【現地取材】ド派手なエンタメに潜んだ競技性!PvPヒーローシューター『FragPunk』が見据える日本市場での展望まで聞いた【レポ&インタビュー】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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【現地取材】ド派手なエンタメに潜んだ競技性!PvPヒーローシューター『FragPunk』が見据える日本市場での展望まで聞いた【レポ&インタビュー】

『FragPunk』での日韓メディア戦まで勃発!

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【現地取材】ド派手なエンタメに潜んだ競技性!PvPヒーローシューター『FragPunk』が見据える日本市場での展望まで聞いた【レポ&インタビュー】
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NetEase GamesおよびBad Guitar Studioが、PvPヒーローシューター『FragPunk』を2025年3月6日にリリースします。

『FragPunk』は5vs5のヒーローシューターで、その最大の特徴は試合そのものを大幅に変質できる「シャードカード」の存在です。両チームがラウンド毎にカードを選出し効果を発動するという要素なのですが、「自分が倒されたかのように武器を落とせる」「弾を当てた相手をスタート地点まで帰しちゃう」といった戦法レベルの効果から「異次元で行動する」「洪水を巻き起こす」などゲームそのものを変質させるカードまで存在。しかしながら非常に高い競技性も備えているシューターでもあります。

先んじてプレイフィールを述べると、『FragPunk』ではラウンド事に変わる環境に対応するよう思考を切り替えていく戦術性が面白く、同時にプレイスキルを極めていくことで生まれるであろう競技性の高さも感じさせるタイトルでした。

競技性の強いシューターとして基本となるポイントを押さえつつも、ぶっ飛んだ要素によって更なるエンタメ性をもたらした『FragPunk』を体感するため、今回はNetEase Games本社のある中国・杭州で行われた試遊、および開発者インタビューの模様をお届けしていきます。

◆派手なエンタメに潜んだ競技性!“ぶっ壊れ効果”の応酬で熱を帯びた日韓メディア戦

『FragPunk』はビジュアルからもわかる通り、ストリートアートのような世界観が印象的な一作。プレイヤーは「ランサー」になり、5vs5の試合に挑んでいくことになります。今回体験したのは、攻守に分かれて爆弾を設置・解除しあうモードです。試遊会には韓国メディアもお呼ばれしていたので、日韓でのメディア対抗戦となりました。とはいっても、どちらのチームもまだまだ『FragPunk』初心者。キャラクタースキルなどを習熟していないため、定石もわからず基本的には手探りでのプレイです。

ゲームを開始してみたところ、小さくまとまったマップや後述する「シャードカード」の存在で攻守ともに激しく入れ替わるため、バトルのテンポは早めといった印象。『FragPunk』は「シャードカード」の存在を省けば“新しいPvPシューター”といった感じのオーソドックスな建付けです。

平均して1,000時間の競技FPSをプレイしてきた開発メンバーたちが作ったとあって、ヒーローシューターに欲しいモノが過不足なく詰まった内容でした。少なくとも今回の試遊では「ヒーローシューターといえばこういう要素が必要だ」というダメ出しは発生しませんでした。

たとえばランサー(ヒーロー)たちは、武器をギター型ライフルに持ち替えて敵を一掃する“シューターとしての攻め”に特化したキャラや、防衛ラインを構築する機銃を設置するキャラ、周囲の敵をサーチする索敵スキルをメインに構成されたキャラなど、バラエティ豊かな面々で構成されています。

爆弾を設置できるのは二か所。AサイトやBメインといったエリア区分から、どちらを攻め守備するかが重要となってきます。この辺りはシューター好きなら遊びやすいスタイルと言えるでしょう。……しかし、「シャードカード」の存在が波乱を呼びます。

「シャードカード」はラウンド事に各種効果を発動させるカードです。効果は永続的にマップに残るものから、ここぞというときに発動するものまで様々です。

眼力も倍……?

