※3話までの軽微なネタバレが含まれています。
閲覧にはご注意ください。
2025年2月13日、ミステリーADV『都市伝説解体センター』がPC(Steam)/ PS5/ ニンテンドースイッチ向けに発売されます。本稿ではそのプレイレポをお届け!
集英社ゲームズと墓場文庫がタッグを組んで手がける『都市伝説解体センター』は、TGS2024で巨大ピラミッドを出現させたり、キャラクターの魅力などで発売前から注目を集めているタイトル。「Steam NEXTフェス」で期間限定体験版が配信され話題になったりもしました。
先日から体験版が再配信され誰でも触れるようになりましたが、今まで名前は知っていても遊ぶ機会がなかったという方も多かったのではないでしょうか。そんな“都市伝説”のような謎に満ちた本作を、本稿では解体……もといレポしていきます。
ただ、ミステリーADVという性質上、3話までのプレイ。また本稿では発売前プレイレポという性質上、詳細なストーリーなどは伏せた状態でのプレイフィールとなります(既出の情報などを一定の基準としています)。しかし軽微なネタバレを含みますので、ミステリーADVとして気になる方はご注意ください。
◆都市伝説を解体するとはこういうことかッ!キャラも都市伝説知識も濃ゆい『都市伝説解体センター』
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『都市伝説解体センター』は、人の残留思念が視えてしまう念視体質の「福来あざみ(ふくらいあざみ)」が“都市伝説解体センター”という怪しげな組織を頼る所からスタートします。
ここであざみは自身の視えすぎてしまう能力を抑えて貰いに来たのですが……車椅子に座ったセンター長「廻屋渉(めぐりやあゆむ)」のあの手この手に引っかかってしまい、念視をコントロールするメガネ(と借金)を手に入れ、半ば無理やりに都市伝説解体センターの仕事を手伝わされることに!
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車椅子ゆえ満足に動けない廻屋の代わりに、先輩調査員の「ジャスミン」と共に“都市伝説を解体していく”ことになるわけです。ちなみにあざみが念視持ちなら、廻屋は「千里眼」持ち! 現場にはいないものの、要所要所で「安楽椅子探偵」なムーブをとってくれるわけです。
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『都市伝説解体センター』はこの3人をメインキャラとして物語が進んでいくわけですが……全員のキャラが良い! 内気で騙されやすいし、時々悲観的だけど前向きなあざみ、ダウナーであざみとは虫が合わなそうだけど、接しているうちにいろんな顔を見せてくれるジャスミン、そして蠱惑的で一癖も二癖もありそうだけど、実は面倒見がいい……ようで「やっぱりこっちを騙してるだけかも?」とプレイヤーを惑わせてくれる廻屋。たまりません。
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余談ですが、今現在、筆者の好きなキャラはその廻屋。普段は問答無用で可愛い女の子キャラを好きになるタイプのゲーマーですが、廻屋という男の妖艶さにやられてしまいました。
『都市伝説解体センター』はピクセルアート作品と侮るべからずで、動画で挿入されるドラマティックな演出や、各話クライマックスでテーマソングが流れる演出が秀逸。ドラマやアニメを観ているようで、達成感とカタルシスを与えてくれるのです。令和のピクセルアートで描かれる「アドベンチャーゲーム」として、唸らせられます。
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そしてそのアニメーションはプレイ中も画面を彩ってくれます。シリアスはもちろん、コミカルに動いているキャラを見るだけでも楽しい。
さて、ここからはミステリーADVとして肝心のゲームプレイについて触れていきます。多くの人がまず抱く点として『都市伝説解体センター』について多くの人が思う疑問「都市伝説を解体するって何!?」から解説していきましょう。
まず前提として、本作は「オカルトがないこと」を実証するゲームではないのです。あざみが「念視」というオカルト的な能力を持っていますし、筆者がプレイした範囲では「都市伝説は実在する」という前提のもとで、あざみたちの調査が行われています。
まず、第一話「闇から覗く目」では、(偶然)あざみの友人、美桜の部屋に“突如”謎の男が現れたという事件に立ち向かっていきます。ここで重要なのは、「事件を円満に解決」することが都市伝説解体センターの役割ではないということ。オカルト的な事象である(っぽい)とした上で「美桜の部屋に突然男が現れるという現象」は「○○という都市伝説の仕業ではないか」と特定、解体するのみ。
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つまりセンターの人間からしたら、極論で言えば「これ○○って都市伝説の仕業やわ!」と特定できたなら帰っていいことになります! そこから発生する危険性とかは二の次だそう。……しかしそう単純にいかないから事件足りえるわけで。
ここで廻屋が求める「特定」は非常に徹底したものであり、あざみに事件の仔細まで詳しく解き明かしていくことを求めます。そこには人の情念や事情などが複雑に絡まっているため、「都市伝説ではない要素」が明かされていくのです。
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まず都市伝説を“特定”して、そこから余分な情報を“解体”していく。つまり“結果的に事件に関係するすべてを解体”することで、事件が解決されちゃうわけですね。「解こうとは思わなかったけど仕方なく解けちゃったんだからねっ!」というツンデレみたいな推理の仕方です!
