Happy Hunting! この言葉が英語で「一狩り行こうぜ」に当ります。本連載の初回で『モンスターハンター:ワールド』を取り上げて以来、「モンスターハンターは多言語学習に効く説」を勝手に唱えて来ました。あらゆる面で前作から増量した『モンスターハンターワイルズ』はまさに新言語を学ぶには絶好の機会です。言語習得に有効な手法として、内容をよく見知っているマンガなどを使って他言語版を読む、というものがあります。「ロゼッタストーン式学習法」と呼べるこの方法だと、多言語収録が主流になったゲームは他の媒体よりも対訳が入手しやすいのが利点で、その中でもアクションジャンルであれば、ゲームプレイで文章を読む量が比較的少なく済みます。
『モンスターハンター』シリーズはあらゆる要素でアイコン化が施されているため、ストーリーラインは別として、ハンティングにおいては読めないことによるストレスはかなり軽減されます。かつ、直ぐに読めなくても勝手知ったる『モンハン』の文脈から自分で意味を推測して、逐一辞書を引かなくても読める単語を増やすことができます。難しいことを考えなくても、ゲームの専門用語を覚えられるなら他の言語を覚えるのも同じ事です。文字列に慣れるまでずっと目に触れるところに置いておく、その時間をゲームプレイで大量に稼げれば、「勉強」でなくても多くの学びを得ることができるでしょう。

Expedition:遠征
Hypothesize:仮定する
Carcass:死体、遺骸
Carving:剥取り
Authorize:認可する
Neutralize:無力化する
Provision:支給、食糧

White Wraith:白き孤影
Forbidden Land:禁足地
Keeper:守人
Avis Unit:鳥の隊
Astrum Unit:星の隊
Rubrum Unit:赤の隊
Turris Unit:塔の隊
FerrumUnit:鉄の隊

Lynian:獣人
Felyne:アイルー
Palico:オトモアイルー
The Training Area Meownager:トレーニング管理窓口
The High Purrformance Barrel Puncher:ネコ式訓練タルパンチャー

Seikret:セクレト
Kinsect:猟虫
Scoutflies:導虫
Hook Slinger:フックスリンガー
Pod:スリンガー弾
SOS Flare:救難信号
Ghillie Mantle:隠れ身の装衣
Binoculars:双眼鏡

Endemic Life:環境生物
Vigorwasp:回復ミツムシ
Wiggly Litchi:スタミナライチュウ
Wedge Beetle:楔虫

いざ英語をしっかり読むとなると、本作の読解レベルは比較的高めと言って良いでしょう。『モンスターハンター』は生物学の文脈が多いため、ラテン語に由来する言葉もそれなりに使われています。遠征隊のチームの中でも小隊ごとの「鳥」「星」「赤」などの区分けがあり、この名前を英語版ではラテン語で表記しています。環境生物の名前など、一見してどう読んで良いか分からないものも結構あります。
学習に大切なのは「分からない」状態の負荷をより多く持つことで、検索などを使ってすぐに調べて直ぐに分かってしまうと、脳は覚えることを怠けるようになってしまうのです。例えば、様々な変更があった『ワイルズ』の初回プレイでは、今までの馴れが通じなくて手間取る場面が多々あると思います。そういうとき、脳は必死に解決策を探るためにフル回転しています。そこにひらめきの「分かった」の快感が与えられると、その衝撃と共に記憶に定着します。しかし、人間分からないことが長く続きすぎるとイライラが募って学習意欲を削いでしまいます。「分からない」の時間を程よく確保した上で「分かった」を与えることが大事です。そのサイクルが短時間にどんどん来るのが、最近流行の「謎解き」になるのです。
本作では表示言語が日本語以外で13種類用意されており、未知の環境に飛び込んでみるのもまた一興。これまでに培った経験と勘を駆使して、この春から新しい世界を自分の手で開拓してみませんか?