幻想的な日本の村探索ホラー『BrokenLore: LOW | 霧雨村』プレイ感想。迫りくる「異形妖怪」に恐怖し、ハイパーリアル×ローポリの出口なき世界に迷いながら真相を追う | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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幻想的な日本の村探索ホラー『BrokenLore: LOW | 霧雨村』プレイ感想。迫りくる「異形妖怪」に恐怖し、ハイパーリアル×ローポリの出口なき世界に迷いながら真相を追う

『BrokenLore』シリーズの序章的作品。

連載・特集 プレイレポート
幻想的な日本の村探索ホラー『BrokenLore: LOW | 霧雨村』プレイ感想。迫りくる「異形妖怪」に恐怖し、ハイパーリアル×ローポリの出口なき世界に迷いながら真相を追う
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今回はSerafini Productionsが手掛け、2月21日にPC(Steam)で発売された新作ホラー『BrokenLore: LOW | 霧雨村』のプレイレポートをお届けします。なお、本記事はSteamキーを使用してプレイし、クリア済での感想となります。

『BrokenLore』シリーズは、東京渋谷区に拠点を置くスタジオSerafini Productionsが開発を行う一連のホラーゲーム・フランチャイズです。松竹がパブリッシングすることでも話題の『BrokenLore: UNFOLLOW』を筆頭に、東京の孤独な青年を描く『BrokenLore: DON'T WATCH』(3月21日リリース予定)など、複数の作品が2025年に本格展開されます。

BrokenLore=きれぎれの伝承」というタイトルが示すように、さまざま時代背景や場所、異なるテーマを基に紡がれる物語の断片を体験していくスタイルが特徴的です。本作でも短編ながら、再現度の高いリアルなグラフィックとストーリー演出によって、ホラーゲーマーを自称する筆者にとっても「芯から震え上がる」恐怖を感じる作品でした。

なお本記事はストーリーに関するネタバレ要素も含みますので、読みたくない方はご注意ください。


架空の日本を舞台にしたサイコロジカルホラー

本作は、一人称視点のストーリー主導型ホラーアドベンチャー。2000年代頃の架空の日本が舞台となり、プレイヤーは歌手を目指すナオミ・モントゴメリーを操作し、深い霧に包まれた美しくも恐ろしい「霧雨村」を探索。村で起きたとある悲劇をきっかけに、住民すべてが呪われてしまったという「古の伝説」の真相を明らかにしていきます。

執筆時点でのSteamレビューは、全135件中82%がポジティブな「非常に好評」を獲得。

ユーザーからは、「グラフィックの作り込みが凄い」、「ホラーゲーム初心者でも楽しめた」、「キャラのクオリティが高く世界に惹き込まれた」といった称賛の声が聞こえる一方、「ストーリー内容が薄い」「ゲーム性が退屈」などゲームプレイに関しての批判も見受けられました。

確かに、筆者個人的にも本作は賛否両論を生む作品だと思いました。というのも、雰囲気やヴィジュアルの品質は非常に高く没入感があるものの、重要なストーリー展開については不自然さや描写不足が目立ち、実際のプレイにしても謎解きがあるわけでもなく、武器を使った戦闘があるわけでもない「平坦」なゲーム体験だったのは否定できません。とはいえ、妖怪との対峙は心底怖いと思ったし全体的に及第点に達するホラーゲームでした。


操作はシンプルで快適/日本語に対応

操作はキーボード&ゲームパッドに対応し、今回はXboxコントローラーを使用しました。操作系統は非常にシンプルでどんなプレイヤーにとっても難しくもないでしょう。操作感はホラーゲームの中でも快適な方でしたが、一人称視点は酔いやすいので感度を下げておくことを推奨します。

言語は日本語字幕/インターフェースに対応しますが、フルボイスは英語のみだったのが少し残念。肝心の翻訳精度は、正直あまり良くないです。まず、安っぽい中華風日本語フォントが没入感を削いでいるのが一つ、そして機械翻訳ではないもののセリフの端々に不自然な日本語表現が見受けられました。

グラフィックオプションは、解像度や品質に関するオーソドックスなもの。筆者はエピック設定でプレイしましたが、カクついたりフリーズが発生することはなくPCに最適化されているようでした