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ですのでプレイ中、一瞬「都市伝説はほぼ確定したんだし、何をするの?」と思わせるシーンもありましたが、読み進めると“解体”の名に相応しい驚きの展開が待ち受けていました。『都市伝説解体センター』を開発した墓場文庫は以前、『和階堂真の事件簿』という刑事物ADVをリリースしており、まさしく推理物のツボを押さえていると感じます。
ただ、『都市伝説解体センター』の推理自体は割と簡単なモノ。インタビューなどでも「誰でもクリアできるゲームを目指した」と語っているように、がっつりとした推理を求めると肩透かしを食らうかもしれません。その代わり、各所がオカルト好きに刺さること刺さること……。都市伝説や怪談、「きさらぎ駅」などのネットロアが好きなゲーマーは必見です。
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第二話「鏡像から迫る死」では心霊系配信者「谷原きのこ」にまつわる、事故物件に残された鏡にまつわる逸話を解決していきます。この谷原きのこという名前、事故物件などが好きならニヤリとしてしまいますね。念のため、「谷原きのこ」というキャラは筆者が想像したモデルとは違った、ただのひたすら濃ゆい配信者でした。
第三話「辺獄への階段」は主催者不明のミステリーツアーに潜り込む物語でした。上野公園、不忍池という実在の場所を起点に、地下へとガイドされていくことになります。こちらはひたすらワクワクしますね。
“東京の地下に謎の施設がある”という都市伝説を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。それは洪水防止施設だったり、あるいは日本軍時代の遺物であったり……。ちなみに不忍池も心霊スポットとして(オカルト好きには)有名です。
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このように、(筆者はオカルト好きですが)多くの人々が持つであろう“怖いもの、ちょっと好き”なツボを刺激してくれるのが『都市伝説解体センター』という作品が持つ魅力でしょう。
さらに言うなら、本作をプレイしても「解決されない謎」が多いのも面白い点です。あくまで重要なのは「都市伝説解体センターとしての仕事」であるため、「あれ? このキャラってもしかして……」と思わせてくれる要素があえて謎のまま、ストーリーが進んでいくのです。
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筆者が『都市伝説解体センター』をプレイして初めに感じた印象は「これは至ってライトで、ホラー要素も少な目」というものでした。しかし実際に腰を据えて遊んでみるとそれは間違いで、じわりじわりと積もっていく不穏な気配を感じることになります。
プレイしている今現在は「SNS社会での都市伝説」という要素に真摯に向き合ったミステリーホラーというイメージ。プレイ開始当初の想像以上に、SNSおよび噂の功罪という重いテーマについて考えさせられています。
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難解な推理はあまりないものの、スピード感とテーマ性、そしてドラマティックな演出が際立つ『都市伝説解体センター』。筆者はオカルト好きの視点からオススメしますが、ドラマ・アニメ好きと言った方にも刺さるでしょう。4話以降展開されていくだろう「大きな陰謀」からも目が離せません。
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ぶっちゃけ、筆者は第一話「闇から覗く目」のオチで「えぇっ!? マジで!?」となっちゃいました。突拍子がないわけではなく、その展開は納得出来るだけに完全に「やられた!」気分です。
『都市伝説解体センター』は、PC(Steam)/ PS5/ ニンテンドースイッチ向けに2月13日発売予定。現在は体験版を配信中です。気になった方はぜひチェックしてみてください。