AAAタイトルからインディーに至るまであらゆるPCゲームを取り扱っているSteamは、審査と各種手続きを済ませればゲームをリリースできる間口の広いプラットフォームとして知られています。しかし、敷居の低さを悪用してゲームとしての体裁だけを整えつつ中身が伴っていないゲームが公開されることもあり、最悪の場合マルウェアが仕込まれていたこともありました。
良くも悪くも玉石混合の状態になっているSteamですが、見るからに怪しい無題のゲームが昨日2月26日にリリースされユーザーから注意喚起がなされています。なお、該当のゲームに関しては既に販売が中止されています。
ゲーム審査の隙をついた悪質行為
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2月26日にリリースされた一本の無題のゲーム。同作には、本来であればSteamストアで必須であるはずのスクリーンショットやデベロッパー名などが登録されていません。ストアページのレビューやコミュニティページでは一瞬だけ真っ暗な画面が表示された後に終了した、クラッシュしているのにタスクマネージャーでは起動し続けていたなどの声が挙がっています。
ゲームを起動できたという報告もあり表示された謎の画面ではテキストを入力できたようですが、胡乱な言葉が返ってくるのみでまともなゲームといえる代物ではなかった模様です。
ストアページで最低限の体すらなしていないこのゲームは、本来であればValveの審査を通過できません。ゲームジャーナリストのMellow_Online1氏によると、登録時にはスクリーンショットやトレイラーなども提出されていましたが、審査後に全て削除されたとのことです。解析によりAPIを使用していたことも確認されたようですが、詳細は不明です。
同作について調べる人々の間には同作は何らかのARGではないか?とする声も。この場合、「ストアそのもの」をゲームとして使用したタイトルであった可能性もあります。
しかしながらその手法については審査の仕様の隙をついた悪辣な方法でリリースされた形です。たとえ本当にARGを意図したタイトルであったとしても、同様の手法で今度は悪辣なマルウェアなどが配布されないともいえません。ValveはSteamを用いた悪質行為やストアの本懐そのものを曖昧にするような行為に対しては断固とした態度を貫いており、今回のような方法についても遠くないうちに何らかの手が打たれる可能性が高いとみられます。