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Obsidian Entertainmentが放つファンタジーRPG『Avowed』が、2月18日から発売(2月13日から早期アクセス)されます。『Pillars of Eternity』と同じ世界“エオーラ”を舞台に、新たな地“リビングランド”で壮大な物語が紡がれます。
プレイヤーは顔に植物のようなものが生えた特異な存在“ゴッドライク”として、冒険の旅路を歩むことになります。筆者は約40時間ほどプレイしましたので『Avowed』の感想をお伝えします。
リビングランド:祝福と呪いが交差する新世界
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緑豊かな森、乾いた砂漠、煮えたぎる火山……変化に富んだ自然環境と、かつて繁栄しながらも絶滅した“ゴッドレス(Godless)”が残した古代の痕跡が、“リビングランド”の美しさを際立たせています。
しかし、その裏側では人々、動物、植物を蝕む恐るべき疫病“ドリームスカージ”の影が潜んでいます。祝福と呪いが混在し、国と国がそれぞれの覇権と生き残りをかけた政治劇を繰り広げる……。それが“リビングランド”の真の姿なのです。
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なお、『Pillars of Eternity』と世界観は共通ですが、舞台は新エリアの“リビングランド”であるため、過去作未プレイでも物語への影響はありません。この世界には11の神々が存在し、輪廻転生が当たり前の概念であること、そして魂を研究する賛否両論の学問“アニマンシー”が存在することを理解しておけば、『Avowed』の物語にスムーズに入り込めるでしょう。
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会話中に分からない単語があっても、解説ウインドウが表示されるのでユーザーフレンドリーな作りになっています。
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ちなみに、物語開始直後に手に入る伝承のタイトルが『Pillars of Eternity』という、ファンには嬉しい小ネタも用意されています。
ゴッドライクの宿命と特使として任務
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プレイヤーは、“ドリームスカージ”の調査のために皇帝から派遣された特使という立場。
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しかし、帝国の別組織から派遣されている審問官“ロドウィン”(『Pillars of Eternity II』にも登場)は、目的のためには手段を選ばない強硬な姿勢を取っており、地元民からの帝国への印象は非常に悪い状態です。
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さらにプレイヤーは“ゴッドライク”でもあります。人々からの視線は好奇心、畏怖、そして時には嫌悪……まさに十人十色。この複雑な状況下で、プレイヤーは自らの役割=ロールプレイを通じて物語に大きな影響を与えることになります。
キャラクタークリエーション:個性的な“ゴッドライク”を生み出せ
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『Avowed』のキャラクタークリエイションは、性別や外見といったスタンダードな要素に加え、“ゴッドライク”特有の外見というユニークな要素が用意されています。動物の角のようなものが頭から伸びていたり、サンゴのようなものが目元から生えていたりと、他のゲームでは見られないような奇抜なデザインを選択可能です。
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人によっては嫌悪感を抱く可能性もあるため、設定から“ゴッドライク”の特徴を非表示にすることもできます。NPCなどからの反応に変化はありません。
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その他、出自を選ぶことでキャラ背景に沿った選択肢が会話に追加されます。出自の影響は会話のみで、ステータスや装備には影響しません。
最後にステータスの配分、キャラクター名、性別の代名詞を選べば、キャラクリは完了です。ステータスの数値が一定に達すると、会話の選択肢が増加します。ステータスはいつでもリセットも可能です。
選択の重み:マルチエンディング、そして変化する世界
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『Avowed』はマルチエンディング方式を採用しており、プレイヤーの選択が物語の結末を大きく左右します。序盤から選択次第で物語が大きく動くため、Obsidian Entertainmentらしい重厚で奥深いストーリーテリングを堪能しつつ、物語に深く関わっている感覚を味わえます。
筆者は一つのエンディングを見るためにゲームクリアに要した時間は約35時間ほど。サイドクエストをほぼ全てこなし、探索も徹底的に行いましたが、メインクエストだけなら20時間前後でクリアできるでしょう。クリア時のキャラクターレベルは28でした。
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メインストーリーだけでなく、サイドクエストも分岐が多く、内容や報酬にも影響があります。例えば、とある夫婦の密航を手助けするか否かという選択。善人プレイをしていた筆者は手助けを選びました。その後、メインストーリーを進めていくと忘れた頃に夫婦が再登場し、強力なユニーク防具をプレゼントしてくれました。
