今回はMontraluzが手掛け、2025年1月23日に発売した探索ホラー『Dreamcore』のプレイレポートをお届けします。
「チル&ホラー」を体現するウォーキングシミュレーター
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本作は、一人称視点の探索ホラーシミュレーション。プレイヤーは、いわゆる「リミナルスペース」と呼ばれる広大な空間を歩き回り、奥深くに隠された秘密を解き明かして脱出することが目標となります。
執筆時点でのSteamレビューは、359件中86%がポジティブな「非常に好評」ステータスを獲得。主に、他の『Backrooms』系作品に見られるような、エンティティとの遭遇やジャンプスケア等の余計な要素を排除した“雰囲気重視”の世界観が支持されています。
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先述の通り、本作の特徴は「純度の高い」ウォーキングシミュレーションを体験できることです。各レベルは、相互に繋がりのある無機質な空間で構成されていて、「誰も存在しないのではないか」「進んだ先に異形が待ち受けているかも」といった、本来のリミナルスペースが持つ不安感や不気味さを忠実に再現。
丁寧に作り込まれたグラフィックスは同系統作品『POOLS』と『Liminality』の中間あたりに位置するクオリティで、リミナルスペースの迷宮をリアルかつ非現実的に表現しています。また、雰囲気を壊さない程度の謎と探索要素、ほのかなホラー要素がほどよい緊張感を生み出し、静寂と得体の知れない恐怖感が同居する「チル&ホラー」とも言うべきプレイフィールでした。
一方で、似たような景色が延々と続くせいか不気味さにも慣れてきて、途中でダレやすくなるのが欠点。しっかりとしたホラー体験を求めるプレイヤーには物足りず退屈に思うかも知れません。とはいえ、多様化する「リミナルスペース系ホラー」の中でもひときわ雰囲気が良く、初心者には入門編としてうってつけの作品だと思います。
操作、言語、各種オプション
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操作は、キーボードおよびコントローラーに対応。筆者は今回Xboxコントローラーでプレイしましたが、歩くのも視点移動も操作感は非常に良く快適でした。操作感度を下げておくと3D酔いしにくいのでオススメです。
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日本語字幕/音声/インターフェイス全てに対応。とはいっても、プレイ中にテキストはほとんど出てこないのであまり気にしなくてもいいでしょう。その他に特筆すべきオプションは「VHSモード」の切り替え機能で、オンにすると古いVHS風のグレインがかった画面になり、不気味さとノスタルジーな感覚を味わえます。
静寂と不穏が包むプール迷宮
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執筆時点では、ゲーム開始時に「DREAMPOOLS」か「ETERNAL SUBURBIA」2つのレベルを選択できます。どちらもBackrooms/リミナルスペース系の作品では馴染み深いモチーフであり、「DREAMPOOLS」は透明なプールが無限に広がる室内を探索し、「ETERNAL SUBURBIA」は1930年代~50年代製の小さな家と給水塔が無数にある開けた丘が舞台となり、文字通り「永遠の郊外」がそこに横たわっています。
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まずは「DREAMPOOLS」を選択。パイプから吐き出されるように降り立ったのは、一面が白を基調としたタイルと壁に覆われた奇妙な空間で、ここがスタート地点のよう。基本操作は歩く、走る、しゃがむ、視点移動が主なウォーキングシミュレーターらしいシンプルな設計です。
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加えて、画面のズームイン/アウトも可能で、違和感のある場所をクローズアップして確認できます。この要素は「奥から人ならざる何かが出てくるんじゃないか」という不安と恐怖心を抱かせるためのギミックになっていると感じました。
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VHSモードをオンにしていると、ネット発の海外都市伝説「ファウンド・フッテージ」のように不鮮明な映像が不気味さを駆り立てます。画面がクリアに見えないからこそ、そこにあらぬ「何か」を想像してしまう…しかし、その余白こそが「不安感」という心理的状態の正体に違いありません。
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ちなみに、モードオフにすればUE5製のリアルなグラフィックに切り替わります。ライティングやリフレクションは正確で、ともすれば不気味さとは正反対の「清潔で美しい風景」という印象を受けました。こうしたアンビバレントな要素もリミナルスペースが持つ魅力的な部分だと思います。
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もう一つプレイして感じたのが、「環境音」や「BGM」に対するアプローチ。基本的にゲーム中音楽は一切流れず、自分の足音やプールの水面をかき分ける音などが反響するのみ。例外として、ジィィッ…‥と低く這うような気味の悪い異音が鳴ることもありますが、迷宮内は圧倒的な静寂に包まれていてかなりの孤独感に襲われます。
