メディック各キャラ使用感
著者: ヨシムネ
優秀賞(メディック賞)
私は今日までのプレイの9割以上の試合にハンター側の「メディック」として参加しました。
オンラインゲームプレイヤーであれば皆、「自分はこういうスタイルである」という思想のようなものを持っていると思います。『EVOLVE』に用意された4クラス。その役割分担は見事なバランスになっており、個性的ながらいずれも欠くことができません。その中に、必ずや自分のスタイルに合った役割が用意されていることでしょう。そして「これこそ自分の仕事!」と気持よくプレイできる瞬間が訪れます。
私で言えばそれはまさしくメディックでした。これまでも多くのオンラインゲームで必ずヒーラーや衛生兵等といった回復の役割を担当してきました。それゆえ、そういった立場の重要性をよく理解しているつもりです。今回は私自身の感想として、各メディックのキャラクター使用感を語ってみたいと思います。
◆ヴァル
ヴァルは初期キャラながら最も操作の難しいメディックです。ライフルで打って弱点を付与して敵の防御力を下げる、麻酔銃を打って移動を妨げる、メッドガンで味方を回復する。この3つはいずれも外すことのできない強力な武器となっており、常にどの行動がベストなのか考え、選択し続ける必要があります。
ただし、自身を守る能力はほぼ持たないため、狙われると瞬く間に倒されてしまいます。ラザラスのようにクロークを持っていないうえ、メッドガンの発動中の軌道は「メディックがここから回復していますよ!」と言わんばかりのエフェクトで、総じて「死にやすい」。そんなヴァルを守ってくれる存在は、高い壁や崖、あとはハンクのシールドくらいのものです。
ヴァルは、いわば「序盤戦に強い」という特徴を持っています。ハンター側の被ダメージの少ない第一形態モンスターとの戦闘では、多少メディックとしての仕事を後回しにしてデバフ(敵の弱体化)に専念することができるからです。ハンター側が「押せ押せ」の状態になるとヴァルは支配的な力を発揮できます。
ただ、第二形態以降のモンスターとの交戦時は話が変わってきます。戦闘開始前~開始直後にデバフの仕事を数秒できるかもしれませんが、交戦中は 必死にメッドガンのトリガーを引き続ける状態になりがちです。一瞬の隙を見抜いて、麻酔銃に持ち変え、動き回る相手に一発必中、というような精度の高い操作が必要になります。
第一形態のモンスターと戦うためには、ゲーム開始直後にしっかり追跡することが肝心です。つまり、追跡能力の低いパーティ編成であるとき、完全 ステルス移動が上手いモンスターを相手にするとき、ヴァルは途端に運用の難しいキャラクターになってしまいます。ヴァルを使う以上、仲間との連携をより大切に、最短時間で試合を終らせられるよう徹底すべきです。
ヴァル操作のコツは防戦一方にならないこと、これに尽きます。せっかく強力なデバフがあるのですから、その性能を発揮しなければ、劣化カイラと言わざるをえません。時には回復を後回しにして攻勢に出るなど、鋭い判断力が必要になります。
◆ラザラス
ラザラスはこのゲームで最もトリッキーなキャラクターです。ゲームのルールを根底から覆してしまう存在、とまで言ってしまえるでしょう。ラザラス・デバイスによるデスペナルティのない蘇生は、モンスター側から「今ある外皮ゲージを使ってハンターから1ダウンを奪う」「ダウンを奪って相手の進軍を遅らせる」等の行動の選択肢を強制的に排除させてしまうのです。
通常であればモンスターとの交戦は、「モンスターが与えるダメージ」 VS 「メディックが回復する体力」というレースになるわけですが、ヒーリングバースト以外の回復を持たないラザラスは早々にそのレースから降りてしまいます。
ラザラスが戦う戦闘の次元は、その少し上にあります。戦闘で死体となってしまった仲間をいかに蘇生するか、モンスター側からすればいかに死体にラザラスを近づけさせないか、という別軸の戦いが発生するわけです。モンスター側からするとこれは実質的な「拘束」にあたり、時にはモバイル・アリーナにも似た効果を発揮する場合があります。
モンスター側は死体となったハンターを「捕食」することで、ラザラスの蘇生を完全阻止することができます。しかしハンター側がダメージを与え続ければ、モンスターは捕食することはできません。それが理解できている他3人のハンターがいれば、ラザラスのゲームが始まります。
ラザラスとモンスターは戦闘とは別の読み合いをする必要があります。例えば、あえて蘇生の隙を作り、誘き出すことでラザラス本人を倒してしまう、など。解っていない相手にはとことん強いですが、ラザラスの行動を読まれてしまうと、途端に難しくなる印象でもあります。
また、モンスターを探している間、ハンター側が中立Mobからのダメージを負ってしまうと、その回復に大きな手間がかかってしまうのもラザラスの良くないところです。比較的慣れたプレイヤーでも中立Mobからダメージを貰うことは多々あり、半端な体力でモンスターと交戦するか、回復のために足を止めるかを選ばなければいけない時があります。
◆カイラ
メディックで唯一、ヒーリングバースト以外で自分自身を回復する能力を持っているのがカイラです。第二形態以降のモンスターに狙われても、スキル攻撃をしっかり避けながら自分自身にヒーリンググレネードを打ち続ければ、かなり長い時間を耐えることができます。
カイラは仲間の回復にも長けています。若干の軌道計算が必要ではありますが、慣れてしまえばかなりの遠距離の仲間を回復することも可能。狭い洞窟などでは複数の味方を同時に回復することも可能。つまりは、最も回復力があるのがカイラなのです。また、アクセラレーション・フィールドで移動速度を早めることにより、自分自身と仲間に一時的に高い回避能力を与えることができるのも大きな強みです。
つまりパーティが求めるメディック像というのが、カイラそのものと言えます。逆に言うとカイラ以外は満足にパーティ4人を回復することはできません。
特定のシチュエーションにだけ力を発揮するヴァルやラザラスと違い、どんな編成・局面でも安定して力を発揮できるのがカイラと言えます。ですがメディック以外の仕事はできません。敵の追跡や攻撃は基本的に味方任せです。アクセラレーションで多少移動速度を上げても敵の発見速度は劇的には上がりませんし、ナパームグレネードによるダメージはヴァルのライフルによる攻撃に比べるとあまりに寂しい。
しかしそれがどうだというのでしょう。メディックは最も狙われる立場で、メディックは最も倒れてはいけない存在です。だからこそ最も倒れにくいカイラを選択することは、もはや最適解と言い切ってしまって良いと思います。
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『EVOLVE』のキャラクターバランスは非常に出来が良いと感じています。個性付けができているわりに一方的すぎることもない。今回はメディック3キャラに絞って考えてみましたが、パーティ構成は1キャラ毎で考えるものではなく、4人揃って考えるべきものです。他プレイヤーの選ぶキャラクターとの相性についても熟考の必要があるでしょう。