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しかし、その夫婦とは無関係のクエストでの選択の結果、夫が巻き込まれて命を落とすという衝撃の結末を迎えることもありました。プレイヤーの意思が世界を大きく動かした選択の後味が悪くなり、各選択肢の影響と重みを実感させてくれます。
TESシリーズのようにNPCを殺害することはできないため、クエストが進行不能になる心配はありません。ただし、プレイヤーの選択次第で、受諾中のサイドクエストが失敗してしまうこともあります。完璧主義者のプレイヤーは、まずサイドクエストを完了させてからメインクエストを進めるのが良いかもしれません。
ドリームスカージ:迫りくる脅威、リビングデッドランド
島の命を蝕む疫病“ドリームスカージ”。感染した人間は会話もままならず、やがて凶暴な、植物のようでもありケロイド状にも見える異物が生えたモンスター“ドリームスロール”へと変貌します。“ドリームスロール”は、人としての意識を失いながらも“ドリームスロール”としての意識はあり、非感染者の人間に襲い掛かります。例えば、感染者が騎士だった場合は、剣と盾を駆使して攻撃してくるのです。
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動物や植物も例外ではなく、食物は腐り果て、有効な治療法も見つからないまま感染者は増加の一途をたどっています。もはや“リビングランド”ではなく、“リビングデッドランド”と言える惨状です。
戦闘:シンプルで分かりやすい戦闘システムだが油断すると危険
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『Avowed』の戦闘は、右手と左手に一つずつ片手武器、もしくは両手持ちの武器を装備して戦う、TESシリーズをさらにカジュアルにしたようなシステムです。敵のHPゲージの下にあるスタンゲージは、攻撃することで溜まっていき、最大まで溜まると敵がスタン。強力なスペシャルアタックを叩き込めます。
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敵は数の暴力で攻めてくることが多く、とくにボス戦はザコが大量に湧いてくる上に、ヒーラーが1発で全快させてくるので優先して倒さないといけません。 シンプルな作りながらも十分な楽しさは持ち合わせています。敵が強すぎると感じたら難易度を下げることも考慮しましょう。
片手武器は剣、ナイフ、槍、斧、メイス、ワンド、ピストル。左手専用で盾と魔導書。両手武器は両手剣、ハンマー、弓、ライフルが用意されています。右手に持てる片手武器は二刀流も可能です。各武器を装備するためのレベル制限やステータス要求はありません。武器は2セット装備できるため、例えばセット1を両手武器、セット2をピストルと魔導書といったハイブリッドな組み合わせも可能です。
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各装備には通常版と、固有の特殊効果が付与されているユニーク装備があります。ユニーク効果は強化することで性能を進化させるか全く別の効果を付けるか選択できますが、取り返しはつかないので選択は慎重に。また、同じユニーク装備は手に入らない点も注意。
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装備にはクオリティが設定されており、各クオリティごとに3段階のステージがあります。最大ステージまで強化すると、レア素材を用いて次のクオリティにアップグレードできます。通常版は解体または売却し、ユニーク版を強化していくのが基本の流れです。
マップ:オープンゾーン制、新マップではクオリティ差に注意
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『Avowed』は全てのマップが繋がっているオープンワールドではなく、各マップごとに区切られているオープンゾーン制を採用しています。新マップにいる敵は基本的に現在の装備よりもステータスのクオリティが高く、クオリティ差によってプレイヤーの与ダメージが減少し、被ダメージが増加するデバフが付与されます。新エリアに辿り着いたら、まずは上位クオリティの装備を入手するか、既存の装備を強化してから探索するのがおすすめです。
装備の重量は武器と鎧にのみ設定されており、回復アイテムや装飾品、篭手や靴には重量がありません。そのおかげで気軽に大量のアイテムを持ち歩けます。 しかも、いつでもアイテムを保管庫に送ることができるので、探索中に重量超過で走れなくなってもすぐに解決できます。非常に親切な設計でストレスを感じさせません。
お気に入りの見た目の装備があれば、性能に関係なく見た目だけをその装備にすることも可能です。
ビルド:カジュアルながらも奥深い、自由な育成
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ビルドは両手武器や体力に影響が多い“ファイター”、遠距離攻撃や片手武器系の“レンジャー”、魔法使いの“ウィザード”の3つのカテゴリから好みのアビリティを選択できます。『Avowed』はカジュアルにストーリーを網羅してもらいたいという意図があるのか、『Outer Worlds』のような会話に影響を与える話術系のアビリティはありません。全て戦闘と採取向けのアビリティで構成されています。
ビルドはお金を消費してリセットすることも可能です。しかし、『Avowed』はお金の入手量がシビアで、かつ敵が復活しないため、入手できる金額には上限があります。後半になると資金に余裕が出てきますが、序盤はカツカツなので、リセットするならセーブしてから新しいビルドを試した方が安心です。