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けれども孤独感とは裏腹に、雰囲気を演出するためのアンビエントミュージックすら流さない徹底した「静寂」に対するこだわりは、リミナルスペースへの没入感を高めていて秀逸でした。実際、プレイ中はその無音の静けさを心地よく感じました。
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「DREAMPOOLS」の世界を構成するのは、セラミックタイルの床や壁、アーチ状の通路、透明感のあるプールと銀色の手すり、天井または壁面から照らされるライト、巨大な円柱…などが基本パターン。これらがランダムに組み合わさって「無機質で空虚」な独特のリミナル空間を作り上げています。
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しかしそれだけでなく、中には特徴的なスポットも存在します。たとえば、吹き抜けのフロアには天高く大木が生えていたり……
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リミナルスペースのアイコンとも言えるお馴染みの「巨大ウォータースライダー」が突然現れたり。似たような広大な空間が続きゲームプレイに飽きそうになる中で、こうしたオブジェクトを発見するのは一つのお楽しみ要素でもありました。
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惜しいと感じたのは、「インタラクトできるオブジェクトの少なさ」。前出の『POOLS』ではスライダーに入って滑れたり、アヒルのおもちゃを動かせたり、椅子に座ってみたり、色々とダイレクトに干渉できるのが魅力でした。本作は雰囲気が抜群なだけに、この辺の素っ気ないインタラクティブ要素とスカスカ具合が非常にもったいないと思いました。
「観察力」が試される探索とゆるやかな「恐怖」
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このゲームはどこかにある「出口」を発見し、脱出するのが目標です。しかしプレイする目的は人それぞれ。もしこの空間の圧倒的静寂が気に入ったならば、グルグルと迷宮をループするのも悪くないでしょう。冗談はさておき、ともかく無事ゴールを見つけには、ただ闇雲に歩き回っているだけでは中々外には出れません。
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ではどうすればいいのか。序盤、次のエリアに行くのに必要な「懐中電灯」を求めて、延々迷いながらと歩き回っていました。そして、ある地点に到達するとかすかに「レコードプレイヤー」の音楽が聞こえてきます。注意深く音の方向を探っていくと……
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みごと懐中電灯を発見。このように周囲をよく観察すれば音であったり、壁面の落書きだったり何かしら攻略のヒントが見つかるのです。注意力と忍耐が試される探索要素は、周囲環境に自然と溶け込んでいて非常に良い仕上がりでした。
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懐中電灯を手に入れ、今度は暗闇のエリアに入ります。扉の上に描かれた警告マークが不穏。長い長い階段を下った先には…
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不気味なオブジェクトのお出迎えに少しギョッとします。ちなみに本作は、異形のモンスターに追われることやジャンプスケア要素などは全くありません。
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がしかし、ふと視線を感じて振り向いてみると、先刻のニコニコマークのオブジェクトがこちらを見つめていたり、
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「レッドルーム」という名の一面真っ赤に染まった部屋に迷い込んでしまったり…派手なホラー要素ではないものの、ひんやりと背筋が冷たくなるような「ゆるやかな恐怖」を感じ取りました。それこそがこのゲームの本質ではないかと思う次第です。
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さて、いかがだったでしょうか。本作の良かった点は、「リミナルスペース」が持つ本来の「不気味さ」を忠実に再現した“チル&ホラー”な体験ができること。エンティティの存在やジャンプスケアを排除し、ホラーが苦手なプレイヤーも安心して遊べること。そして各レベルのクリア所要時間は1時間半~2時間程度でカジュアルにプレイできることです。
残念だった点は、ゲームプレイに刺激が足らず退屈になってくること、インタラクティブできるオブジェクトが少なく単調だったなどが挙げられます。
とはいえ、総合的に完成度は非常に高く「リミナルスペース系ホラー」を初めて体験するならば、本作品を強くオススメいたします。
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タイトル:『Dreamcore』
対応機種:Windows PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)
発売日:2025年1月23日
著者プレイ時間:4時間
価格:1,000円
※製品情報は記事執筆時点のもの
スパくんのひとこと
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