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自動生成やパーマデス(一度死ぬとすべてを失う)など、さまざまな要素が絡み合い、何度遊んでも楽しむことのできるゲームジャンル「ローグライク/ローグライト」。今週の「げむすぱローグライク/ローグライト部」第15回では、Yostarが配信する麻雀ゲーム『雀魂』から、ミニゲーム『青雲の志』をご紹介します。
『雀魂』内ミニゲーム:『青雲の志』とは
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Yostarが2019年からサービスを開始しているオンライン麻雀ゲーム『雀魂』は2025年現在、すっかりオンライン麻雀ゲームの定番となった感がありますが、『雀魂』内では不定期に多彩なイベントを開催しています。そのうちの1つが『青雲の志』です。2025年2月現在では第2回の『青雲の志:花火の宴』が開催中であり、メインメニュー画面右側からアクセスすることができます。
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本作は「特殊ルールの1人麻雀」です。通常の日本麻雀で使われる麻雀牌の中から、2~8までの萬子牌を取り除いた牌を使い、13枚の手牌が配られます。配牌直後から複数回の牌交換ができ、その後合計36枚の牌山から1枚ずつツモ→捨牌を繰り返して上がりを目指します。
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複数回の牌交換とツモ回数が多いおかげで、高い役を狙うことも比較的容易です。
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見事に役を完成させると、牌に設定されている点数の合計×完成した役の飜数に応じたスコアが加算されます。この合計スコアがエリアごとに設定されたノルマスコアを上回ると、エリアクリアです!
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エリアの合間には、勝利して得られる勝ち星で特殊なお守りパックやドラ表示牌の強化などが行える道具屋が現れます。
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お守りパックを購入すると、3つの「お守り」から1つを選んで入手できます。お守りにはさまざまな発動条件や効果が設定されており、これらの「お守り」を組み合わせることで入手スコアを跳ね上げることができます。この「お守り」のランダム入手にローグライト性があります。
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3エリア目はボス戦となっており、さまざまな制限がかけられた下で戦います。但し、その分報酬も豪華です。
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「お守り」どうしのシナジーを駆使すると、目標スコアをはるかに上回る点数を叩き出すことも可能です!
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ステージは全5ステージ×3エリアの計15エリア。ここまでに入手できるお守りを使い、膨大なスコアを叩き出すことが目的です。
さて、ここまで読んで頂いたローグライク・ローグライト愛好家の皆さまならお気付きになられたと思いますが、本作はほぼ麻雀版の『Balatro』といって間違いない内容となっています。『Balatro』の「ジョーカー」が「お守り」になり、ポーカーではなく麻雀役を使ってスコアを稼ぐものになった……と考えればよいです。
「天地創世(ビギニングオブコスモス)」が裸足で逃げ出すスコアを叩き出せ!
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さてそんな『Balatro』クローンの1作でもある本作ですが、本作ならではの魅力としては「お守りの組み合わせ次第でどこまでも伸びるスコア」があります。たとえ四暗刻+緑一色いったとてつもないレア役満を上がっても、お守りのビルドが貧弱では大したスコアは叩き出せません。
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そんな中、本作はお守りの構成をビルドする楽しみがあります。実は昨年開かれた第1回『青雲の志』では役満の「国士無双13面待ち」を軸にしたビルドがあまりにも強く、ほぼこれ一択と言っていいくらいビルドの幅は狭かったのですが、現在開催中の『青雲の志:花火の宴』ではこのビルドに必要なお守りのレアリティが軒並み上げられてビルドの完成が難しくなった上、「役満は1飜として扱う」という露骨に国士無双ビルド対策のボスステージが登場することもあり、必ずしも「国士無双13面待ち」ビルドが正解ではなくなっています(組めないことはない)。
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『青雲の志:花火の宴』では混一色・清一色ビルドやドラを大量に伸ばしていくビルドなど、さまざまな方向性が考えられるようになり、お守りの種類も大幅に増えたのですが、その中でも序盤に引いておきたいお守りが「サプライズ発明家未来」。通常お守りはエリア間のお守りパックから購入し、その内容はコモン・レアが大半ですが、このお守りは持っているだけでエリアクリア後にスーパーレア・レジェンドレアのお守りを1枚生産します。ただでさえ入手機会が薄いスーパーレア・レジェンドレアをコンスタントに提供するというだけで、本お守りはぶっ壊れです。
たまに発明失敗お守りも加わることがありますが、それもスーパーレア扱いで星9個で売れるのでまったく問題ありません。このお守り自体もスーパーレアで入手が難しいですが、早いうちに手に入ればその後の展開は大いに楽になるでしょう。彼女の効果を発動させるためにはお守りに空きを作る必要がある上、本お守り自体はスコアに一切寄与しないのでどこかで切り捨てる必要があるのが難点でしょうか。
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それ以外にも『青雲の志:花火の宴』で追加されたのが「牌山のロック」という要素。一部のお守りやボスエリアの効果で牌山から牌をロックし、ツモ回数が減る代わりにロックした牌数だけ上がり飜数が増えるというシステムですが、それを最大限に生かすのがレジェンドレアお守りの「<解錠魔女>ゆず」です。
彼女がいるとロックされた牌が増える度、上がり時の飜数の倍率が増えます。他のロック系お守りも組み合わせていくと倍率がどんどん増えていき、倍率は乗算なのでスコアが跳ね上がっていきます。ロック系ビルドならぜひ揃えたいお守りです。
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それ以外に強力なお守りとしては、「嵐星の影分身」。レジェンドレアに昇格し、入手が難しいお守りですが、効果は『Balatro』の「ブループリント」と全く同じです。つまりこれを倍率乗算お守りの左隣に置くと……あとはお楽しみください。
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あえて牌交換を使わないと、お守りの倍率が強化されていくスーパーレア「ウエイトトレーニング」も強力なお守りです。牌交換機能自体が強力なためそれを捨てるのは覚悟が要りますが、このお守りを使い続けていくととんでもない倍率強化に育ちます。序盤で拾えたら牌交換を捨てたビルドを目指すのもアリです。
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こうしたお守りを活かしたビルドで、終わりのないスコアアタックを目指すのが本作の真の目的です。前回の『青雲の志』ではクリア後のEx15ステージで終了だったのですが、今回のクリア後Exステージは終わりがありません。エンドレスです。現在筆者が到達できた最高記録はEx26ステージで、点数は指数表記の1.294915e30点(約129穣点)となっています。
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しかし、こんな点数はまだ序の口。オンラインランキングの最上位勢の上がり点数記録はe130オーバーで、2025年2月14日現在では最高ハイスコアは2無量大数×無量大数の域に達しています。ちなみに参考までに麻雀漫画『ムダヅモなき改革』において、主人公が上がった「天地創造(ビギニングオブコスモス)」の点数は指数表記を利用すると9.086519e34点です。どうしてこんな戦いが行われているんだ……!
本作の欠点としては、やはり「麻雀」というゲームを基本としていることで、麻雀の役をまったく知らないと本作を遊ぶことは難しいです。そういった点では、『Balatro』が理解しやすいポーカーの役を採用していたのは非常に優れていたな……と改めて思い直す次第です。
あと、本作が期間限定開催なのは本当にもったいない!筆者はこのゲームは『Balatro』に匹敵するポテンシャルがあると思っているので、是非とも常設化か、あるいは『雀魂』のスピンオフのシングルプレイゲームとしてリリースしてほしいところです。
『雀魂』は、PC(ブラウザ、公式クライアント、DMM)/iOS/Androidにて基本プレイ無料で配信中です。『青雲の志:花火の宴』は、2025年3月31日まで期間限定で開催予定です。