タイトル発表から早3年、6月26日の発売が発表され、旅立ちの長い準備もいよいよ終わりが見えてきた『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』(以下、DS2)。地球と宇宙の始まりまで想起させる壮大なスケールの物語を描いた前作に続いて、本作ではどのようなストーリーが展開されていくのか期待が高まります。既に3本のトレイラーが公開されており、その中でも断片的ながら世界の輪郭が見える情報が盛り込まれています。アメリカ大陸を全て繋いだ先に何が待っていたのか?現時点で分かること、飛躍しつつ想像できることをまとめました。
【注意】
以降は前作『DEATH STRANDING』の内容や、本作について既に公開されている情報を深掘りする内容となっています。発売まで楽しみにしたい方、前作をこれからプレイしようと思っている方は閲覧に注意ください。
北米大陸はどうなっているのか?

前作『DEATH STRANDING』ではUCAの要請によって、サムはBRIDGESの一員として配達をしながら北米全体にカイラル通信を繋いでいきました。『DS2』の物語はUCAの完成より11ヶ月後から始まりますが、カイラル通信の利用によって状況は大きく様変わりしたようです。サムが開発に協力していた自動無人配送システム(Automated Porter Asistant System)が普及し、かつてのポーター達は役目を終えました。カイラル通信は既にメキシコまで設置されているようで、しかも大陸間で「繋がる」プレートゲートなるものも……。ネットワークは世界規模に広がりを見せ、人類はBTや時雨の脅威を回避することに成功しつつあるようです。さらに、ハートマンが「巨人」のBTに憑依して操っているような描写もありました。BRIGDESの技術はBTさえも支配できるようになってしまったのでしょうか。
ですが、思い出してください。カイラル通信の設置には「人柱」が必要なことを……。冒頭のシーンではニールが「メキシコから脳死した妊婦(スティルマザー)を密輸している」と告白しており、ビーチに設置されたサーバーに利用されていることは想像するに難くありません。さらには通信網の拡充に伴ってカイラル濃度も上昇して、異常気象やBTの出現も頻発しているようです。カイラル通信を繋げることは、第6の絶滅を引き起こしかねないビーチとの繋がりを増やしていくこと。前作ではすんでの所で回避できたはずだったのですが、『DS2』ではより大規模な利用を推進しているようで、それを可能にするほどの巨大なビーチは「誰のものか」が鍵になるかもしれません。
カイラルクリーチャーとトゥモロウ
エル・ファニング演じる「トゥモロウ」は、タールの蛹の中から出てくるという謎の人物。腕には吸盤のようなものが付いており、そもそも人間かどうかも不明です。BBポッドの中にあるタコ足など、これまで公開されたイメージには吸盤付きの触手が複数登場しており、タールマンが連れている猫型カイラルクリーチャー、ヒッグスの口から伸びる様子も確認できます。タールは生物の死骸から生成されるもの。つまり、完全に溶けてはいるものの「肉体」であることには変わりないのです。それが一種の「生命のスープ」になり、タールの中で時雨のような急速な時間経過が起こっているとしたら、生命の誕生から進化まで到達したとしても不思議ではありません。それがビーチを彷徨う魂の依り代になり得るとしたら……?

前作では生命の進化を探るエボデボ・ユニットが登場しました。タールの中でも「エボデボの方法論なら、どんな生物の遺伝子でも、適切な刺激を与えれば恐竜が再生できる」のかもしれません。頭足類の脳は人類と同様に発達する可能性が示されており、もし人類絶滅後の世界で文明が再興するとしたら、それを成し遂げるのは頭足類だろうという研究者もいます。ヒッグスやトゥモロウは頭足類から進化した「全く別のヒト」の身体なのでしょうか。
BRIDGESからDRAWBRIDGEへ
BBポッドから出されたルーは、サムとフラジャイルの下で大切に育てられていました。しかし、宿敵ヒッグスが率いる謎の組織によって誘拐、または殺害されてしまいます。ですが、その魂は再びBBポッドの中に宿っている様子。ルーは果たして生きているのかいないのか、そのどちらでもあり、どちらでも無いのか。現時点では不明ですが、少なくとも前作のようなルーとの交流は期待できなさそうです。それだけでなく、ルーはそもそもサムと出会う以前に焼却処分されていたという証言も飛び出し、何を信じて良いのかますます分からなくなります。

それでもサムは再びカイラル通信を結ぶ旅に出発します。今回の所属は「跳ね橋」を意味するDRAWBRIDGE、アメリカに専念するUCAから独立して活動する民間組織です。前作のBRIDGES(≒架け橋)と違って、必要とあらば繋がりを絶って悪いものの浸入を防ぐという、「排他」を想起する信条を掲げているようです。タールの海を航行する潜水艇「マゼラン号」を拠点に、異大陸へカイラル通信を広げていくことになるようですが、デジタルデラックス版に付属する装飾や、「マッドマックス」のジョージ・ミラー監督の起用、副題にもなっている「On the beach」に関連する小説「渚にて」から、ゲームの主な舞台はオーストラリア大陸になるのではないかと予想します。
「渚にて」は、核戦争で人類が滅亡しつつある中、シアトルから発せされた信号の源を、潜水艦に乗ってオーストラリアから探しに行くという物語です。映像化も何度も行われているほどの作品なので、あえてこれ以上の内容には触れませんが、『DS2』の参考に読んでみるのも良いでしょう。

トレイラーで気になったのは、生い茂る森や過去に放棄された車、建造物が残っている場面です。時雨が降る北米大陸ではあらゆる物が急速に朽ちていくので、カイラル技術が無ければ草木一本すらまともに生えることすらできません。つまり、少なからず時雨の影響を受けていない場所に行けるということです。北米以外にはそんなところも残されているのかと思うと、多少は希望が見えてくるのではないでしょうか。その希望を未来に繋ぎ止めることはできるのか、物語の展開に期待しましょう。