『オーバーウォッチ 2』ブランドマネージャーが語る進化への挑戦と『マーベル・ライバルズ』への意識とは【インタビュー】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『オーバーウォッチ 2』ブランドマネージャーが語る進化への挑戦と『マーベル・ライバルズ』への意識とは【インタビュー】

日本でのイベント開催や初音ミクコラボの可能性も?

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『オーバーウォッチ 2』ブランドマネージャーが語る進化への挑戦と『マーベル・ライバルズ』への意識とは【インタビュー】
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先日、Blizzard本社でメディアとインフルエンサーを交えて「オーバーウォッチ 2:スポットライト」が開催されました。

そのイベントにて、かつて日本に滞在していたこともある『オーバーウォッチ』ブランドマネージャーのWalter Kong氏との独占インタビューの機会をいただきましたので、フランチャイズを管理する立場から見た『オーバーウォッチ』の魅力、ライバルの存在、日本市場、コラボレーションについて質問してきました。

これまでのオーバーウォッチの歩みと未来

――まずは自己紹介をお願いします。

Walter Kong氏(以下、Kong):オーバーウォッチフランチャイズの全体を統括するゼネラルマネージャーを務めています。2011年からBlizzardに在籍しており、ゲーム業界では24年のキャリアがあります。自分が情熱を持てる製品に関われる仕事に就けたことを、とても幸運に感じています。

――オーバーウォッチは2016年に発売され、来年で10周年を迎えます。この9年を振り返り、2025年の現在、そして来年以降についてお聞かせください。

Kong:実は、私にとってはその2016年よりもさらに前から物語は始まっています。Blizzardに入社してから携わったプロジェクトの一つが、2013年の“Project Prometheus”です。 多くの開発者と力を合わせて本開発を承認してもらいました。これが後の『オーバーウォッチ』となります。

特に印象深い思い出は、2014年のBlizzConでの発表時です。開会式で観客の反応を見守っていたのですが、彼らの目が喜びで輝いた瞬間、これから何か魔法のような出来事が起ころうとしているのを感じました。

2016年の発売時にはゲームとしてだけでなく、オーバーウォッチの世界観やヒーローたち、そして彼らが体現する価値が広く受け入れられ、愛されたことを誇りに思いました。

2021年にゼネラルマネージャーに就任してからは、オーバーウォッチの体験をさらに進化させることを大きな優先事項としてきました。チームには、より多くのリスクを取り、これまでにない新しいことに挑戦する姿勢を持ってほしいと考えています。それは、私とチーム全体でサポートしてきた文化です。

今日皆さんがご覧になったのは、ただの追加コンテンツではなく、私たちがチームで推進したい哲学、つまり「オーバーウォッチは2016年と同じである必要はなく、新しいことに挑戦できる」ということです。

成功するものもあれば、しないものもあるでしょう。しかし、私たちは新しいアイデアをゲームに導入することを恐れるべきではありません。

たとえば“スタジアム”モードは開発に2年を費やしましたが、プレイヤーが選んだヒーローと共にこれまでにない形でヒーローファンタジーを表現する試みの一つです。

今後を見据えると、オーバーウォッチの体験を新鮮に保てるよう進化させつつ、同時にゲームの基本的な要素も大切にしていきたいと考えています。

――来年は10周年を迎えます。Blizzardは記念日を盛大に祝う会社ですが何か計画していますか?

Kong:とてもクールなことを計画していますが、検討すべき点も多く今はまだ具体的に言うには早すぎる段階です。

『マーベル・ライバルズ』とのライバル関係

――ヒーローシュータージャンルはこれまで様々なゲームが生まれては退場していきました。 そして、最近では新たなライバルが登場しましたが、『オーバーウォッチ』が9年間支持され続けている理由は何でしょうか?何が他のタイトル群と『オーバーウォッチ』を分けているとお考えですか?

Kong:いくつかの要素の組み合わせです。多くのことがあると思いますが、特に大きな要素が2つあります。 1つはゲームプレイへのこだわりです。それを最高の状態に洗練することにフォーカスしていることです。そして、キャラクターと世界に対するプレイヤーの愛着です。この組み合わせを実現することは、競合他社にとって非常に困難でした。

『マーベル・ライバルズ』のような競合の参入は、むしろ活気を与えてくれています。彼らは多くの面で素晴らしい実装を行い、ヒーローシューターというジャンルにまだ多くのエネルギーと活力があることを示してくれました。これを私たちは『オーバーウォッチ 2』をより良いゲームにする機会として捉えています。

成長していく日本市場への期待

――日本市場についてどのように分析されていますか?

