E3で基調講演を行わない任天堂が目指す新たな戦略とは | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

E3で基調講演を行わない任天堂が目指す新たな戦略とは

1年に1度しかないお祭り騒ぎのような商談会でメディア向けの基調講演をしない――一見逃げ腰に見える任天堂の真意とは? 任天堂を取り巻く状況を振り返り、そのねらいを慮ってみましょう。

ニュース ゲーム業界
E3で基調講演を行わない任天堂が目指す新たな戦略とは
  • E3で基調講演を行わない任天堂が目指す新たな戦略とは
  • E3で基調講演を行わない任天堂が目指す新たな戦略とは
  • E3で基調講演を行わない任天堂が目指す新たな戦略とは
6月10日~12日にかけてロサンゼルスで開催される、世界最大規模のゲーム見本市E3 2014。任天堂は特設サイト「Nintendo E3 2014 Official Website」にて、今年のE3も去年に引き続きプレスカンファレンスは行わず、それに代わり「Nintendo Digital Event」をはじめとする幾つかのイベントを開催する旨を明らかにしました。

1年に1度しかないお祭り騒ぎのような商談会でメディア向けの基調講演をしない――それに不満を見せる海外メディアがいれば、「逃げたのか」と言ってしまう一部のゲームファンまで見られる始末。一見逃げ腰に見える任天堂の真意とは? 任天堂を取り巻く状況を振り返り、そのねらいを慮ってみましょう。



2011年10月28日。任天堂の「第2四半期(中間)決算説明会」で岩田聡社長はインターネットを通じて社長自らが任天堂の最新情報をお届けする「Nintendo Direct」が生まれた背景について以下のように語りました。

・投資家が知りたい情報とゲームファンが知りたい情報は重なる部分があるが、食い違う部分もある
・投資家への情報発信とゲームファンへの情報発信は明確に分けるべきではないかと考えている
・ソーシャルメディアの普及で、発信した情報が歪んだ形で広まってしまうのを何度か経験している

これらをまとめて解消するのが「Nintendo Direct」だったというわけです。マリオの生みの親であるゲームデザイナー宮本茂氏は「アイデアとは複数の問題を一気に解決するものである」と語っていますが、それにならうなら「ニンテンドーダイレクト」はまさにアイデアでした。企業間のビジネスをB to B(Business to Business)、企業と個人の消費者間のビジネスをB to C(Business to Consumer/Customer)といいますが、その区分けは「Nintendo Direct」の誕生でより明確になりました。

話をE3に戻しましょう。例年プラットフォームホルダーや大手ゲームメーカーが開催するプレスカンファレンスは、消費者(ゲームファン)も見られるとはいえB to Bに属するものです。だからこそB to Bはあくまで現地の会場で行うのみとし、E3を楽しみにしてくれる熱心なファンたちにはB to Cに特化した情報を届けよう……岩田社長の考えを振り返れば、昨年のE3でプレスカンファレンスが行わず「Nintendo Direct」が配信されたのはむしろ自然な流れと言えるでしょう。

その甲斐あってか、国内のニコニコ生放送では高評価を納め、海外でも"メガマン(ロックマン)、『スマブラ』新作に参戦!"の報を見て狂喜乱舞するゲームファンを映した動画などがネットで見られました。ですが、海外大手メディアのIGNはE3 2014で任天堂が配信する「Nintendo Digital Event」について「我々の期待にかなうものであるかはまだ分からない」と慎重な姿勢を見せています。新しいことが常に成功するわけではありませんが、「B to Bの場であるE3で、ゲームファンのためにB to Cも一緒にやろう」という両面作戦は逃げというより攻めの姿勢と言えます。

昨年に続き任天堂がE3で見せる、新たなプロモーション戦略の行方に注目しましょう。
《インサイド》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

ニュース アクセスランキング

  1. エクスペリエンス新作は2DフィールドハクスラRPGとDRPG!『モンカルファンタ 勇者と水晶の少女』『デモンキルデモン:黄泉1984(仮題)』新情報公開

    エクスペリエンス新作は2DフィールドハクスラRPGとDRPG!『モンカルファンタ 勇者と水晶の少女』『デモンキルデモン:黄泉1984(仮題)』新情報公開

  2. なんでも作れる工学サンドボックス『Plasma』Steamで無料化―“商業的に失敗”でサポート終了のため、注目を集めても難しいインディー財政事情

    なんでも作れる工学サンドボックス『Plasma』Steamで無料化―“商業的に失敗”でサポート終了のため、注目を集めても難しいインディー財政事情

  3. 「ゲームの主流を再定義する」なんて言ってない―『ラスアス』ニール・ドラックマン氏が海外ソニーインタビューの内容を否定

    「ゲームの主流を再定義する」なんて言ってない―『ラスアス』ニール・ドラックマン氏が海外ソニーインタビューの内容を否定

  4. 『マインクラフト』生みの親Notch氏新作ローグライクダンジョン探索ゲーム『Levers and Chests』ボクセルアートが目を惹く新たなスクリーンショット公開

  5. ゲームと暴力事件発生率の関係性とは?米大学が研究結果を発表

  6. 『スーパーマリオ ワンダー』3,499円、『龍が如く7外伝』2,299円など、ゲオ オンラインのセールソフトが更新! 1,000円以下のPS4ソフトも豊作

  7. シリーズ最新作『Call of Duty: Black Ops 6』最新実写トレイラー「The Truth Lies」公開!リリース初日にXbox Game Pass追加も決定

  8. 「非常に好評」ターン制ストラテジー続編『Warhammer 40,000: Mechanicus II』発表!

  9. 『龍の国 ルーンファクトリー』男主人公「スバル」、女主人公「カグヤ」が公開!和風な新武器「弓」や「呪符」を使って戦う“大地の舞手”

  10. 『Kerbal Space Program 2』開発元の行く末にやはり暗雲が…親会社CEOは閉鎖否定も社員のレイオフが開始へ

アクセスランキングをもっと見る

page top