頂いています。主にお金周りだったり人員の取り纏めなどが担当です。
佐藤孝年氏(以下、佐藤):マーケティングの責任者として仕事をしております。
――前作『首都高バトルX』から18年の時が経過しましたが、なぜこのタイミングで『首都高バトル』を改めて世にリリースしようと考えたのでしょうか。
野口:元々『首都高バトル』シリーズは自分が作ってきた中で最もやりこんだゲームでした。リリース前はデバッグで遊び、リリース後に自宅でも遊んだのはこれしかありません。それくらい自分の中で思い入れがありました。なので、いつか復活させたいという思いをずっと持っていました。
別の理由として、『首都高バトル』シリーズがネット上でずっと新作を待ち望んでいる声があったからというのもあります。
さらに大きかった点が、アメリカでは現在日本車の価値が再び大きくなっていることも上げられます。R34は現在2000万から3000万で取引されている現状があります。あの高騰は何なんですかね(笑)
ですので、このタイミングで復活させなければ厳しいなという気持ちになり、新作をリリースしようと決意いたしました。
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――今までの本シリーズは「0」「01」「X」などナンバリングが付いていたと思いますが、今回改めて『首都高バトル』とナンバリングを無くしたのは理由などありますでしょうか。
野口:「原点回帰」を立ち上げる時に大きなテーマとして考えたからです。『首都高バトル』シリーズがなぜユーザーに受け入れられているのか、余計なナンバリングをつけるより原点に立ち戻っているというのを伝えるためにこのタイトルにしました。
――今回の『首都高バトル』の公式サイトにもある通り、本シリーズは「首都高完全再現」を銘打ち続いてきた背景があります。「首都高完全再現」を目指すにあたって気を付けている点などはありますでしょうか。
野口:実際の首都高の取材に関しては18年前の『首都高バトルX』を出した当時にも散々実施していました。その際にはレーザー計測のデジタル計測も行いました。ですので当時の正確な寸法をゲーム上で再現していました。ただ、悩んだのは「今現在の首都高」を再現するのか、「2000年代当時」の首都高を再現するのかという点です。考えた結果、前作の世界観を引き継ぐという意味で時代背景を現代に持っていかず、あえて「2000年代当時」の首都高を再現する点に拘っています。
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――本作を開発するにあたり、一番重要視している点はどのようなところでしょうか。
野口:全方位に力を入れました(笑)一番自分の中で難航したのは車のラインナップです。昨今のレースゲームは沢山のスーパーカーやハイパーカーを使って遊ぶことができます。『首都高バトル』でもそのような車で遊べるようにするのか、そもそも『首都高バトル』らしい車のラインナップとは何か。その点について個人的には一番力を入れています。
――車のラインナップの話が出たので追加で質問します。早期アクセスの段階では50台弱の車が使用可能ですが、こちらは正式版になるまでにさらに増加する予定はありますでしょうか。
野口:数は決まってませんが、増加は予定しております。個人的な希望としてはいつかは過去作を上回りたいと考えていますが、実際は昨今の車のモデリングに対するクオリティが上がったことで一台当たりを作るのに時間がかかるため、過去作を上回るほどの数は出せないのではないかなと思っています。
――早期アクセスではC1や湾岸線などを走ることが出来ますが、今後横浜線や名古屋線、阪神線など過去作で走行することが出来た場所も走れるようになりますでしょうか。
野口:そのあたりは色々検討している最中です。ですので早期アクセスをプレイして頂いたお客様の声を聞いた上で判断したいと考えています。今回早期アクセスという形を取ったのは従来の『首都高バトル』シリーズのファンの方も大事にしていますが、今レースゲームを遊んでいて『首都高バトル』には触れてこなかった新しいファンの声も大事にしていきたいと思っているので、そういった皆さんの声を聞きつつ方針を決め細かに告知を繰り返してアップデートしていきたいです。
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――本作はSNSで非常に注目されており、今回の『首都高バトル』でシリーズを初めて遊ぶという方も多数いらっしゃると思います。そう言った方にアドバイスなどあればお伝え下さい。
