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2月28日についにリリースされる『モンスターハンターワイルズ(以下、MHWs)』。新規モンスターに復活モンスター、そして数々の新システムなど注目ポイントが多く、シリーズへ大きな革新をもたらすことが期待される最新作です。
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筆者は『モンスターハンター(以下、モンハン)』シリーズについては、『モンハン日記 ぽかぽかアイルー村』などスピンオフ含め、触れていない作品の方が割合少ないほどにハマっています。今回は発売元カプコンからレビュー用コードを提供して頂き、『MHWs』PC版の先行プレイの機会を得たため、“本編メインミッションChapter2”の範囲までのレポートをお届けします。
本記事で取り上げる内容は以下の通り、
・動作の快適さ
・大まかなストーリー面の印象
・戦闘面での触感
本記事ではネタバレを極力控えめに、メインミッションのスクリーンショットは“Chapter1”のものを掲載。フリークエストについては、公式で発表済みのモンスターやその武器や防具、スキル等も含まれているので閲覧にはご注意ください。
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なお、メインミッション終了後など、本記事範囲外も総括したレビューは本作発売後に公開予定です。
OBTからパフォーマンス向上!エントリー寄りゲーミングPCでも遊べる快適度
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先行でゲームをプレイできるオープンベータテスト(以下、OBT)が実施された本作ですが、ゲーム内容だけでなくPC版動作要件の厳しさも話題になっていました。
筆者個人もエントリー寄りのミドルスペックPCを使っているため“そろそろ買い替えの時期か…”と第一回OBTプレイ後は不安に思いましたが、後に動作要件が引き下げ。大まかな触感にはなりますが、本項ではそのパフォーマンスを見ていきます。
まず、筆者のPCスペックは以下の通りです。
モニター解像度:1080P
CPU: AMD Ryzen 5 3600 (6コア/12スレッド,3.6GHz)
メモリ:16GB
ゲームインストール先:Crucial MX500 SSD 1TB
GPU: NVIDIA GeForce RTX 3060 12GB
グラフィックカード(以下、GPU)は執筆時点のSteamによる統計で最も採用割合の高い“RTX 3060”のためまだ現役と言える状況ですが、最近“RTX 50シリーズ”が登場して2世代の差がついたことを考慮するとこれからが心配になってくるラインでもあります。
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本スペックでOBTを遊んだ際、(グラフィックプリセット:中、アップスケーリング:AMD FSR3パフォーマンス、フレーム生成:ON、fps上限:60で)fpsは56~60と安定していたものの、モンスターの動きがコマ送りのようになっていたほか、プレイヤー周囲にフレーム生成によるゴースティング(残像)が目立ち、“妥協して何とか遊んでいる感”が強めでした。
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しかし後に動作環境の案内が更新され、GPU推奨環境が“RTX 2070 Super, etc.”から、“RTX 2060 Super, etc.”に引き下げ。同時期に公開された本作ベンチマークを試した際は“グラフィックプリセット:中、アップスケーリング:AMD FSR3クオリティ、フレーム生成:ON”の設定で平均fps:89.57となり、“快適なプレイ”ができるとの結果になっていました。
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発売後と差異がある可能性もありますが、今回、先行プレイ版の“ソロオンライン”で同様の環境に設定してプレイしてみると、筆者の環境ではfpsはエフェクトがきつそうなフィールドでもOBTと同程度に安定しているうえ、モンスターの動きは大幅に改善し、ゴースティングの問題も解消しています。強いて言えば、ゲーム開始後テクスチャの読み込みに少し時間がかかるのと、エリア移行時などで一瞬fpsがガクッと落ち込む時があるぐらいですが、ロード時間が速いのもあってそこまでは気になりません。
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標準的なコンソール機で遊んでいる際とほとんど変わらない感覚だったため、“最高画質&120fps固定じゃないと受け入れられない!”というタイプの方でなければ、同様のスペックでも十分楽しめる快適さだと思います。
今回の『モンハン』はストーリー目当てでも楽しめそう!?ネタバレ控えめのレビュー