たとえば“頭を大きくする”効果を持つ「ビッグヘッド」は永続効果。ラウンド中、敵味方の頭が巨大化するので純粋にヘッドショットの危険性が増す……だけではなく、「味方の肩越しに援護射撃する」ことも難しくなります。「これ以上壁から出れば遮蔽物に戻りにくくなるんだけど!」というところまで踏み込んで射撃をしなければならないため、地味に動きが変わってきます。「ビッグヘッド」カードが使われたラウンドではスナイパー的な動きより、早く撃てる武器やスキルの重要度が増すでしょう。

ヒーローシューターの定石を乱すカードでは「降伏詐欺」というものも存在。こちらはあたかも“自分が倒されたかのように武器を落とす”効果で、相手からすると「乱戦で5人中1人がダウンしたな!」と釣られてしまいます。FPSに慣れている人こそ引っかかってしまうのではないでしょうか。

「帰宅弾丸」というのも中々に面白い。こちらは“弾を当てた相手をスタート地点まで帰してしまう”という効果で、これを発動されると前線までダッシュで戻らないといけません。実際にやられた身からすれば、このタイムラグで戦力が減ってしまうので「こちらが戻るまで同じ戦況が維持されているかどうか」を考えなくてはいけない、さらに言うならもう一度進むルートに敵が密集していないか、などが気になりますね。

「シャードカード」にはコストが設定されており、上記のような細やかな(本当に細やかと言っていいのかわかりませんが)“戦術レベル”カードから、高コストになるとゲームそのものを変貌させてしまう効果まで存在しています。

特に日本メディアチームが「これはヤバいぞ」とざわめいたのが「次元の旅」というシャードカード。これを使用すると「相手がこちらを視認できない別世界」に移動できます。しかしこちらも相手が見えない。感覚としては「表の次元」「裏の次元」を移動するイメージでしょうか。

しかし重要な点は、銃弾は次元を超えて発射されているということ。つまり「裏の次元」から相手チームを撃つことが可能なのです。その相手がどこにいるかは見えないけど……。判断する手法としては、足跡や飛び交う銃弾などですね。存在感を消し、相手がいるであろう箇所に強襲を仕掛けるのはただそれだけで強い!

今回のプレイでこれが猛威を発揮したのは、防衛においてです。こちらの爆弾が解除されている瞬間はわかるので、ひとり「裏の次元」で待ち構えれば“爆弾周辺を掃射する”ことで、ほぼ確実に一人倒せます。

ちなみに、相手が選択したカードは試合前に確認が可能です。つまり相手が「次元の旅」カードを選択したなら、十全の注意が必要だということ。どこに敵が潜んでいるのかわからないので、陣形や攻め方から考えていく必要があるのです。もちろんこちらも「表の次元」「裏の次元」を行き来しながら索敵するのも、基本的かつ重要な対策になり得るでしょう。

これらの効果を発揮する「シャードカード」は、なんと150種類以上。もちろん“初めからすべてのカードを理解しないといけない”というシステムではないため、ゆっくりと覚えていけばいいのですが、ゆくゆくは「このカードが選択されたならこの戦法を選ぶ」といった定番の対処法や、あるいはメタカードなどが発見されていくはずです。

さて、気になる対抗戦は日本チームの「押せ押せ!」といったスタイルで序盤勝利を重ねたものの、後半には韓国チームも拮抗した展開で引き分けに展開しました。タイブレークはサッカーのPK戦を意識したという、『FragPunk』オリジナルとなる「デュエルモード」です。こちらは一転、シューターとしてのプレイスキルが純粋に試されるモードです。

「デュエルモード」は両チーム、出撃の順番を事前に設定しあって1vs1での決闘をこなしていきます。撃ち合いに勝ったプレイヤーは“削られたHP持ち越し”で次の選手と対戦していき、負けたら交代。そうして最終的に相手チームを全滅させたチームの勝利です。

これがまた面白い。筆者はシューターとしてのプレイスキルが上手いわけではないので「5番目の選手は嫌だ!」なんて思っていたのですが、腕に自信があるなら5番手、ラストの選手として待機するのも良いでしょう。あるいは1番手としてごぼう抜きを目指すか……!

惜しくもこの延長戦で日本チームは負けてしまったのですが、「デュエルモード」では案外「お前が失敗したせいで負けた」と思えないのもストレスがなくて良い感じでした。自分がもっと相手を削れていれば、相手の狙いを看破できていれば、そんな風に感じられます。勝てない相手でもあの手この手でHPを削れば、次戦が有利になるわけですしね。

『FragPunk』の総評として、そのド派手なエンタメ性に目くらましされ「エンタメに重きを置いたヒーローシューター」と勘違いしそうですが、良い意味で競技性が非常に高かったということ。もちろん遊んでいて楽しいゲームであることは確かですし、実際に楽しいのですが、“シャードカードを含め、やり込んだ強チーム”も出てくるだろうなと強く感じさせてくれます。

