「itch.ioにて公開していたゲームが盗用され、そのままモバイル向けのゲームとして販売されていた」ことで先日大きな話題となった、インディーゲーム開発者のVoltekPlay氏が、DMCA申請を行ったAppleの対応を含めた現時点での最新情報及び同様の被害に困るデベロッパーに向けたTipsを公開しました。
コピーゲーム5つ中4つは削除もユーザーへの返金はなし
被害に遭ったVoltekPlay氏は、2025年1月にitch.ioにて開催されたゲームジャム「Brackeys Game Jam 2025.1」に『Diapers, Please!』というゲームを出展。しかし、公開後しばらくしてゲーム内容やアセットをそのまま流用したゲームがApp Storeにて販売されているのを発見。コピーゲームはTikTokの口コミなどで話題になり、調査会社Sensor Towerのデータによるとその中の1つはおよそ3万本も売り上げており、その被害額は推定で最高6万ドル(約900万)にのぼる可能性もあるとのことです。
同氏はAppleに対してDMCA申請を行い、数週間の活動によって確認している5本のコピーゲームの内4つがすでに削除済み。残る1つも現在争っている最中ですが、現時点でAppleが削除されたコピーゲームを購入したユーザーに返金を行っている報告がないこと、また、削除されたコピーゲームの配信元のアカウントが今もBANされていないことなどを報告しています。



盗用されたことへの対処方法のアドバイスも
VoltekPlay氏はRedditでの投稿の中で、今回盗用被害に遭ったことで自らが体験・実行したApp Store上での作業や経験についてまとめています。
被害を受けたらすぐにDMCA申請を行う。
Appleがコピーゲーム配信先に、DMCA申請ユーザーからのメールを転送。申請者には相手の連絡先が提供されるので、ゲームの削除などを要求する。Appleは被害者側が動かないと何もしないので、自身でアクションを起こすこと、メールのCCにAppleを入れることも重要。
コピーゲームを無意識に宣伝している配信者やインフルエンサー向けに連絡する。RedditやXなどを通じてコピーされたという事実を宣伝する。
VoltekPlay氏はRedditの投稿を通じてArs Technicaが記事を書いて、Appleに問い合わせてくれたことが大きなサポートになったと報告しています。リバースエンジニアリングへの対策として、スクリプトの暗号化やコードの難読化、免責事項の記載などを行う。
今回の最大のミスは対策を実行しなかったことと説明しています。こういった作業を行ってすべての被害を防げるわけではないものの、作業を困難化することで安易にコピーされ、勝手に配信されることを防げるのではないかとしています。法的措置に関して、ほとんど価値を見いだせない可能性がある。
VoltekPlay氏は、訴訟には勝利できても損害賠償請求は難しいと弁護士との相談で説明されたようです。また、こういったケースはほとんど架空のアカウントによるもので、犯人はすぐに新しいアカウントを作るだろうとのこと。



VoltekPlay氏は、現在自身の開発した『Diapers, Please!』を元にした『Ministry of Order』のSteamリリースに向けて作業中です。しかし、今回の騒動で話題になったものの「380件しかウィッシュリストが増えなかった」ことをあわせて報告しており、興味を持ったなら是非ともストアページを見てほしいと、Redditへの投稿でお願いしています。