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『モンハン』の繰り返しモンスターを討伐するゲーム性から、シリーズに対し“ストーリーはオマケでクリア後が本番”というイメージを抱く人もいるかもしれません。実際、筆者もその傾向があり、コンシューマー向けで直近の『モンスターハンターライズ:サンブレイク』のレビューをした際はストーリーに触れず、プレイ部分に着目した内容となっています。
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正直に言うと『MHWs』のストーリーにも同程度の熱量で挑みましたが、予想をいい意味で裏切る結果に。上述のとおりプレイしたのは“Chapter2”までの内容ではありますが、他のシングルプレイ専用ゲームにも負けない仕上がりと感じました。
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詳細を避けて紹介すると、まず全体の雰囲気は『モンスターハンターワールド(以下、MHW)』に寄った、“世界があることを大前提”に“そこで生きる人々”を描いている印象です。ストーリー序盤でも起伏のある演出が多数盛り込まれており、そこからシームレスにクエストへ移行するため、没入感はシリーズトップクラス。異なる環境のフィールドを次から次へと渡り歩いたり、新たな集落を訪れたりする興奮は同社の『ドラゴンズドグマ2』を想起させられました。
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人物描写は『MHW』の“『ウィッチャー3 ワイルドハント』コラボクエスト”並みで、キャラクターの情報が肩書以外もドンドン入ってくるため、物語に入り込みやすくなっています。
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また、本作から“ストーリー中も喋るようになった主人公”ですが、台詞こそ多いものの、自己主張が激しすぎない程度。過去作で言うと、“ムービー中のアイコンタクト”等が主人公の発言に置き換わった感覚です。選択肢による台詞もありますが、話の流れに沿った常識的な範囲内であり、極端なロールプレイをしていない限りは邪魔にならないでしょう。
ボリュームに関して結論はまだ出せないものの、『モンハン』の世界で展開されるスペクタクルな演出や物語に惹かれる方は、メインミッション目当てでも十分にオススメです。
過去作から更に快適&進化した戦闘!強制感ない新システムに、これからに期待のアクション&スキル仕様
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話はシリーズの目玉とも言えるゲームプレイ部分に移りますが、戦闘周りの触感を中心に過去作経験者の観点から見ていきます。
まず今回のプレイ範囲における難易度は、筆者の主観ですが拡張パック導入前の『モンスターハンターライズ(以下、MHR)』や『MHW』と比べ難し目。具体的には『MHR』の里クエストを基準にすると、危険度(星の数)を3足して本作と釣り合うかどうか程度です。
とはいえ、モンスターの当たり判定も見た目通り非常に正確で、戦闘中に理不尽と思う場面はありませんでした。また今作からの新要素はプレイヤー側に利するものが多く、人によってはむしろ軟化と感じるかもしれません。
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特に全武器種で使用できる「集中モード」はその最たる例で、プレイヤーがモンスターの同じ部位に攻撃し続けると「傷口」が発生。「集中モード」は「傷口」に「集中弱点攻撃」という強力な技を繰り出せるシステムとなっています。
「傷口」はそれ単体でその部位へのダメージ量を増加させる効果があるほか、筆者がプレイした限り「集中弱点攻撃」中はモンスターが怯む傾向が確認できました。
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『モンスターハンターワールド:アイスボーン(以下、MHW:I)』実装の類似システム「クラッチクロー」と違い、狩猟の過程で自然に傷を付けることが可能。「集中弱点攻撃」は発動リスク低めなだけでなく、使わなくても「傷口」自体のメリットは受けられるため、強制感が少ない仕様となっています。
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一方、同じく今作からの「鍔迫り合い」と「相殺」はそれぞれモンスターを怯ませ、攻撃のチャンスを作れる新アクションです。発動できる武器種は限られていますが、演出や効果音が爽快なのもあってつい積極的に狙いたくなってしまいます。
特にゲーム開始時にデフォルトで装備する「大剣」は両方とも発動できる武器の1つとなっており、前者は「ガード」、後者は「斬り上げ」と、過去作品では一部を除きあまり使われていなかったアクションに割り当てられています。
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従来の立ち回りを維持したまま恩恵を受けられる武器もあれば、新たな行動の選択肢になりうる武器もあり、これからのユーザーコミュニティによる研究次第で思いもよらない“立ち回りの型”が登場するかもしれません。
