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Game*Sparkレビュー:『百鬼夜行サバイバー』絵巻物風の世界で桃太郎や空也上人が暴れまくる!雰囲気抜群の和風ヴァンサバ系ローグライク

魑魅魍魎をなぎ倒す楽しさは唯一無二でした。

連載・特集 Game*Sparkレビュー
Game*Sparkレビュー:『百鬼夜行サバイバー』絵巻物風の世界で桃太郎や空也上人が暴れまくる!雰囲気抜群の和風ヴァンサバ系ローグライク
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2021年に『Vampire Survivors』が早期アクセスを開始し、「サバイバー系」ジャンルの火付け役として一大ブームを巻き起こしました。それ以降、「ヴァンサバライク」と呼ばれる様々なフォロワー作品を生み出しています。

そんな「サバイバー系」ゲームは、見下ろし型の視点やオートバトル方式、経験値でレベルアップしたりアップグレードする成長要素、パーマデスやランダム性などローグライク要素も取り入れつつ、何より「迫りくる大量の敵を殲滅して生き延びる」爽快感とシンプルなシステムが多くのゲーマーを虜にしてきました。

また、近年では『Vampire Survivors』のようなゲーム性ながら、可愛らしいキャラが活躍する『Brotato』、自動ではなく能動的な射撃アクションが楽しい『20 Minutes Till Dawn』、ハクスラ要素のある『Scarlet Tower』など個性的なヴァンサバライクゲームが登場しています。

こうして隆盛を迎える中、『百鬼夜行サバイバー』は一寸法師をはじめ絵巻物からそのまま飛び出してきたかのような操作キャラクター、個性的な魑魅魍魎など「純和風」の世界観と雰囲気が強烈なインパクトでした

というわけで今回はpixydaが手掛け、2025年2月7日にSteamにて発売された『百鬼夜行サバイバー』のGame*Sparkレビューをお届けします。なお、本稿はSteam版でのプレイとなり、Xboxコントローラーを使用してのレビューとなります。

唯一無二の和風ヴァンサバライク

本作は、迫りくる魑魅魍魎の大群に挑む2Dサバイバルアクションゲームです。 魑魅魍魎が跋扈する夜を乗り越え無事朝を迎えるのか、呪われた鳥居にある敵の拠点をすべて破壊しボスを倒すのか…生き残れるかどうかはプレイヤーの攻略方法にかかっています。

最大の特徴は、やはり「百鬼夜行絵巻」をモチーフに描かれる和風の世界観。まるで絵巻物の中でプレイしているようなステージや、日本の歴史上の人物や妖怪をモデルにした仲間キャラ、がしゃどくろやヤマタノオロチといった浮世絵風の強大なボス敵など、伝統的な日本文化を前面に出した唯一無二の雰囲気がSteamレビューでも特に好評でした。

操作は、スティックで移動方向を決定しYボタンで攻撃の照準方法を切り替え、といった具合に基本的なヴァンサバライクと同様のシンプルな設計。少し変わっていたのは、Aボタンで攻撃の「分散/集中」がスイッチできること。敵に囲まれたときは分散したり、ボス戦時には一斉攻撃を仕掛けてみたりと戦況に応じて使い分け可能な便利な機能でした。

ゲームは「街道」や「孤島」など全3ステージあり、それぞれがレベル1~5までの難易度で構成されています。制限時間は30分以内で、難易度の高さによって破壊する鳥居の数が増えたりデバフがかかったりします。この辺りはあまり変わった部分はなく、わかりやすい構造でした。

空也上人や桃太郎が魑魅魍魎を蹴散らす!シンプルで奥深い戦闘システム

本作は、日本の歴史と文化に深く関わる個性豊かなキャラクターを操作できるのも魅力のひとつ。「坂田金時(金太郎)」や鎌倉最強の女武将「板額御前」をはじめ、踊り念仏で著名な「空也上人」や実在した横綱「雲龍久吉」、それに加えて「すねこすり」「天狗」「雪女」など妖怪も仲間として登場します。この日本史オールスター感がほんとにユニークで面白かった点です。

もちろんキャラによってステータスや攻撃性能も違います。坂田金時は斬撃の衝撃波を飛ばし、攻撃範囲は近距離~中距離、経験値の吸収能力+20%と吹き飛ばし力+50%が備わる使い勝手の良いキャラです。

空也であれば結界を張って敵にダメージを与える近距離型で、最大体力が少ない代わりに「天運」ステータスが+40%だったり、板額御前は弓を射撃する遠距離型キャラで後方支援が得意だったりと、それぞれの特徴を活かした攻略スタイルが構築できるし、各キャラのアニメーションも凝っていてGoodでした。

個人的に、作中最強だと思ったのは皆さんご存知の「一寸法師」。体力は少ないものの、すばやさが高く動かしやすいし、針で敵をエグる「刺突」は攻撃範囲の増加と武器進化のシナジーを乗っけた状態にすれば、一瞬で魑魅魍魎を粉砕する圧倒的強さを誇り、非常に爽快なプレイが味わえました。

さて肝心のゲームシステムですが、基本的にはスタンダードなヴァンサバライクと同様、敵を倒してジェムに相当するEXPを集めていくと「段位=レベル」が上がり、さまざまな種類のアップグレードで自キャラを強化していく、という流れ。

ここで他と違うのは、アップグレードは武器ではなく新たに「仲間」を獲得できることです。自キャラの上下左右に最大5体配置可能で、これで全体的な火力を底上げしていきます。