「次元の旅」などは警戒すべき射線のラインも変わり“まさしく波乱”と思えますが、「波乱が起きること」を含めて「定番」と捉えれば、上手いチームは本当に強くなれるはずです。観ていて何が起きているのかわかりやすいのも良いですね。テンポの良さも相まって、観戦に向いているとも思います。ちなみに、ランクマッチなどでは特定のカードを使用禁止とする「BANピック」システムもあるとのことで、ランダム性の中に競技としての指向性を働かす事ができるそうです。

“基本を押さえつつ、その中で波乱が起こるヒーローシューター”として純粋に楽しめると同時に、「新しく生まれた競技性の高いタイトル」としてチェックする価値は十二分にあるでしょう。

続いては、『FragPunk』開発陣へのインタビューとなります。Bad Guitar Studioにてクリエイティブディレクター&プロデューサーを務めるChang Xin(チャン・シン)氏および、アートディレクターのLI Yiming(リ・イーミン)氏率いるアートチームからお話を伺いました。

◆ポップでパンクなアートスタイルが目立つ“『FragPunk』らしさ”とは

――『FragPunk』のストリートカルチャーを思わせるグラフィックが印象的です。その一方でバンドルでは、スチームパンクに似た武器などがあります。これらの様々なテイストを混ぜて『FragPunk』らしさを出すために、どのようなことを意識しているのでしょうか。

アートチーム:『FragPunk』のオリジナリティを特化させるため、世の中の様々なアートスタイルを取り入れています。そんな中でちょっとポップで明るくなるような表現を意識して作っています。

いろんな要素を取り入れているんですが、どれもインパクトが強いアートスタイルばかりなので、頻繁に使うのではなくて大事なところで使うことによって、インパクトをより増すことができます。例えば、倒された時の「デス」の文字であったりとか、そういうポイントで皆さんを刺激することを目指しています。

――「ヒーローシューター」においてキャラクター人気はとても大事な要素です。チームの中で「特にこのキャラクターは人気が出るのではないか?」と予想されているキャラクターはいますか。

「アクソン」

アートチーム:もちろん全てのキャラクターが愛されるように作っているつもりですが、例を挙げるとしたら「アクソン」でしょうか。“ザ・パンク”という感じのキャラで、『FragPunk』に合ったキャラクターですので「ゲームを代表するような存在になってほしいな」という願望があります。

もう1つは、「ソナー」というキャラクター。彼女は非人類的な存在でもあるので、様々な世界を内包する『FragPunk』らしさを持っています。これからいろんなキャラを作って、様々な人に愛される存在を作っていきたいですね。

――シャードバースというパラレルワールドからランサーが集うというのが本作の設定とお聞きしました。パラレルワールドの数や設定などは決まっているのでしょうか。

アートチーム:各シャードバースについての設定はほぼ完成していて、シーズンごとに今後の拡張も予定しています。また、キャラ同士どこかテイストが似ているキャラもいて、そういうキャラたちは出身となるパラレルワールドが同じだったりもします。

――各パラレルごとにライバル関係などの関係性があるのでしょうか。

アートチーム:そうですね。すでに実装を予定しているキャラクターの中でも、ライバル関係や因縁を持っているというキャラがいます。例を挙げるとしたら、今実装しているフェイトとニトロの2人が親友で、一緒に戦ったりする関係性です。他には所属している組織などでも関係性のヒントが隠されています。

「フェイト」
「ニトロ」

――キャラクターのバックグラウンドとなるストーリーはどのように体験できるのでしょうか?

アートチーム:現在実装されているキャラクターのストーリーは全員完成しており、その表現の仕方として、まずゲーム内で明かしていくことがメインになります。そしてシーズンを更新していく際のトレイラー中であったり、マップ中で触れられるような仕掛けであったり、そういった形で垣間見える様にしていきます。

――本作は「Pay to Win」ではなくスキンなどの販売で利益を上げていくという話をお伺いしたのですが、キャラクタースキンなどもあるのでしょうか。さらにはどのような方向性を想定されているのでしょう。

アートチーム:スキン実装については武器スキン、キャラクタースキン両方を考えて制作しています。全体の方向性として「このキャラはこのスタイルだからこんな感じ」というものではなく、プレイヤーに新鮮味のあるスキンを提供していきたいですね。

