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2月6日、京都の南座にて、3月20日に発売を控える『アサシン クリード シャドウズ』のイベント「アサシン クリード シャドウズ ショウケース in 京都」が開催されました。
このイベントでは奈緒江役の島袋美由利さん、藤林正保役の田村真さん、隈部氏家役の岩中陸樹さんのメディア向け合同インタビューも実施。そこで本稿では、取材陣に笑いも巻き起こった声優3名のインタビューをお届けします。
波形を聞きながら収録した日本語版音声
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――まず皆様にご自身の役どころのご紹介とご挨拶をお願います。
島袋美由利さん(以下、島袋):主人公の1人の奈緒江を演じさせていただきました島袋です。
田村真さん(以下、田中):奈緒江の父役の藤林正保役を演じました田村真です。
岩中陸樹さん(以下、岩中):隈部氏家役をやらせていただきました岩中と申します。
――本作、アサシンクリードシャドウズの配役決定された時の感想をお聞かせください。
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島袋:お話をいただいたのが誕生日の時だったので、すごくありがたいプレゼントをいただいたなという気持ちでした。また、舞台が日本だったので、どういった物語が紡がれていくんだろうとか、その忍びの女性も主人公として加わるということで、どういうゲームになるんだろうと楽しみでした。
田中:僕ら声優がまず事務所から仕事の連絡を受ける時には、割と「ゲーム」とかセキュリティタイトルで届くんですよね。現場に行ってみて初めてこういうタイトルのゲームなんだと説明を受けて知るってことが多いんですが、今回に関しては最初から『アサシン クリード シャドウズ』だと教えてもらっていました。こういう役目ですと説明を受けまして、いい役なんだろうなと期待しながら演じました。
岩中:僕は、元々『アサシン クリード』シリーズは高校生の頃から個人的にファンでして、お話をいただいた時は本当に胸が高鳴って。ファンとしては、アサシン教団は隠れながら進んでいくような組織なので、いつか忍びが出るんじゃないかなと思っていました。それで、やっと(忍び)出たと思ったらこの話を自分にいただいて、すごく嬉しかったですね。
――1番大変だったことや苦労したこと、それをどのように乗り越えてきたかを教えてください。
島袋:奈緒江は、復讐を糧に生きている忍びなので、復讐する相手に出会った時の爆発力みたいなところは、何も考えず手放しで演じられていたかなと思います。一方で、普段の行動でどこまで自分の気持ちを出すかという部をは考えながら役を作っていきました。
また、そんな彼女も選択肢などによってはロマンスの香りがすることもあったりしました。そこでどこまでその香りを漂わせていこうかというところは、演じてみて、スタッフさんに聞いてもらいながら一緒に作っていきました。
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田村:大変だったことはないですね(笑)。我々(声優)は粛々と仕事をこなすというか、責任を果たすというのみなので。強いて言えば、自分が演じるキャラクターを調べても、歴史的にはあまり出てこないんですよね。そこはやっぱり想像で埋めていくというフィクションになっています。
フィクションが含まれているけど、どうやら実在した人ではある。でも元になった人の資料がなかなか出てこなかったので、その点は難しかったですね。
岩中:僕の役も調べても出てこないんですが、でも隈部氏というのが昔いたらしくて。やっぱり海外のゲームを日本用に吹き替えるというところで、収録方法も僕らがいつもやっている映画の吹き替えだったりとか、そういうところでのスキルとかが問われてくるので、その部分も割と難しかったところはありますね。(収録時に)画があったりなかったりするので。波形があって、それに合わせて喋る必要もありました。そこが結構大変でしたね。
――本作ゲームのキャラクターを演じる上で、普段演じてるような作品との違いはありましたか?
島袋:私はこういった形のゲームを収録させていただく機会は初めてだったので、先ほどおっしゃっていた、波形を聞いて、英語を聞いて、その後に自分が収録するっていうタイプの収録方法も初めてでした。
その尺も、ちょっとだけだったらこぼしたり巻いたりしちゃってもいいっていうところもあれば、ぴったりのところもあって。そういったものは私は初めてだったので一番違うところだと思いましら。
田村:アニメにゲーム、海外ドラマとかも多く吹き替えはやりますけど、1人の人間を作るという事は同じです。 僕の中での違いはそんなになかったです。
――収録時の印象に残っているエピソードはありますか。
島袋:やはり戦闘シーンも結構あったり、あと馬に乗ったり犬と戯れてみたりという触れ合いもあって、その音声のパターンが1つや2つではなかったことですね。馬に乗るにしても、もう体感ですけど10パターンぐらい音声を取った気がしています。
元々の英語の音声を聞いて、それに近しい表現を求められていていましたし。こちらでも変化をつけて、いろんな馬の乗り方をしたりとか、戦闘シーンではどれくらい叫んでもいいのかとか、その塩梅がとにかく私は難しかったですね。
田村:日本語のディレクションをされた方がとてもこの作品を愛してらっしゃって、その愛情がすごく伝わってきました。この役は何々という方がやられていますとか、このシーンはこういうシーンですとかっていうのも全部です。この作品のすべてを僕に説明とディレクションしてくださったんで、その方の顔が今ここに浮かんでいますね。