また火力を飛躍的に上げるのが「武器進化システム」。キャラの固有武器には8段階のレベルがあり、攻撃回数や性能を上げていけます。そして出現する中ボスを倒せば宝箱がドロップし、運が良ければ武器を最終進化させる貴重なアイテムが入手できますが、慣れてくると「次は何が出るかな~」と宝箱回しが最高にワクワクします

たとえば、板額御前の弓は炎上効果を持つ「破魔矢」になり性能が格段に上がります。このように、辛抱強くすべての仲間の武器を育成して進化させていけば、シナジーがもたらす火力の増加は絶大になるのです。試行錯誤した末に、敵が一瞬で溶けるようになってからはプレイが断然楽しくなりました。

さらに、防御力や素早さなど直接自キャラのステータスを上げるアイテムも入手可能。とくに攻撃範囲を強化できる「旗」は、仲間の配置次第でかなり広範な攻撃が可能になるので積極的に使用したほうが良いでしょう。ちなみに、アイテムの効力はローグライクらしくその場限り…嗚呼、せっかく苦労してビルドしたのに…。

と思っていたら、実はステータスを後から「永続強化」できる機能が実装されています。「フフフ…コレは便利ですぞ」と喜んだのも束の間、強化に必要なアイテム「小判」は入手しづらい上に、なんと最低500枚ないといけない判明し落胆。序盤においては永続強化は難しく、何度もリプレイして小判集めしなければなりません。

後述しますが本作は成長要素や難易度含め、システム関連のバランスとか調整がイマイチで、ヴァンサバ系の核とも言うべき「カジュアルで」「爽快感」のあるゲーム体験が損なわれていると強く感じました。

ステージをクリアする条件は、「呪いの鳥居をすべて破壊する」か「制限時間内まで生き延びる」こと。慣れないうちは30分も生き延びるのは難しいので、雑魚敵を倒してレベリングしつつ鳥居を着実に破壊していくのがセオリーになるでしょう。

とはいえ、鳥居を破壊するのも最初の頃は結構しんどい作業です。まず、スタート地点から大量の魑魅魍魎が湧いてきますし、一撃で死なない雑魚もいます。貧弱な装備のうちは囲まれないように立ち回り、確実に一体ずつ倒していかなければなりません。

鳥居に近づくほど魍魎たちも強くなり、同時にとんでもない数で襲いかかってきます。なるべく序盤でレベリングして仲間を増やして固めながら、攻撃範囲の強化と武器レベルを上げておくとだいぶ楽になるはずです。

しかし中ボスの「風神雷神」は特に強敵で、大量の弾幕を放射状に撃ってくるのでとても苦戦し、何度もゲームオーバーになりました。

立ち上がりまでの「作業感」とバランス調整が課題

Steamレビューにも指摘があるように、序盤において永続強化に必要となる「小判」稼ぎが容易ではなく、プレイ内容にもよりますが少ないときは10枚ほどしか集めれず、中々ステータスアップできません。ゆえに、何度もリプレイしては小判を貯めていく工程が非常に大変かつ退屈で、どうしても強い「作業感」を感じてしまいました。

そのうえ敵のラッシュが序盤から激しく、風神雷神の超弾幕攻撃も慣れないうちは絶望的で、プレイヤーによっては序盤で意欲を削がれてしまうかもしれません。つまり、この無駄に高い難度や強化アイテムの出にくさなど、ゲーム全体のバランス調整が悪く、ヴァンサバライクとしては「爽快感」をあまり感じられないプレイフィールだったのが残念でした。

他にも強キャラと弱キャラの性能差が激しいことや、ボリュームの少なさ、最初から使えるキャラは一体だけで購入しないといけない…など、「カジュアルに遊べない」ストレスフルな要素も多々あったことも否めません

とはいえ、純和風のヴィジュアルと世界観は一線を画す素晴らしい出来栄えですし、絵巻物風のステージを縦横無尽に駆け回り、歴史上のユニークなキャラクターを操作して魑魅魍魎をなぎ倒していく楽しさは、他の作品では味わえない唯一無二のプレイ感覚だと思いました。現時点の本作は「刺さる人には刺さる」くらいのオススメ度ですが、今後バランス調整やボリューム不足などが改善されれば、それこそヴァンサバライク初心者からコアゲーマーまで推奨出来うる作品になりそうです。


Game*Spark レビュー 『百鬼夜行サバイバー』 PC(Steam)2025年2月07日リリース

非常に惜しい和風ヴァンサバライクACT

GOOD

  • 「百鬼夜行絵巻」をモチーフにした唯一無二の世界観
  • 和風のヴィジュアルや雰囲気が抜群
  • 仲間を配置して強化するユニークな戦闘システム

BAD

  • 強化アイテムが入手しづらい
  • バランス調整が悪い
  • ボリューム不足

ライター:DOOMKID,編集:TAKAJO

ライター/心霊系雑食ゲーマー DOOMKID

1986年1月、広島県生まれ。「怖いもの」の原体験は小学生の時に見ていた「あなたの知らない世界」や当時盛んに放映されていた心霊系番組。小学生時に「バイオハザード」「Dの食卓」、中学生時に「サイレントヒル」でホラーゲームの洗礼を受け、以後このジャンルの虜となる。京都の某大学に入学後、坂口安吾や中島らもにどっぷり影響を受け、無頼派作家を志し退廃的生活(ゲーム三昧)を送る。その後紆余曲折を経て地元にて就職し、積みゲーを崩したり映像制作、ビートメイクなど様々な活動を展開中。HIPHOPとローポリをこよなく愛する。

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編集/いつも腹ペコです TAKAJO

Game*Spark編集部員。好きな映画は「ダイ・ハード」、好きなアメコミヒーローは「ナイトウィング」です。

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