【JRPGの行方】第6回 「JRPG」とは何か | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

【JRPGの行方】第6回 「JRPG」とは何か

そもそも「JRPG」とは何なのか? 単純にいえば「海外から見た日本のRPG」のことだ、ということができます。しかしこの「JRPG」という言葉には、それにはとどまらない含意がある気がするのです。

連載・特集 特集


■「JRPG」と日本のRPG

ここまで、私が日本のRPGをどのように捉え、それがどのように変遷していったかを書いてきました。主に取り上げてきた『ファイナルファンタジー』シリーズを筆頭に、これまで私が書いてきた「日本のRPG」というのは、実は「RPG」というジャンルにおけるひとつの形に過ぎません。元来、RPGというジャンルには、他のジャンル以上に不確定性や多様性があります。

さて、ここで「JPRG」です。

私が「JRPG」という表現を知ったのは、実はすごく最近でした。2009年末の『JRPGの下降は進化の不足が原因、未だに同じ体験しかできない』というの当サイトの記事が記憶に残っています。当時は、BioWareやBethesdaといった海外メーカーによるRPGが席巻しており、その対比として「JRPG」という言葉はしばしば否定的なニュアンスで使われていました。

では、そもそも「JRPG」とは何なのか? 単純にいえば「Japanese role-playing game=日本のRPG」の略称であり、「海外から見た日本のRPG」のことだ、ということができます。しかしこの「JRPG」という言葉には、それにはとどまらない含意がある気がするのです。

例えば、海外でも支持を集めた『Demon's Souls(デモンズソウル)』や、海外RPGの特徴を取り入れた『Dragon's Dogma(ドラゴンズドグマ)』は、海外でも「JRPG」と呼ばれることがありません。アクション要素があるから、というゲーム性の違いだけでは、“J”がつかない理由とはなりません。日本のRPGなのに、JRPGではない。その違いはどこにあるのでしょうか。

日本を代表するRPGである『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』シリーズは、これまで海外でも発売されてきましたが、日本ほどの成功を収めたとは言えません。また、日本で発売されるRPGの全てが海外でも発売されているというわけではありません。日本版を輸入するような好事家はともかく、多くの人にとって日本のRPGとは、一部の作品にすぎませんでした。

そこでは、マリオがアクションゲームにおいてスタンダードになったような一般化はなく、常に特殊なものとして扱われてきました。もともと日本のRPGが、海外の『Ultima(ウルティマ)』や『Wizardry(ウィザードリィ)』といった作品に影響を受けて生まれたにもかかわらず、です。

こと日本のRPGは、物語を伝えるというそのゲーム性によって、他のジャンル以上に高い言葉の壁に直面してきました。翻訳によって言葉の意味は理解できても、本質に触れることは難しい。そこには我々が海外RPGに触れるときのような、異文化体験や海外旅行気分といったものが、常につきまとっているのではないでしょうか。

《Kako》
【注目の記事】[PR]
コメント欄を非表示
※一度コメントを投稿した後は約120秒間投稿することができません
※コメントを投稿する際は「利用規約」を必ずご確認ください
  • 検索して偶然 2020-01-13 2:06:22
    オリエンタリズムなわけない……
    オリエンタリズムという概念は、日本のゲーム批評家・愛好家が海外のゲームユーザーからJRPG呼ばわりされてナイーヴに傷ついたからといって援用していい概念じゃないでしょう。そもそもまったく当たらない。
    ゲームに限らず漫画でもアニメでも多くの日本人クリエイターは自らホワイトウォッシュをやってしまう体たらくなのに。
    最後のJRPGの定義も噴飯物だと思う。
    ゲーム評論家なんてバ○しかいないんじゃないか?
    1 Good
    返信
    他の返信を表示 返信を非表示
  • もひかん 2015-07-19 12:04:34
    知り合いのゲーム好きアメリカ人が言ってたよ。ほとんどのアメリカ人はJRPGって言葉には特に意識してないとね。差別ではなく区別として使用してるんだと。つまり言い換えれば国産か海外産かの違いなだけ。で、その彼は言っていたよ。RPGは役割を演じるゲームだから何もプレイヤーだけでなくキャラが演じても立派なRPGだよと。それを聞いて外国人の方が視野が広く立派だなと思ってしまったよ。日本はゲームよりもユーザーが成長しないといけないなと思った。因みにその友人はFFとTESが好きとのこと。日本人でありながら国産を貶す暇があるなら、粗ばかり探す暇があるなら、どちらが優れてるとか劣ってるとかそんなくだらないことばかり語ってないで、ゲームの中からそれぞれの文化を感じることができるように感性を鍛える努力をしようぜ、文句ばかり言ってないでさ。
    10 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2015-03-13 15:30:32
    JRPGって聞くと、世界規模で見た場合、確かにある特殊な特徴を持ってるRPG(地域的にも)という風に言えると思うけど、それは逆に、それだけそのRPG群がある程度影響力を持ってるから、そういう呼称が付いたってことでもあると思うけどね。