そしてまた、先ほどのストーリーにも関わる所ですが、そのキャラの過去のとあるタイミングを再現するスキン、といったところでもキャラストーリーの補完を想定しています。

――『FragPunk』のスタイリッシュなパンク調デザインにはターゲット層などはあるのでしょうか。

アートチーム:厳密に「こういう層に向けた」というものはないのですが、どちらかというと若い層に受けてほしいと考えています。もうひとつ加えるとしたら、今現在シュータージャンルの他作品を見ると、どちらかというとシリアス寄りのデザインが多いと感じます。『FragPunk』のポップでオシャレなデザインで、このジャンルに馴染みがない方も楽しんでいただけたら幸いです。

◆目指すはeスポーツ展開!“バランス調整の難しさ”から“日本での展開戦略”までプロデューサーに聞いた

――『FragPunk』は遊んでいるだけではなく、観ていても盛り上がるゲームだと感じました。本作ではリリース後のeスポーツ展開を想定されていますか。例えば大会を開いたり、世界中の強いプレイヤーを集めてリーグを設立したりするプランについてお聞きします。

チャン・シン氏(以降「チャン」):eスポーツ展開は、もちろん目指します。そもそも開発メンバー全員がなんらかのFPS、もしくは競技性の高いゲームのファンです。そういう競技シーンを見て育ってきたので、「自分たちも大会を開きたい」という気持ちが強いですね。

しかしその一方で、『FragPunk』は他のゲームとちょっと違う要素があるので、実際にどういう形式で大会を開くのかというのは、これから要確認という感じです。目標のひとつとして、ぜひ開催したいです。

――どういった経緯で、競技性のあるFPSシューターにデッキビルディングという要素を組み合わせようと考えられたのでしょうか。プレイスキルとランダム性のあるシャードカードによるバランスについても、あわせてお聞かせください。

チャン:まずはシャードカードの使い方からご説明したいと思います。シャードカードにはコストが設定されていて、戦況に影響を与えやすいカードだとコストが大きかったりだとか、皆さんが持つコストポイントで使用していくことになります。強いシャードカードはそう何度も使用できない、という点でバランスをとっています。

さらに、ランキングに関わらないカジュアルモードではランダム性も強い傾向があるのですが、ランクマッチが導入された時には両チームがあらかじめ、1枚ずつカードを指定してBANできるような「BANピック」システムも想定しています。その選択の際にも両陣営が公平な戦いになるよう目指しています。

もちろん、環境を壊すようなカードを作らないようには考えております。リリース後、実際のデータであったり、皆さんからのフィードバックで調整を続けていく予定です。

――FPSシューターとシャードカードのバランスの難しさに関して、逆に捉えればゲームである程度の「定石」が生まれてきて「こいつは弱いぞ」となってしまったキャラクターでも、カードバランスの調整によって強くなる可能性もあると思います。そういった形でのバランス調整などは意識されていらっしゃいますか。

チャン:仰る通りです。全てのシャードカードがマップやキャラ、特定のスキルなどの何かしらに効果を及ぼすので、特定のキャラが特に強化されるカードも存在しますし、逆に言うと弱くしてしまうモノも存在しています。そういう形で戦術を練るのも『FragPunk』の楽しみかなと思っています。

――ゲームをプレイして、すぐに150枚のシャードカードが使えるのでしょうか。

チャン:初心者が開始時から150枚のカードを目にしたら何をしていいかと混乱してしまうので、レベルアップにつれて新しいシャードカードが解放されて、徐々にいろんなカードに慣れていく方向性を想定しています。最終的には7~8時間前後で全てのカードが使えるように設計しています。

――初心者が高レベルの人とマッチングした時は、使用できるカードはどうなるのでしょう。

チャン:それに関してはちょっと複雑ではあるのですが、低レベルの人でも高レベルの人とマッチングして、高レベルの人が持つカードが試合に出てくる可能性はあります。しかしカードの分配率と言いますか、出現率というのは、参加プレイヤーたちが同じカードを持っているかどうかで変動します。

例えば、低レベルのカードを全員が持っていたらそのカードの出現率は高く、一人だけ持っているシャードカードなら出現率が低いという具合ですね。

――選ばれるシャードカードは参加プレイヤーたちの保有するカードから割合で選ばれるとのことですが、事前にデッキを組んだり自分だけの効果を発動するなどの要素は想定されていますか?