再現度が凄まじい、幻想的な「霧雨村」を探索

オープニング・ムービーが流れ本編が開始します。赤い車を走らせているのは、主人公の女性「ナオミ・モントゴメリー」。ボーイフレンドとの会話によると、彼女は仕事の打ち合わせのため、「良くない噂を聞く」某プロデューサーの元へと向かっているようです。

そしてその待ち合わせ場所が、深く濃い霧に覆われた「霧雨村」。なぜこの場所を選んだのか、プロデューサーはどこにいるのか、現時点では不明。とりあえず散歩がてら観光気分で探索してみましょう。移動はコントローラースティック入力で歩き、LTボタンで走ることが可能。動作は滑らかで特に問題はありません。

霧雨村の景色は、濃霧と曇天のせいかズッシリと重たいホラーゲームにぴったりの雰囲気。都会から離れた神秘的な村というロケーションで、日本家屋風の建物や一軒家などが立ち並んでいます。

本作の特徴の一つは、そのハイパーリアルなグラフィックにあります。空高く突き出た電柱、「止まれ」の標識やガードレールなど街並みに関しては正確に描写されています。そして、経年劣化による錆や汚れ、塗装の剥げまで細かく作り込まれており非常にリアルで没入感が高いと感じました。

さて、しばらく歩いていると張り紙を発見。調べると「村の中心に、かつて失われた寺が存在した」と書かれています。はて、なんのことやらサッパリ……とにかく、昔この地に大切な寺院があった模様です。

そして他にも、さまざまな場所に謎めいた張り紙があり「運命から逃れようとする女性の物語」とか「彼女の苦しみは村長が原因」など、まさにこの「霧雨村」に伝わる“Lore(伝説/伝承)”が断片的に語られています

行き止まりの壁に最後の張り紙が。推測ですが伝承内容をまとめると、とある女性が「霧雨村」の村長に強制的に手籠めにされ懐妊、それがバレて女性は村中からの誹謗中傷や裏切り者扱いを苦に自決。しかし、その後女性の怨霊とも言うべき存在が現れ、住民を恐怖に陥れ全員が呪われた……と解釈できます。なんとも悲しく、そして恐ろしい伝説がここにはあるようです。

するとちょうどプロデューサーから電話があり、昔懐かしいガラケーを取り出すナオミ。伝えたいことがあるらしく、居酒屋「赤提灯」まで来て欲しいとのこと。え、途中に居酒屋なんてあったっけ?

と思っていたら、なぜかありましたよ「赤提灯」。本作の惜しいと感じた点に「不自然なストーリー展開」というものがあります。怪異の起こる霧雨村では、さっきまで無かった居酒屋くらい突然現れてもおかしくはない……たしかにそうかもしれません。いやしかし、序盤の導入部分から時空がワープする演出はさすがに雑すぎる。正直なところそう感じる筆者でした。

怪しすぎるプロデューサー

この後も怒涛の展開が続きます。居酒屋でようやくプロデューサーの「英樹」と落ち合い、今回のプロジェクトについて話を進めていくナオミ。どうやら彼女は元々歌手を目指しているらしく、今夜はデビューするためのオーディションが開かれるようなのです。とはいえ、いったいなぜにこんな過疎の村で?そして、この英樹とやらは本当に信頼できるのか?さまざま疑念が浮かんでは消えます。

一旦話が終わり外へ出ると、村の風景はさらに不気味なものへと変わっています。道路の真ん中には妊婦を象った気味の悪い彫刻が至る所に出現。血をたどっていくと……突然謎の女性が現れビビる。彼女は「エリカ」という名前で今回のオーディションに参加する候補者で、さしづめナオミのライバルと言ったところでしょうか。

カラオケさそいねこ

オーディションの時間になり、英樹から「ムーンライトカラオケ」に来るよう言われます。居酒屋のときと同じく、一瞬にして姿を現すカラオケ屋。いやまさか、オケ屋でオーディションなんてするはずないよね…‥?だよね?しかし、大方のプレイヤーの予想を裏切り我々はこの後とんでもない光景を目にすることになるのです