    自分の感覚でいうと、過去のロマサガシリーズや天外魔境シリーズ、ポケモンシリーズも広義の意味ではJRPGだと思うし、むしろJRPGの白眉だと思う。

    リアルな3Dグラフィック表現を追求した大容量のゲームのつくり方は日本人には向いてないような気もするけど、むしろ今日本では据え置きゲーム機離れ、皆スマホや携帯機でゲームっていう世界的に見ても特殊な状況は、むしろこの民族性を象徴してるようにも思えるけどね。
    何かと国際市場が叫ばれる昨今だけど、何も欧米の真似しなくてもいいと思う。向いてることやればいいのよ。日本人は、いいRPGを全然つくれるよ。
    7 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2015-03-10 17:06:37
    まあ、はっきりいってしまうと、もう洋ゲーの後追いしても絶対勝てないよね
    世界観とか舞台設定が西洋的価値観の受け売りでしかない間はまず無理。所詮本場に対する亜流にしかならない
    より民族性を意識した作りに変えないと、再起は難しいんじゃないかな
    4 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2015-03-06 15:39:43
    どうでもいいけどこの記事って誰に向けて毎回書いてんだ。
    2 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2015-02-27 11:34:28
    >単純にいえば「Japanese role-playing game=日本のRPG」の略称であり、
    >「海外から見た日本のRPG」のことだ、ということができます。
    >しかしこの「JRPG」という言葉には、それにはとどまらない含意がある気がするのです。

    いや、JRPGは文字通り「Japanese role-playing game=日本のRPG」でしかないし、それ以上の意味を含めるべきではない。
    バイオウェアの中の人がJRPGに何かの偏見を持って発言したかもしれないし、この記事の著者も含め、皆それぞれJRPGに色んなイメージを抱いてるだろう。
    だからといって、各自がこの記事の著者のように、JRPGという言葉に勝手に意味を付加して用いてしまえば、議論は噛み合わなくなる。
    「セカイ系」でもそうだったが、言葉を勝手に定義するのは良くないよ。各自が言葉を勝手に定義し始めると、会話は成立しなくなるじゃないか。
    4 Good
    返信
  • こんなはずぢゃなかった 2015-02-24 14:41:37
    >『BioWareJRPGの下降は進化の不足が原因、未だに同じ体験しかできない』
    「ダンジョンマスター」あたりから、本当にそう思う。
    海外のRPGは目指しているものが高く、ハードの制約がなくなるにつれて理想に近づくべく革新的な作品にチャレンジするのに対して、初期のRPGを手本としてしまった日本のRPGは、その狭い世界の中から一歩も出ずに、本質ではない付加要素をてんこ盛りにし続けている。それを「オリエンタル」と言って肯定していいのかわからない。
    PSやXBOXのようなハード制約がないプラットフォームでは見劣りしてユーザが離れても、ハード制約が残っている携帯ゲーム機やスマフォで延命できてしまっているので、当分日本のゲームメーカーは姿勢を変えないと思う。
    10 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2015-02-24 13:19:47
    JRPG=コマンド式って感覚
    1 Good
    返信
  • 130 2015-02-24 5:34:44
    連投になるけど、必要なのはセンス以前に様々なチャレンジかもしれない。
    2 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2015-02-24 3:18:14
    >>127
    そうFFもゼルダも大きく評価はされてるが決してJRPGの典型ではない。
    ジブリの映画もそうだけど日本の代表みたいなイメージがあっても
    実は異端的なクオリティや方針によってイメージを維持してるのであって
    むしろ他多数の現状を危ぶむ素材として見る事もできる。
    リニアなストーリー重視ならそれはそれでストーリーや会話のセンスが求められる。
    特に日本人にとっては決して楽な道ではないね。
    それらの問題を克服できてるJRPGをたまにみつけると嬉しくなるけどね。
    4 Good
    返信

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top