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Blizzard Entertainmentが2025年に『オーバーウォッチ 2(Overwatch 2)』で配信予定の新コンテンツを『オーバーウォッチ 2:スポットライト』でお披露目しました。 その中でも異彩を放っていたのが、シーズン16で実装される5vs5のラウンド形式の新モード“スタジアム”です。
通常のゲームモードよりも激しくカオスな戦闘を楽しめるスタジアムがどのようにして生まれたのか、アートディレクターのDion Rogers氏とシニア・ゲームデザイナーのDylan Snyder氏が合同インタビューで語ってくれました。
ヒーローの限界を超えた強さを追求できる新モード誕生
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――ラウンド制の『オーバーウォッチ 2』というアイデアはとても興味深いですが、このコンセプトはどのように生まれたのでしょうか?
Dylan Snyder氏(以下、Dylan):より戦略的で意図的な選択ができるモードを作りたいという願いから生まれました。武器庫でヒーローを強化し、そのファンタジーを追求するために、ラウンド制の構造が最適な基盤となりました。
Dion Rogers氏(以下、Dion):スタジアムはヒーローの可能性を限界まで引き出すことがテーマです。ラウンド制により、キャラクターの最高の姿を実現できます。
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――新モードで三人称視点を採用したのには非常に興奮しました。実際に画面上でキャラクターを見ることができるのですが、なぜ三人称視点を選んだのでしょうか?
Dion:多くの理由がありますが、私たちのチームにとってはキャラクターを見られることが重要でした。
Dylan:このモードはヒーローの能力を極限まで引き出し、パワフルな瞬間を作り出すことが目的なので、三人称視点の方が視覚的に理解しやすいと考えました。特に最終ラウンドでは、全員が強力な能力を持つためかなりカオスな状況になります。
また、『オーバーウォッチ』のアイデンティティとして、ラインハルトのシールドやジャンクラットのアルティメットなど、従来から三人称視点は重要な要素でした。当時の三人称視点を採用した理由がスタジアムにも当てはまると考えました。
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――私が最初にプレイした試合は0-3、2試合目は3-0でした。3試合目はゲーム7まで行き、とても白熱した素晴らしい試合でした。なぜBO7形式を選んだのでしょうか?(筆者注:通常は4ラウンド先取、開幕3連勝でコールド勝ち)
Dylan:この点については多くの実験を重ねました。最初はBO5で試しましたが、完全なアルティメットビルドを組み上げ、基礎から頂点まで成長を実感するには時間が足りないと感じました。そこでBO7に変更したところすぐにしっくりきました。
今回のテストプレイセッションでは従来のバランスが取れたマッチメイキングがなかったのですが、理想的にはより均衡の取れた試合で7ラウンドを楽しめるはずです。また、試合時間についても最適なバランスを考えました。シューターゲームで1時間も試合が続くのは疲れてしまうので、満足のいく体験を提供しながらも、時間を無駄にしたと感じさせない長さを目指しました。
スタジアム開発期間は2年以上
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――シーズン15でパーク、シーズン16でスタジアムと、大きな変更が連続して実装されますが、これは偶然でしょうか?それとも、どちらを先に実装するか議論があったり、アイデアの交換があったり、あるいは一つの大きなアイデアを2シーズンに分けたのでしょうか?開発の裏側を教えてください。
Dion:私たちは年に1回、2月頃に大規模なPvP変更を行うことを計画しています。
Dylan:その大きな変更がパークシステムです。一方でスタジアムは2年以上前から開発を進めており、たまたまシーズン16での完成となりました。パークはコアゲームプレイの変更として別チームで開発されていますが、私たちは独自の領域でその境界を押し広げようとしています。
ヒーローデザインチームとは密接に協力して開発を進めてきました。ヒーローについて最も詳しい彼らに頻繁に相談して、スタジアム用の多くの要素を作ってくれましたし、ヒーローたちを正しく扱えているか確認しています。私たちは自分たちのアイデアに自信を持っていますが、ヒーローデザインチームが素晴らしいガイダンスを提供してくれています。
つまり、彼らは私たちのモードの最高のバージョンを見つけるのを手伝ってくれましたが、スタジアムチームは独立したものとして長期間開発を続けてきました。
逆転の鍵を握る“バウンティ”
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――0-3のような一方的な試合に関連して質問です。他のゲームのように、オブジェクトを略奪して通貨を得るような方法が少ないように感じました。勝っているチームが経済的に圧倒的な優位に立ってしまうと、追いつくのがほぼ不可能になるポイントがあるように思います。負けているチームが逆転できるような対抗手段は考えていますか?