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この他にビルド項目では、“ゴッドライク”関連のアビリティと、一緒に旅をするコンパニオンのアビリティも選択できます。“ゴッドライク”のアビリティは、神との対話によって解禁されるのですが、会話の選択肢によって受け取るアビリティが変化します(例:攻撃速度アップか移動速度アップ)。 なかにはアビリティの受取を拒否するという、大胆な選択も可能です。
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コンパニオンはタンクの“Kai”、レンジャーの“Marius”、ヒーラーの“Giatta”、メイジの“Yatzil”の4人。この中から2人を同行メンバーに選べます。コンパニオンの装備は変更できません。キャンプ地ではコンパニオンとの会話や、コンパニオン同士の会話を楽しめ、会話の内容次第ではプレイヤーのステータスを強化してくれます。好感度やロマンス要素はありません。
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筆者のオススメコンパニオンはドワーフの“Marius”。序盤で仲間になるうえに近くにある宝箱をハイライトしてくれるアビリティがあるので、筆者は“Marius”を固定メンバーにして、気分で残りの一枠を入れ替えていました。各キャラクターには明確な攻撃スタイルが設定されており、任意のタイミングでアビリティを発動できるので、戦闘を有利に進めやすいです。
筆者おすすめの装備:序盤はユニーク斧、終盤は…
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序盤はメインクエストで訪れる場所に落ちているユニーク斧“Drawn in Winter”が頼りになります。クエスト報酬ではありませんが、クエスト目標地点のすぐ眼の前に落ちているので、開発側からの「これ、強いからおすすめ!」というメッセージを感じます。
この斧は強攻撃を当てると敵を凍らせる凍結の範囲攻撃が発生します。『Avowed』は集団戦が多いため、敵の動きを止められる凍結攻撃は非常に強力です。
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水に向かって斧を振るうと氷の足場が生成されるので、通常では渡れない地点に移動して隠し宝箱を入手することもできます。戦闘と探索、どちらでも有用な優れものです。
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中盤以降は、左手に魔導書、右手にメイスという魔法と近接攻撃のハイブリッドスタイルがおすすめです。『Avowed』の魔法は攻撃だけでなく、防御や回復にも有用で、殲滅力と生存力を魔導書一冊で両立できます。
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終盤で入手できるユニークメイスの“Battletrance”は、まさに最強の武器と言えるでしょう。メイスはスタン性能に優れている分、攻撃速度が遅いのが難点ですが、“Battletrance”は強攻撃を当てると10秒間攻撃速度が30%も上昇するという特殊効果を持っています。
しかも、強攻撃で与えたダメージの10%分が自分とコンパニオンのHPを回復するため、防御を捨てて殴り続けられます。さらに、殴れば殴るほど攻撃速度が上がるので、HPを素早く回復可能。そしてメイスなのでスタンさせやすく、スペシャルアタックを連発できます。
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追加効果でアビリティの発動速度20%アップまで付いているので、スタン中の敵に大技を叩き込んでからスペシャルアタックでトドメというコンボまでできます。
この他にも面白い性能の武器はたくさんあるので、自分好みのプレイスタイルを見つけるのも『Avowed』の面白さの一つです。
残念な要素:日本語未対応、クリア後要素の不足
実は『Avowed』はローンチ時に日本語未対応と発表されています。翻訳のクオリティが満足できるレベルに達していないため、1ヶ月後のアップデートで追加予定とのこと。そのため、本作の魅力を味わうには、英語など他言語でプレイするしかありません。圧倒的なテキスト量とストーリーがプレイヤーを魅了するのが『Avowed』の魅力なだけに、日本語でプレイできないのは非常に残念です。
また、ラスボスを倒した瞬間に物語が終わってしまい、クリア後の世界探索も強くてニューゲームもできません。最終マップ前のセーブデータからやり直しはできますが、その時点ではエンディングは固定されているのであまり意味をなしていないのも事実。このセーブが生成されるときは「The Point of No Return」という警告メッセージがでます。
強くてニューゲームに期待したいところですが、現時点では選択しなかったストーリーを見るには完全に1からプレイしなくてはいけない点が残念に感じます。ここまでカジュアルな設計ならば、繰り返し要素もカジュアルに遊べるようにしてほしかった、というのが正直な感想です。
少しだけ残念な点はありましたが、『Pillars of Eternity』の世界観を継承しつつTESシリーズのようなカジュアルさを加えたObsidian Entertainmentの新たな挑戦。“Pillars of Eternity”や“TES”シリーズファンなら間違いなく楽しめるでしょう。
『Avowed』は、Xbox Series X|S/Windows(Steam、Microsoft Store、Battle.net)向けに2月19日に発売予定。配信初日からGame Passにも対応予定です。