拒否したらどうなるのか

なんとカラオケ「さそいねこ」にて、将来のポップスターを決める歌手オーディションが開始。あまりの展開にシナリオそっちのけで乾いた笑いが出る始末。

しかも、ナオミも何の疑問も抱かずノリノリで熱唱している上に、実際に曲も歌声もかなり上手い。うーん、確かにこれは歌手を目指すだけあるな、頑張れよナオミ

なんて応援している場合ではなく、このように「カラオケ屋でのオーディション」という設定がまず不自然であるし、何より展開が強引かつ説明不足であって、なかなかプレイヤーとして物語に感情移入しづらかったのが残念でした。

歌いきったのも束の間、意識が遠のいていくナオミ。気色の悪いプロデューサー英樹が言い放った「偉大な野望には、代償が伴うものさ」という言葉を最後に気を失ってしまいます。

迫りくる「異形の妖怪」とのチェイス

本作の独特な表現として、霧雨村の過去の出来事をあえてPSX風のローポリゴンで描写しています。このパートでは、江戸時代のような風景の武家屋敷を探索していきますが、説明が一切なく初見では何をすればいいかまったく分かりませんでした。

しかしどうやら、割ってしまった「鏡の破片」を10枚集めないといけないようです。屋敷の奥深くに進むと、不穏な空間にたどり着きます。そして破片を探していると……

女性の霊らしき化け物が襲いかかってきます。追いかけてくる足が超早いのと、デカい唸り声のせいでメチャクチャ怖い!このチェイスが、ゲームを開始して以来初めて心臓がバクバクした瞬間でした。なんとか逃げ切ると、場面は現代へと変わります。

ゲーム後半戦では、伝承にあった「失われた寺院」が登場します。が、お寺なのに入口には鳥居があったり狛犬が鎮座していたりと違和感だらけ。建築様式もどちらかというと中国風で、街並みの素晴らしい再現度と比べると詰めが甘く粗が目立っていました。

そしてゲーム中一番のハイライトとなる、異形の妖怪「ガシャ髑髏」とのチェイスは、難易度もそこまで高いわけではないですが、追いつかれたら一発ゲームオーバーの緊張感と見た目の恐ろしさが合わさり、とても恐怖を感じるシーンでした

交錯する過去の世界から目覚めたナオミは、自分の身に起きた異変に気づきます。さっきまでオーディションをしていたはずが、お腹が不自然に膨らみ「何か」を身ごもっている様子……これはいったいどういう事なのか?劇的な結末は是非プレイして確かめて欲しいと思います。



今回のレポートは以上になりますが、いかがだったでしょうか。本作は美麗でリアルなグラフィック、雰囲気抜群の街並み、個性的なキャラクター、交錯する世界と異形の妖怪とのチェイスなど、素晴らしいところはたくさんあります。

しかし、その分余計にストーリーやゲーム性の良くない部分が目立っていたのが非常に惜しかったと思います。とはいえ、『BrokenLore』のプロローグ的作品であるし、全体的には十分楽しめるホラーゲームだと感じました。

  • タイトル:『BrokenLore: LOW | 霧雨村』

  • 対応機種:Windows PC(Steam)

  • 記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)

  • 発売日:2025年2月21日

  • 著者プレイ時間:4時間

  • 価格:1,000円
    ※製品情報は記事執筆時点のもの

スパくんのひとこと



霧雨村の雰囲気と探索は恐ろしかったスパ…!ストーリーやゲーム性が惜しかったスパよ


ライター:DOOMKID,編集:Akira Horie》

ライター/心霊系雑食ゲーマー DOOMKID

1986年1月、広島県生まれ。「怖いもの」の原体験は小学生の時に見ていた「あなたの知らない世界」や当時盛んに放映されていた心霊系番組。小学生時に「バイオハザード」「Dの食卓」、中学生時に「サイレントヒル」でホラーゲームの洗礼を受け、以後このジャンルの虜となる。京都の某大学に入学後、坂口安吾や中島らもにどっぷり影響を受け、無頼派作家を志し退廃的生活(ゲーム三昧)を送る。その後紆余曲折を経て地元にて就職し、積みゲーを崩したり映像制作、ビートメイクなど様々な活動を展開中。HIPHOPとローポリをこよなく愛する。

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Akira Horie

編集/『ウィザードリィ外伝 五つの試練』Nintendo Switch版2025年1月30日発売予定! Akira Horie

Game*Spark副編集長。平日日中のニュースデスクおよび料理連載や有志翻訳者連載の基本担当。 2021年版以降の『ウィザードリィ外伝 五つの試練』イード側のディレクターも兼務中。

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