チャン:今の方向性では、チームワークを重視して、チームみんなが同じカードを使って戦うことが先だと思っていますが、今後の実装においては、デッキ構築などでより個人の活躍が目立つようなモードの実装も考えています。

――シャードカードはシーズンのアップデートで何枚くらいの追加を想定されているのでしょうか。

チャン:まずはシーズンの期間から説明していきます。1シーズンが4か月続き、前半と後半で2ヶ月ずつに分かれます。その2ヶ月ごとに新キャラと新マップが追加されていくわけです。

2ヶ月ごとにシーズンのルールが変わりますので、そのルールに従って新しく3~40枚くらいのカードを追加する予定ですね。もちろんその中で既存のカードを取り除いたりだとか、今シーズンではこのカードを使用してほしいというシステムがあります。カードのラインナップにもある程度のローテーションを用意しています。

――4ヶ月で1シーズンとおっしゃっていましたが、新キャラが4か月で2人増えるとなるとバランス調整に苦心されるのではないでしょうか?

チャン:シャードカードのバランスと比べたら、ランサーはまだバランスを取りやすい方ですね(笑)。

もちろん、キャラ追加に伴う実際の試合やランキングに際してはバランスを保つことも非常に重要です。皆さんの声を元に調整していくなど、様々な対策を想定しています。しかし、そもそも一人のプレイヤーとして見た時「このゲームのキャラクターはまだ少ないな」と思っているので、今はまだランサーを追加していく段階でしょう。

シャードカードとランサーのバランスも含め、バランス調整がこのゲームで1番難しいところではあります。先ほどの「BANピック」システムを含めて、出来る限り皆さんが同条件で戦える土壌を目指します。シーズンごとに2ヶ月に1回アップデートのタイミングがあるので、そこでバランスを崩しているような状況を調整していきます。

しかしまず、特に強いプレイスタイルが確立された時には、それを他のプレイスタイルで対抗できるのかどうか判断します。「こういう組み合わせだったら絶対に勝つ」となったらそれを運営側で調整しますが、他プレイヤーのプレイスタイルで対策できるような戦術であれば、それも1つの遊び方として共有していきたいなという風に思っています。

――クローズドベータで多かったユーザーの反応についてお聞かせください。

チャン:若い人たちからは、スタイリッシュさやアートスタイルのよさを評価されました。そして短時間でラウンドをこなせるので、「爽快感を持って遊べた」いう感想も多かったです。

ネガティブな反応としては、やはりバランス面を言われました。例えばひとつのテスト環境では、あるスナイパーライフルが特に強かったため「これを使えば大体負けない」状況になってしまった。そこでスナイパーライフルの調整ができたので、ひとつ学べました。

あとはシャードカードの数値周りのフィードバックです。例えば「ヘッドショットのダメージが100%増加、みたいなカードはゲームをつまらなくするよね」という話を開発メンバーとしています。

ゲームモードについても結構ご意見をいただいていまして、例えば先ほど遊んでいただいた“爆弾を設置しそれを解除する”というモードについてですが、こういうルールに慣れてないユーザー層は必ずいらっしゃいますし、復活もできないのでプレッシャーがかかる。それでゲームモードを増やしてくれだとか、もうちょっとカジュアルに遊べるモードが欲しいというご意見もいただいています。

――今回、顔を大きくするシャードカードが「ヘッドショットが当たりやすい」以外にも、「援護射撃したいけど味方の頭が邪魔」といった思わぬ効果を持ち非常に楽しかったです。そういったカード効果をベースとしたイベントマッチなども行われる予定でしょうか。

チャン:そうですね。ゲームモードについてはローテーションでいろんな楽しみ方を提供したいと思っています。例えば先ほどおっしゃったように、ビッグヘッドというシャードカードを使ったモードが期間限定で遊べるとか、近接武器しか使えないマップであったりとか、皆さんがいつプレイしても新しい遊びができるようにしたいです。

――FPSシューターとシャードカードを混ぜる発想のきっかけなどをお教えください。

チャン:まず結論から申し上げますと、私はFPSゲーマーであると同時にカードゲーマーでもあるのです。ですので、自分の好きなこの二つをなんとか融合させたいと考えたのが発端ですね。

そしてスポーツ観戦も好きで、スポーツによっては競技性の高さに加えて、様々なルールもあるじゃないですか。試合のプロセスを変えるもの、例えばサッカーなどではペナルティといった様々な不確定要素があって面白い。そういったものからインスパイアを得て、FPSシューターにもランダム性を入れることはできないかと思いました。それでこそ、より競技性の高いゲームです。

でも、だからこそバランス調整が難しいのです。なかなか他のメーカーさんが大量のリソースを投入して作ってくれないわけで、じゃあ自分たちで作ろうと思い立ちました。

――競技シーンでも活躍した日本の人気ストリーマーの方が『FragPunk』の動画を上げて、開発陣からメッセージをもらったという動画があります。今後もストリーマーさんなどとはディスカッションし、ブラッシュアップされていくのでしょうか?