野口:個人的に『首都高バトル』の魅力というのは世界観だと思っています。90年代当時の走り屋の文化、車が好きな人たちの文化、それを再現できていたのが過去作だと考えています。それは本作でも大切にしているので、世界観に浸ることで「こういう文化もあるんだな」「車ってこういう楽しみ方もあるんだな」そういうところから楽しんで貰えたらと思います。
車に乗ってレースの1位を取るのではなく、『首都高バトル』は1vs1のSPバトルが基準になるのですが、その中でもライバルの個性を大切にしています。わかりやすいのはプロフィールですね。「こいつ女教師だったのかよ」とかSNSでも盛り上がって頂いていましたし、そのような点も僕らは大切にしていますので、そういったところを楽しんで頂けば世界観もより見えてきますので、1つの遊び方として楽しんで頂けたらと思っています。
――早期アクセスでは200以上のライバルが登場しますが、今後のアップデートでライバルはどれだけ増やそうと考えていますでしょうか。
野口:早期アクセスまで突っ走ってきたのもあり、今後のライバル車の追加に関して具体的な数字をお伝えするのは難しいです。ただユーザーの皆さんがやりごたえのあるボリュームを用意したいとは考えています。
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――本作ではプレイヤーの能力やスキル、あるいは車の購入権やチューン要素をパークというシステムにてBPを消費することで開放する形式になりましたが、これはどういった狙いがあるのでしょうか。
野口:昔のままやり続けても仕方ないというのもありますし、本作のディレクターからの提案でパークを実装した方がより楽しめると考えた結果実装しました。
佐藤:ゲーム上で遊びの軸を増やしたいというのも狙いとしてあります。今までは車両のカスタマイズをするという一辺倒だったものから、もう少し成長の幅を増やしゲームとして面白いものにしていきたい、やれることを増やしていきたいと考えてのことだとディレクターから伺っています。
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――個人的な考えではありますが、現状では全てのライバルを倒したとしてもパークの全ての要素が解禁できないので、人によっては窮屈な思いをする人もいるかと思います。
佐藤:それは現在早期アクセスなので全て開放されてしまうと困るという点もあります。
野口:意図的にそうしています。
――実際は現在の早期アクセス内で獲得可能なパークのポイントは計算すれば出てくると思うので想定通りであるとは考えていました。
野口:とは言っても僕たちは一回やらかしていますからね。海外版の話なのですが、5000万ドル以上溜めないと開放されないライバルが存在するにも関わらず、ゲーム上の制限でその額まで絶対に溜められない仕様になっており、ライバルが出現しないという現象が発生してしまいました(笑)
そういったこともあり、現在の僕たちは反省して気を付けていますので、製品版ではそのようなことは発生しないと思います。
佐藤:早期アクセス中も随時アップデートは実施していきますので、そういった問題についても随時アクションが行われていくと思います。
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――最後に『首都高バトル』シリーズのファンに一言お願いいたします。
野口:いや、本当に「待たせたな」の一言につきます(笑)早期アクセスという手法を取ったのは、皆さんの意見をぜひお聞きしたい、より面白い『首都高バトル』にしていきたいという考えからです。
ぜひSNSなどで僕らにメッセージを頂けたらなと思います。『首都高バトル』をよろしくお願いいたします。
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インタビューの内容は以上になります。とにかく気になったのは「ユーザーの意見を取り入れて、新しい『首都高バトル』を作り上げたい」という確かな熱意でした。
ぜひこの記事を読んで本作も遊んだ方は、SNSなどでぜひ素直な感想や要望を開発に伝えて頂けたらと思います。あなたの300km/hを超えるようなストレートな言葉が『首都高バトル』の新たな伝説の1ページを捲るきっかけになるかもしれません。
『首都高バトル』は、PC(Steam)向けに早期アクセスで配信中です。