「小説ドラゴンクエストV」の著者である久美沙織氏は、『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』を原案とし2019年に公開された映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」の主人公の名称「リュカ」を巡る請求が最高裁で棄却されたことを報告しました。
2019年公開の「ドラクエ」映画を巡る訴訟
映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」の主人公名が、久美氏が執筆し1993年に発売された「小説ドラゴンクエストV」の主人公「リュケイロム・エル・ケル・グランバニア」(通称「リュカ」)と類似しているということから始まったこの問題。久美氏は、主人公名の出典が「小説ドラゴンクエストV」であると明記することなどをスクウェア・エニックス側に求めたものの交渉は決裂し、東宝、スクウェア・エニックスらを提訴するに至りました。
2023年10月には、東京地裁が久美氏の請求を棄却。久美氏は、名前は著作物には当たらない、スクウェア・エニックス側には協議に応じる義務があったとはいえないという2点が棄却理由だったと説明していました。その後、和解案の提示と被告による拒否なども挟みつつ裁判は継続され、最高裁に上告するに至りました。
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「リュカ」は無断使用だが著作物には当たらない
久美氏は今回の報告内で、リュカという名前および、苗字を呼びかける演出は映画製作陣による無断使用だと認められたものの、キャラクターの名前は特定するためだけのもので著作物ではないと判断されたと説明。また、クラウドファンディングで集めた費用の残りに私財を加え「リュカ基金」を設立するとのこと。何らかの法人として運営し、クリエイターが組織に対して声を上げる際に資金的な援助を行えるようにする構想だと説明しています。
久美沙織氏は、裁判所の判断に対する自身の見解や「リュカ基金」に関する説明などをまとめた文章をnoteに掲載しています。