チャン:もちろんです!特に私たちのようなゲームには、インフルエンサーさんの声が非常に大事になってきます。良いことでも悪いことでも、私たちにとっては大事なアドバイスで、こういった形式のアプローチはこれからも行っていく予定です。

『FragPunk』自体がオリジナルIPですので、プロモーションで苦戦しています。なので今回のインタビューを含め、皆さんの力をお借りして、いろんな方に認知してほしいなと思っています。

――タイブレークに、延長戦ではなく「デュエルモード」を実装されたのはなぜでしょうか。

チャン:まず、対戦ゲームには必ず引き分けが存在します。そして勝敗をつけるために延長戦という形を取っている所が多く、場合によってはそれが非常に長く続き、退屈だと思ってしまう瞬間もあるでしょう。そこで私たちオリジナルの新しいルールでプレイできないかと考えました。サッカーを見ているときにPKが起こり、それと似た何かを入れられないかと考えました。

あと、日本の作品というと『ザ・キング・オブ・ファイターズ』が3vs3で対戦していくでしょう。実はそういった格闘ゲームからもヒントを得ています。だから残存HPを持ち越して次戦に挑むのです。

――タイブレークは純粋にプレイスキルが重要となります。シャードカードなどがある中で、実力が反映されるものとした意図はあるのでしょうか。

チャン:仰る通りで、通常のモードと違いプレイヤーに求められるものが違います。実はチーム内でも意見が分かれていて、今もその議論が続いています。しかし実際に実装してみて、いろんなプレイヤーさんに触ってもらったところ、すごく刺激的でいろんなドラマがプレイヤーの中で生まれているので、今の所は続けたいですね。

――ゲームモードは今後追加していく予定はありますか。

チャン:すでに開発に取り組んでいるのが「チームデスマッチ」、あとはデュエルモードをメインに作った「デュエルマスター」というモードがあります。正式リリース後もゾンビモードや、色んなエンターテインメントよりのものを追加していきます。

――ゲーム開発にあたって、日本のユーザーに対してどういう印象を持っていらっしゃいますか。

チャン:まず日本のFPSプレイヤー層は、世界大会への参加が少なめな印象があります。しかし一方でローカルの大会などは非常に盛り上がってもいるので、日本においてはこちらに力を入れる戦略を立てています。

さらに日本ユーザーは、一旦ゲームを愛したらずっと遊んでくれる傾向があるので、継続的に注力して日本ユーザーの関心を集め続けるというのが運営の戦略になっています。初めに大量のリソースを割いて、その後を考えていないというわけではありません。

――最後に、日本ゲーマーに向けてのコメントをお願いします。

チャン:日本プレイヤーの皆さんは本当に愛すべき存在だと感じているので、日本で成功したい気持ちを本当に強く持っています。少数精鋭のチームで作っているゲームだからこそ、例えばローカライズで足りないところがあったりとか、バランス面で至らない点があればフィードバックをいただけると嬉しいです。良いところも悪いところも、すべて耳を傾けるつもりです。

『FragPunk』を日本で長く運営できるように頑張りたいと思っていますので、よろしくお願いします。


『FragPunk』は、PS5/Xbox Series X|S/Xbox One/Steam向けに配信予定です。



提供: Netease Games


ライター:高村 響,編集:TAKAJO

ライター/ゲームライター(難易度カジュアル) 高村 響

最近、ゲームをしながら「なんか近頃ゲームしてないな」と思うようになってきた。文学研究で博士課程まで進んだものの諸事情(ゲームのしすぎなど)でドロップアウト。中島らもとか安部公房を調べていた。近頃は「かしこそうな記事書かせてください!」と知性ない発言をよくしている。しかしアホであることは賢いことの次に良い状態かもしれない……。

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編集/いつも腹ペコです TAKAJO

Game*Spark編集部員。好きな映画は「ダイ・ハード」、好きなアメコミヒーローは「ナイトウィング」です。

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