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岩中:僕ら日本生まれの人は時代劇が馴染み深いじゃないですか。 海外の会社が日本を舞台にしてくださって、やっぱり時代劇に近いところがあって、そこから英語音声が聞こえてくるのはなかなか不思議な体験でした。 そしてそこに僕らが日本語で吹き替えをするという、なかなか印象的な体験をさせていただきました。
――戦国時代のこうキャラクターを演じる上で言葉遣いなど気をつけられたところはありますか。
島袋:私自身がその言い回しを調整していったというよりは、元々のその音声を日本語訳してくださる段階で、このキャラクターは語尾を下げて、問いかけの時もこうしてなど、指定がありました。あの時代の人物というよりは、奈緒江というキャラクターを作っていく上での節回しの調整はあったとは思います。
田村:セリフ、言葉遣いに関しては、翻訳が優れているので、その通り読んでいけばそんなに苦労することはなかったと思います。
そして、この戦国時代の武将や侍の言葉づかいについてですが、僕らの世代は子供の頃からやっぱり時代劇が大好きで、ずっと見てきたものが血となっていますよね。積み重なってきたもので、意識しなくて自然と出せてしまう、みたいなところがあるかもしれないです。
岩中:役者としては、名乗り(口上)はちょっと1回はやってみたいなと思っていたので、それができてすごく嬉しかったです。 「隈部氏家と申す!お初にお目にかかる!」みたいな。
――島袋さんは奈緒江を演じてどういうところに魅力を感じましたか。
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島袋:彼女は普段は復讐が1番なので、どちらかというと閉ざしているようなところも多いんですが、仲間と日常生活を送る中で彼女の素の部分みたいなものが垣間見えるシーンが度々あって、そこのギャップではないですけど、いろんな面を見せてくれるところがやはり1番の魅力かなと思っています。
彼女はかつて村娘として活発な時期もあったので、そのちょっと田舎娘感を残すために「〇〇じゃ」という喋り方をするんですが、そこはディレクターさんたちがこういう言い回しの方が彼女の素が伝わるんじゃないかと考えて作ったんだと思います。
――田村さんは藤林正保を演じる上でいかがでしたか。
田村:演じるにあたって自分の力となったのは、父親であるということですよね。 先ほども言いましたが、資料が少ない人物でしたし、ゲーム内でもバックボーンは描かれてないので、セリフから抽出して想像で埋めながらだったのですが、おそらく忍びの一族の血を絶やさないために、我が子、それが娘であってもアサシンに育て上げなければならないという使命を持っていたのでしょう。
でも、心配なんですよね。いざ、里を守るための戦いが始まった時に、その娘を巻き込んでいいのかと、力を借りていいのかということを大いに葛藤していて。 危険な目に遭ってほしくないのは当然なんだけれども、危険な道に導いてしまったのは己自身だという矛盾。 その矛盾に揺れる心情というものは、大切に心の底に必ず置いて演じるように心がけました。
――岩中さんは『アサシン クリード』シリーズを非常にやり込まれていてトロコンもしていると伺っていますが。
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岩中:最初から面白いゲームだったんで、ゲーム内でクリアしててもトロフィーが取れてないことがあるんですね。そういう取れてないトロフィーが大体「敵に砂をかけて5人切る」みたいな解除系でして。 やっていくうちに、たまたま取れることもあれば、なんか意識して取らないといけないこともありました。でも面白いゲームだったんで、トロフィーが全部とれるまでやりました。 達成感はありますよね。プラチナトロフィーがもらえるのでそれを目指して。取った時はめちゃくちゃ嬉しかったです。
――1番苦戦したトロフィーはありますか?
岩中:ありますよ。『アサシン クリード ブラザーフット』っていう作品でマルチプレイモードがあったんですよね。当時はシングルプレイが多かったのですが、マルチプレイでしか取れないトロフィーがあって、それは結構苦労しました。 あとは『アサシン クリード ヴァルハラ』かな。DLCのトロフィーは結構苦戦しました。
――最後に、本作をどのような人に楽しんでもらいたいでしょうか。
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島袋:私自身は先ほどちょっとプレイして全然歩けもしない状態だったんですけど、岩中さんのプレイを見させていただいて、奈緒江の身軽な身のこなしだったりとか、鎖のアクションがすごくかっこよくて。また弥助は堂々と入っていくじゃないですか。 逃げも隠れもしないっていう感じなので、いろんなキャラクターを使って遊べる楽しみがあるんだなっていうのを教えていただきました。皆さんにはぜひ奈緒江と弥助を同じぐらいの分量でプレイして楽しんでいただけたらなと思ってます。
田村:これは言っていいのかわからないですが、僕は普段ゲームをやらないんです。10代のころでストップしちゃったんで、本作の映像を見てこんなに進化しているのかと驚きました。だから、僕みたいなゲームをやらない人も、映像とかから入っていってゲームを始めてほしいですね。当然、岩中くんのような大好きな方にもプレイしていただきたいです。
岩中:『アサシン クリード』シリーズファンの方はもちろん、その時代背景が日本の安土桃山時代なので、この時代が好きな方にもおすすめです。 他には、爽快なアクションと、ちょっと精密な操作が必要になってきますが隠れながら進むアクションも『アサシン クリード』の魅力なので、そのどちらかでプレイしてもいいし、どちらも楽しみながらやってもらえればと思います。
――ありがとうございました。
奈緒江の素の一面も気になる『アサシン クリード シャドウズ』は、PC(Ubisoft Store, Steam, Epic Gamesストア)/Mac(Mac App Store)/PS5/Xbox Series X|S向けに3月20日発売予定です。