Kong:歴史的に日本のゲーム市場は参入が難しい市場でしたが、『オーバーウォッチ 2』のローンチ以降に日本を訪れて関係者の方々と話すたびに、日本のゲーマーの熱意を聞かされ大変喜んでいます。Stage:0やCrazy Raccoon Cupのショーマッチ、OWCS Japanでの盛り上がりを見ていると新鮮なエネルギーを感じます。

オーバーウォッチの美的センスやアートスタイルは、西洋のゲーマーにも日本のゲーマーにも広く受け入れられていると感じています。日本のプレイヤーコミュニティを育て、一緒に成長していきたいと考えています。

――最近、日本発の新たな戦術がOWCSや競技シーンで注目を集めているそうですよ。

Kong:それは素晴らしいですね。複数のプレイヤー層で新たな戦術が生まれていることは、日本のオーバーウォッチプレイヤーの革新性を示していると思います。

――日本での大規模eスポーツイベント開催の予定はありますか? 先日は『Apex Legends』が日本で大会を開催して大きな話題になりました。

Kong:可能性を探りたいと考えています。同僚のSean Millerが素晴らしい仕事をしてOWCS時代を築いてくれました。ライブイベントで得られるエネルギーや影響は大きいので開催したいですね。先ほど言及されたApexの北海道での成功は非常に興味深いので調査したいと思います。

日本市場とプレイヤーベースが成長する中で、自国での主要イベント開催は特別な意味を持つと考えています。私自身も日本の大ファンなので開催できたら嬉しいです。会社に堂々と仕事と言いながら日本旅行もできる口実になりますから(笑)。

ブランドマネージャーが見るコラボレーション判断基準

――LE SSERAFIMとのコラボレーション第2弾が発表されました。 経緯やコラボ内容をお話できますか?

Kong:音楽コラボレーションとしては非常に満足しており、協力のレベルも高かったことが理由です。今後のコラボレーションについては、現時点では何も共有できないので楽しみにお待ち下さい。

――コラボレーションについて、どのような基準で判断されているのでしょうか?

Kong:市場調査を基に、プレイヤーやゲーマーのIPブランドへの親和性を理解することから始めます。私達からコラボを依頼するときもあれば、持ち込まれることもあります。しかし、人気のIPであっても、オーバーウォッチでの表現が難しい場合もあります。

例えば、『フォートナイト』のキャラクターは基本的にIPを適用するためのキャンバスのような存在です。一方、オーバーウォッチのヒーローたちは、それぞれが完全に作り込まれたキャラクターです。そのため、外部IPをどのように表現するかは創造的な課題となります。

この課題を乗り越えてコラボレーションを発表したときのコミュニティの反応を見るのが毎回楽しみです。 今回のLE SSERAFIMコラボ第2弾のように、ファンがどのようなコラボになるか推測しているのも嬉しい瞬間です。これがコラボレーションで維持したい魔法です。

一方で、現実的な極端な暴力性を持つIPは、それがどれだけ優れたIPであろうと、オーバーウォッチの精神に合わないので採用したくないと考えています。

初音ミク×ルシオコラボや映画化の可能性

――初音ミクとルシオのコラボレーションを望む声が長年あるようですが? たとえばRedditには9年前にすでにルシオとコラボさせたif画像がありますよ。

Kong:ボーカロイドの初音ミクですね。こんなミームがあるとは知りませんでした。LE SERAFIMとのコラボレーションでも分かるように、音楽関連のコラボレーションには非常に興味があります。もし初音ミクコラボが生まれたら、どのような形で実現できるか、どんな楽しいことができるか考えさせられますね。

――アニメーションや映画化の可能性についてはいかがでしょうか?

Kong:オーバーウォッチの世界観には、まだ語られていない多くの可能性があります。マーベルのように既存のコンテンツが豊富なIPとは異なり、私たちのヒーローたちや彼らの世界には、まだ多くの物語を語る機会があります。

フランチャイズ戦略の一部として意図的に進めていきたいと考えていますが、現時点で具体的にお話しできることはありません。

――マイクロソフトによるBlizzard買収後、どのような利点がありましたか?

Kong:具体例を挙げると、今回の「オーバーウォッチ 2:スポットライト」のプレゼンテーションをレッドモンドのマイクロソフト本社で撮影させていただきました。マイクロソフトから素晴らしいサポートとリソースを得て、高品質な制作が実現できました。

ゲーム開発者として感じるのは、マイクロソフトがクリエイティブな挑戦を支援してくれていることです。彼らは私たちのゲームを前進させる機会を与えてくれています。「これはできる、これはできない」という制限を設けるのではなく、非常に応援されていると感じています。

――最後に日本のプレイヤーへメッセージをお願いします。

Kong:2022年の『オーバーウォッチ 2』のローンチ以降、日本のプレイヤーコミュニティが示してくれた支持にとても感謝しています。今後も機会があれば日本を訪問し、コミュニティの皆さんや業界の方々と交流を深めたいと考えています。日本でのオーバーウォッチの楽しみ方をさらに向上させられるよう、皆さんの声に耳を傾けていきたいと思います。

――ありがとうございました。


《ライター:いーさん,編集:TAKAJO

編集/いつも腹ペコです TAKAJO

Game*Spark編集部員。好きな映画は「ダイ・ハード」、好きなアメコミヒーローは「ナイトウィング」です。

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