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なお、フィールドでの移動手段として登場した乗用動物「セクレト」は、『MHW:I』の“自動で目的地まで移動する「モンスターライド」”と『MHR』の“手動で操作できる「オトモガルク」”、両者のいいとこ取りの印象です。
直接戦闘には参加しないものの、騎乗中はアイテムを使えるのはもちろん、モンスターの攻撃に当たり倒れている最中にも呼び出せるため、緊急の脱出手段としても優秀。支援物資を届けてくれたり、事前に装備した2つの武器を狩場で切り替える機能も担っていたりと、次回作にも登場してくれないと不安になるほどの便利さです。
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戦闘をステータス面で見てみると、まず武器の攻撃力の表示形式が設定でき、『MHW』等で用いられた“武器種ごとの係数を使用した数値”と『MHR』等の”係数を使用しない数値”に切り替えができるようになりました。
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こちらはほとんど好みですが、複数の武器種を使い分けるハンターにとっては各武器の強さが直感的にわかりやすくなり、装備選択が楽になるかもしれません。
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さらに今作から狩場に武器を2つ持ち込めるようになった影響か“武器”と“防具”、それぞれにスキルが割り当てられるようになりました。
先行プレイ範囲では、「逆恨み」や「体力回復量UP」といった汎用的なスキルが防具に搭載されている一方、武器側は「集中」に「高速変形」、「強化持続」など、その武器種のアクションに対応したスキルも搭載。“「攻撃力」「会心率」「属性」”といったステータス以外でも武器に個性が現れるようになりました。
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“あの武器には「砲弾装填」があるけど、あっちには「ガード強化」がある…”というように、立ち回りに影響するスキルが多い武器種にとっては悩ましい点かもしれません。発売前情報でも装飾品と護石の存在は明かされているので、この点は“ゲーム終盤以降、どこまで融通が利くようになるか”といったポイントが注目されそうです。
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ちなみに、本作オプションには様々な方に配慮したアクセシビリティの設定項目がありますが、設定をオンにすると、該当モンスター等の外観がスライム状の何かに変化する「蜘蛛恐怖症対策モード」も存在しています。“「ラバラ・バリナ」等の大型モンスターには適用されない”一方、今回のレビュー用ビルドで戦えた“「ネルスキュラベビー」にも適用される”ことを確認しました。
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前述の「ネルスキュラベビー」を例にすると、ワラワラとした小型のスライムが表示されるため、“これなら可愛くて大丈夫”という人もいれば、“これはこれで無理”という人もいるかもしれません。設定適用後の外観については、本記事掲載の画像などを参考に判断するといいでしょう。
長々と記述した戦闘関連ですがこれでも一端に過ぎず、語りつくせていない要素はまだまだ存在。これらはゲームを進めれば印象が変わる可能性もあるので、ぜひ皆様の目で直接確かめてみてください。
おわりに
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これにて『MHWs』の先行プレイレポートは以上になります。本作について現プレイ範囲でも非常に好感触であり、筆者としては過去シリーズと比べてもトップクラスに楽しめました。
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“気になるところはあったか?”と聞かれると“「傷口」のエフェクトが赤い影響でモンスターや環境によって見にくい”、“各武器種の使い方に関して、初心者への誘導が足らないかもしれない”といった細かい懸念点がありますが、それを差し引いてもアクションゲームがある程度好きなら手に取って欲しいタイトルです。
本記事で触れたシステムや触れられなかった要素に関して、中には結論を先延ばしたものもあり、これらは出来る限り発売後の総括レビューでカバーさせて頂く予定です。それではみなさんよい狩りを!
『モンスターハンターワイルズ』はPS5、Xbox S X|S、PC(Steam)を対象に2月28日発売予定です。価格はスタンダードエディションが9,900円(税込)。重ね着やフェイスペイントなどがセットになったデラックスエディションは11,900円(税込)。デラックスパックに後日配信予定のコスメティックパック2種がセットになったプレミアムデラックスエディションは13,900円(税込)となっています。
※UPDATE(2025/2/25 01:21):記事の動作に関する項の画像を1枚、適切なものに差し替えました。