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80年代の「パッと見よくわからないアケゲー」のような感触で、リプレイ性は低い―Game*Sparkレビュー:『Looney Landers』

快作だった『ドーナツ・ドド』と比べると物足りない作品に。

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80年代の「パッと見よくわからないアケゲー」のような感触で、リプレイ性は低い―Game*Sparkレビュー:『Looney Landers』
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『ドンキーコング』や『パックマン』といった80年代初頭の有名なアーケードゲームは、シンプルで一度遊べば簡単にルールが覚えられますが、何度も究めるために遊びたくなる魅力があります。しかし、しばらく遊ばないと勝手がわからず、とっつきづらい作品というものも存在します。今回レビューする作品は、まさにそういったゲームを思い起こさせるような作品です。

本記事では、pixel games SARL-Sが2月6日にPCで発売したアーケードパーティゲーム『Looney Landers(ルーニー・ランダース)』のGame*Sparkレビューをお届けします。

1画面で完結するアーケードゲームライク

本作は、80年代のアーケードゲームを思わせる1画面完結型のアーケードパーティゲームです。pixel games SARL-Sはこれまで、『ポパイ』や『ドンキーコング』のような1画面アクションをオマージュして洗練させた『ドーナツ・ドド』『マッピー』『シティコネクション』を思わせる横スクロールドットイートアクション『キャッシュ・カウDX』をリリースし、評価されています。

かつてのアーケードゲームを意識したインディーゲームというのはこれまでいくつもありましたが、その多くはラン&ガンアクションシューターやベルトスクロールアクションなど80年代後半から90年代後半のものが多くを占めます。そんな中、80年代初頭ころのゲームを受け継いだようなゲームプレイは特徴的でした。

本作は、そんな80年代初頭ころのアーケードゲームを感じさせる「Class of 1983 アーケード三部作」の第3弾。前作まではシングルプレイでしたが、今作は対戦が前提のつくりになっており、CPUもしくは2人でプレイします。

プレイヤーはチャッキー・チャーリーという大きなピエロが住む城にスカイダイビングで降り、スコアを多く稼ぐことが目標です。プレイヤーは最初、画面上部を飛ぶ複葉機に乗っており、任意のタイミングでダイブすることができます。

ダイブ後は独特のふわふわとした挙動を制御し、フィールド内を移動。針や敵、仕掛けにやられないよう注意しながら、ボタンを押してパラシュートを開き、数字の書かれた光るエリアに降下します。エリアに無事着地できると、書いてある数字分のスコアを獲得できます。やられても再度ダイブできますが、画面上部の「JUMPS」がなくなるとそのラウンドは終了となります。

勝利条件は、全6ステージをプレイして合計のスコアを相手より多く稼ぐこと。ダイブ中は壁にぶつかったりパラシュートを開いたりするまでスコアが大量に加算されたり、フィールド内の食べ物でボーナススコアがもらえるほか連続で取得すると倍率が上がっていったり……と多様なスコア稼ぎの方法が用意されています。

賑やかなドット絵と、その弊害

開発者の作品に言えることですが、グラフィックとサウンドトラックは非常に惹かれるものがあります。カラフルで常に賑やかで楽しげなゲーム画面となっていますが、精細すぎないドット絵で精細すぎない80年代ころの表現を守っていて、とてもこだわりを感じられます。

画面外のインストラクションカード風のイラストもレトロなタッチで描かれていて、老舗のゲームセンターの筐体にこのイラストが描かれていても違和感がないと思える仕上がりです。

サウンドトラックはチップチューン作曲家として知られる成瀬和彦(なると)氏が手掛けており、FM音源の楽しげなメロディは画面の賑やかさに負けず、うまくマッチしています。

しかし、ビジュアルが賑やかだからこその問題点も。画面全体のあらゆるものが常に動き続けており、視線が迷子になる反面、プレイヤーキャラクターはとても小さく、見失いがちです。慣れるまでの最初の2、3回のプレイでは「よくわからなかった」という感触を抱き、あまり印象がよくありません。

駆け引きが浅く、やり込みへの意欲は掻き立てられない

慣れてくると、思い通りにいかないハプニング満載な挙動やワチャワチャ感の楽しさが理解できてきます。しかし、何度も何度もチャレンジしたくなる作品には仕上がっておらず、すぐに飽きてしまいます。

その要因としてまず挙げられるのは、すべてのコンテンツをすぐ味わい尽くせてしまうという点。全6ステージでイージー/ハードの2種類の難易度があるものの、勝っていても負けていても次のステージに進みます。1ステージは展開が早く、およそ10分くらいで6ステージを味わい尽くせてしまいます。周回しても仕掛けが変わることはありません。

例えば『ドーナツ・ドド』はクリアという概念があり、ステージが高難度にデザインされていることで「1周はクリアしたい!」ということを目標にできました。その点、本作ははじめから対戦用として作られているため、そういったモチベーションは湧きません。

では、対戦ゲームとしてはどうなのかというと、正直なところ重要な駆け引きが欠如しています。対戦であることを意識する場面はたまにキャラクター同士がぶつかり合う程度しかなく、一度スコアエリアに着地すると妨害などもできません。スコアエリアを奪い合うようなプレイもふわふわとしたダイブ挙動によってやりづらく、競技性が低いと言わざるを得ません。一人プレイでの競技性を突き詰めていた前2作までと比べると、甘い作りとなっています。


『Looney Landers』は、アーケードライクなゲームとしては残念ながらやや物足りない仕上がりです。プレイし始めは見るべき場所がわかり辛くとっつき辛さを覚える反面、理解しても駆け引きはそれほど深みがなく、やりこみへの意欲は掻き立てられません。

賑やかなドット絵、楽しげな 現代の「アーケードライク」な作品を現代的に飾る上での要素は揃っていますが、アーケード移植もされるほど好評の快作『ドーナツ・ドド』と比べてしまうと、多くの面で深みのない作品となってしまっています。


Game*Spark レビュー 『Looney Landers』 PC(Steam) 2025年2月6日リリース

すぐに味わい尽くしてしまうアーケードライク

GOOD

  • 80年代感を守りつつ、カラフルで可愛いグラフィック
  • 気分がウキウキする楽しげなFM音源チップチューン

BAD

  • 画面が賑やかすぎてとっつきづらい
  • 対戦ゲームとしての駆け引きの浅さ

ライター:みお,編集:蟹江西部

ライター/超雑食の若年ゲーマー みお

2021年3月よりフリーでゲームライターをしています。現在はGame*SparkとIGN JAPANで活動し、稀にINSIDEにてニュース記事を執筆しています。お仕事募集中。ゲームの趣味は雑食で、気になったものはクラシックゲームから新しいゲームまで何でも手を出します。主食はシューター、ADV、任天堂作品など。ジャンルやフランチャイズの歴史を辿るのも好きです。ゲーム以外では日本語のロックやアメコミ映画・コメディ映画、髪の長いお兄さんが好きです。

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編集/十脚目短尾下目 蟹江西部

Game*Spark編集部。ゾンビゲームと蟹が好物です。以前は鉄騎コントローラー2台が部屋を圧迫していましたが、今は自分のボディが部屋を圧迫しています。

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