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数多の兵が群がる戦場に一騎当千の英傑たちが立ち向かい、爽快感溢れるアクションをプレイヤーに提供してきた『無双』シリーズ。その歩みはすでに四半世紀を超えており、今もなお新たな一歩を踏み出しています。
2025年が幕開けを迎えてほどない1月17日には、『無双』アクションの集大成といっても過言ではないほどの完成度で登場した『真・三國無双 ORIGINS』が登場し、激しくも心地よいアクション体験が高評価を博しました。
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これほどの作品が出たばかりなので、『無双』シリーズの新展開はしばらくは先だろう……と考えてもおかしくない矢先に、『無双アビス』が突如発表されました。しかも、発売は2025年2月を予定しており、発表からリリースまで電撃的な展開です。
いわゆる従来の『無双』シリーズとは異なる点もありますが、『無双』の名を冠した作品となれば、そのゲーム性やプレイ感が気になるところ。また、発表からまだ間がないこともあって、『無双アビス』がどういうゲームなのか、まだ図りかねている人も少なくないでしょう。
そこで、先行プレイの機会に恵まれた『無双アビス』の体験を通して、本作の特徴や手触りなどをお届けします。このレポートを通して、本作の魅力や気になる部分をチェックしてください。
■『無双アビス』はアクション特化型のDL専売タイトル
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まずは、本作の基本的な概要や大まかなゲーム性から迫ります。『無双アビス』の対応ハードはニンテンドースイッチ/PS5/PS4//Xbox X|S/PC(Steam)で、パッケージ版の販売はないDL専売タイトルです。各オンラインストアでの購入となるので、ご注意ください。
希望小売価格は、通常版が2,700円(税抜)。また、付属するDLC衣装とゲーム内アイテムの個数がそれぞれ異なる「スタートダッシュエディション」(4,200円 税抜)と「フルコスチュームエディション」(8,800円 税抜)もあります。
DL専売という提供方法や価格などで察している人もいるかと思いますが、この『無双アビス』はアクションをメインとしており、成長や戦力強化の要素もありますが、交流や物語などは極力削られています。一言でまとめるなら、ひたすら『無双』アクションに特化した作品です。
■お馴染みの『無双』アクションをクォータービューで立ち回る新鮮さ
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ゲームプレイの中心となるバトル時のカメラはクォータービュー方式なので、『無双』シリーズのような三人称視点とはかなり異なっています。そして、敵は全方位から押し寄せてきますが、その密度たるやまさしく軍勢。従来の『無双』シリーズすら超えかねない勢いで、無数の敵が矢継ぎ早に襲いかかってきます。
高めのカメラ視点、全方位から押し寄せる敵といった要素から、近年ブームとなった「攻撃をオートで行い、プレイヤーは回避に専念するサバイバル系アクション」を連想する人もいるかもしれませんが、『無双アビス』は攻撃を含めて全て手動で行い、近接武器によるコンボアクションが中心です。
ごくシンプルにまとめるなら、本作はクォータービュー視点の『無双』アクションゲーム、と説明するのが早いかもしれません。もちろん本作独自の要素も数多くあるため、単に視点が変わっただけではありませんが、『無双』シリーズの流れをしっかりと汲んでいる作品なのは確実です。
■『無双』シリーズから約100体が参戦! 発売後も嬉しい新展開
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世界観もやや特殊で、死者が送られる「冥土」──いわゆる“地獄”が本作の舞台となります。その奥底に封じられていた「ゴウマ」が解き放たれたことで、それまで地獄を支配していた「エンマ」が弱体化し、この窮地に立ち向かう者として呼び出されたのが数多の英傑たちなのです。
ちなみに登場する英傑たちは、『無双OROCHI3 Ultimate』を中心に、発売時点でも約100体という大所帯。また、無料アップデートで30体を超えるキャラクターが追加される予定なので、プレイの幅がさらに広がります。
■『無双』らしい攻めとハイテンポな回避・阻止の融合が、独自のプレイ感を創出
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こうした特徴を持つ『無双アビス』を実際にプレイしたところ、敵をなぎ倒す感覚はまさしく『無双』シリーズの爽快感で、一騎当千のツワモノぶりは本作でも健在です。
武器を一振りするだけで十数人の敵(亡者)が吹き飛び、コンボを繋げれば攻撃範囲も拡大。また、通常攻撃からチャージ攻撃への派生で、フィニッシュも様々な変化を見せてくれます。
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プレイする前は、クォータービューなので敵からの攻撃を見極めにくいかも……といった懸念を持っていましたが、ボスだけでなく雑魚も含めて攻撃には「予兆」があり、その範囲(紫色のエリア)もあらかじめ視覚的に表示されます。範囲から逃れるように移動もしくは回避すれば、敵の攻撃を避けられるという寸法です。
予兆が出てから実際に攻撃を放つまでの間隔は異なりますが、広めの範囲ほど余裕がある場合が多いため、コンボを中断して避ける余裕は十分あります。この予兆範囲は本作の独自要素のひとつで、これがあるおかげで攻撃と回避のメリハリが生まれ、プレイに心地よい刺激を与えてくれました。
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ただし、攻撃の予兆があるからといって、決して簡単なゲームではありません。先に進むほど複数の敵から攻撃を受け、予兆の範囲が累計的に広がり、的確な回避先を見抜く判断力が求められます。また、避けた先に別の予兆範囲が出ることもあり、やみくもな回避連打だけでは切り抜けられません。
なお、敵の攻撃は予兆の範囲から逃れるだけでなく、操作キャラが「予兆攻撃阻止」のスキルを持っている場合、チャージ攻撃を当てて敵の攻撃を阻止することも可能です。ただしチャージ攻撃はやや出が遅いため、タイミング次第では間に合わない時も。回避か攻撃阻止か、状況に合わせた見極めは、ここでも問われます。
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一騎当千の爽快感がある攻撃に『無双』の手応えを確かにつつ、予兆に反応して「後の先」を取る立ち回りは思考の加速を促し、集中と没入を促してくれます。この融合が、従来の『無双』シリーズと一味違う、攻撃と回避の狭間に勝機を見出すハイスピードアクションへと昇華させてくれます。
一見すると『無双』らしからぬ見た目ながら一騎当千の走破感があり、一方で敵の予兆に合わせて回避と阻止を使い分けるハイスピードな立ち回りは、敵のアクションに合わせて思考が冴えていくような感覚が味わえ、その融合で脳がシビれるようなプレイ感を与えてくれました。
攻略と育成が一体となった周回プレイを、「強くなる手段」と感じるか、「同じことの繰り返し」と考えるか、その違いで向き不向きは大きく変わりますが、アクションに没頭する感覚にハマると癖になる作品なのは確かです。