Dylan:バランスは私たちの最重要課題の一つです。全てのヒーローでパワーファンタジーを実現させながら、チーム重視のOverwatchでは通常難しいキャリーも可能にしたいと考えています。
これに対処するため、いくつかの施策を導入しています。その一つが“バウンティ”です。長時間生存したり、ダメージや回復で優れたパフォーマンスを見せたプレイヤーには大きな賞金がかけられ、そのプレイヤーを倒すと大量の通貨を獲得できます。
また、ショップのアイテムやヒーローの能力を通じて、常に有効な選択肢を提供できるようにしています。0-3から完全な逆転は難しいかもしれませんが、経済格差が大きすぎて何も選択できない、良い選択肢が高すぎて手が出せないという状況は避けたいと考えています。
Dion:バウンティは頭上のアイコンで確認できるので誰を狙えばいいか分かります。また、アイテムは100%の価格で払い戻し可能なのでビルドの調整が可能です。敵味方のビルドを確認もできるので、相手チームがダメージ重視なら、アーマーや体力を増やしてバウンティを倒して通貨を稼ぎ、次のラウンドで異なる選択をすることができます。
ビルド次第で苦手なキャラ相性を覆す可能性も魅力
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――先ほどプレイした時、私はザリアを選びましたが相手がD.Vaを出してしまい辛い展開が続いていました。スタジアムはキャラクターを変更できないので、このような不利な状況をどのように克服すればよいのでしょうか?これは意図的なものですか?
Dion:いい質問ですね。私の場合、お気に入りのラインハルトがオリーサに完全にカウンターされる状況があります。しかしスタジアムの素晴らしい点は、ラインハルトがオリーサに対抗するために足りない要素を、ビルド選択肢の中から見つけて補うことができることです。スタジアムはヒーローの可能性を最大限に引き出すことがテーマなのです。
Dylan:D.Vaの場合もビルドの選択次第で苦手なザリアを克服できる可能性があります。 また、ザリアは一般的に厄介なヒーローですが、スタジアムではむしろ対処しやすいと感じています。
また、D.Vaとザリアのこの特定の組み合わせについては、今日のプレイテストには含まれていない新しいビルドで既に対応を行っています。このような問題が発生した場合は直接対処していきます。小規模なヒーロープールからスタートすることで、各ヒーロー間の相性をより細かく監視し、うまく機能しない組み合わせを修正することができます。
シーズン16でのローンチ時ロースターは17人
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――小規模なヒーロープールについて言及がありましたが、プレイテストで見たヒーロープールが実際のローンチ時のものになるのでしょうか?また、今後ヒーローは追加されていくのでしょうか?
Dylan:今日プレイしていただいたロースターにメイを加えた、計17キャラクターでローンチする予定です。その後、徐々にヒーローを追加していく計画です。理想的には通常モードと同じヒーロープールまで増やしていきたいと考えています。
時間はかかりますが、各シーズンで追加するヒーロー数は現時点で2-3キャラクターを予定しており、この数には自信を持っています。また、どのヒーローを先に追加するかは、ロースターに良い影響を与えそうなキャラクターを優先的に選んでいきます。
初心者向けビルドで慣れて、独自のビルドを追求しよう
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――“パワー”カテゴリーのアビリティがスタータービルド(初心者向けオススメビルド)で特定の順序で配置されており、これを取得していくことで相乗効果が生まれるように感じました。これは意図的なものですか?
Dylan:はい、スタータービルドは確かにそういった提案を意識して構築しています。始めるにあたって上手く機能しそうな私たちなりの提案です。ただし、その順序に従う必要は全くありません。あくまでガイドラインとして提供しており、プレイヤーには自由に探索して独自の道を見つけてほしいと考えています。
一方で、私自身もそうですが、「あまり深く考えなくても良い」という設計図のようなものを求めるプレイヤーもいます。例えばソルジャー76なら、エイムが苦手な人向けのタクティカルバイザービルドや、ロケット特化ビルドといった選択肢を提供したいと考えています。そういった選択肢を提供することは意図的に行っています。
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――キリコの爆発する手裏剣が以前より弱体化されているように感じました。これは他の要素とのシナジーを考慮してのことですか?
Dylan:キリコに関しては、能力が強くなりすぎないよう常に注意を払っています。爆発する手裏剣は他の能力と組み合わさると非常に強力になります。
Dion:キリコのビルドについて具体例を説明させてください。スタジアムではより深い選択肢があります。例えば、味方がいなくても自由に瞬間移動でき、3本の手裏剣を投げると爆発し、さらに壁で跳ね返るというビルドを作ることができました。瞬間移動して手裏剣を投げ、また瞬間移動で離脱する。とても楽しいのですが、バランス調整が難しく強力すぎる可能性がありました。
アーマーや体力を増やし、クールダウンの短い瞬間移動と、爆発して跳ね返る2-3本の手裏剣を組み合わせることもできます。デザイン面で非常に面白くかつ挑戦的です。
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――まだ実装されていないヒーローの中で、三人称視点で見てみたいキャラクターは誰ですか?
Dylan:個人的には、私の大好きなハンゾーですね。私の判断ではありませんが、早く実装されることを願っています。三人称視点でのプレイが待ち遠しいです。
Dion:私はトレーサーに興味があります。高速で動き回り、ブリンクを使用するキャラクターを三人称で見るのは非常に興味深いと思います。
このインタビューを通じて、スタジアムモードが単なる新モードの追加ではなく、2年以上の開発期間をかけた野心的なプロジェクトであることが明らかになりました。ラウンド制や三人称視点、経済システムなど、従来の『オーバーウォッチ』とは異なる要素を取り入れながら、各ヒーローの特性を最大限に活かせるよう緻密に設計されています。今後のバランス調整とヒーロー追加を通じてどのように進化していくのか注目されます。
筆者が今回のイベントでプレイしたコンテンツで、スタジアムが一番楽しめたモードでした。またプレイできるときが待ち遠しいです。
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