
これまでにGame*Sparkでも何度かご紹介した新作アドベンチャーゲーム『35MM』が、5月28日よりSteamで配信開始となりました。この記事では本作のプレイレポをお伝えします。
『The Light』や『The Train』などの哲学的な作品を手がけたクリエイター、Sergey Noskov氏の新作となる『35MM』は、伝染病によって崩壊した世界を舞台にしたポストアポカリプスなサバイバルアドベンチャーゲームとなっており、鬱蒼とした森や人気の少ない街など荒廃したロシアを旅する2人の生存者の姿を描きます(操作キャラは1人)。

主人公(右)と一緒に旅をする男(左)

旅の始まり

木々に囲まれた森

静かな工場

人気の少ない街
ゲームプレイは一人称視点で進み、その道中で必要なアイテムを探すといった、よくある一人称視点アドベンチャーゲームのシステムを踏襲しています。どちらかと言えば雰囲気重視の作りで、探索や謎解きを含めたプレイヤーの操作は、物語を展開するための歯車の1つといった感じです。自由度に関してはあまり過度な期待を抱かない方が良いでしょう。登場アイテムも少なく、その殆どがクエストアイテムのように使う箇所が限られています。

引き出しの中にアイテムがあることも

メモや手紙で色々の物語を補足

斧で扉を壊す

住人同士のトラブルに巻き込まれることも……
正直に言えばゲームプレイの完成度は低く、「デフォルトの言語がロシア語(設定で英語に変更可)」、「画面の揺れが酷く、ベテランゲーマーでも酔う可能性あり」、「分かりにくいQTE」、「自動セーブのみ、しかも間隔が長い」などなど…多くの難点を抱えています。しかしながら、本作の退廃的な虚無感や淡々と語られる物語、空虚な廃墟といった全体的な世界観は何とも言いがたい魅力を持っており、筆者としてはクリアまで堪能することができました。また、どこかアンドレイ・タルコフスキー監督の映画「ストーカー」に似た印象があるので、もしかしたら参考にしている部分があるかもしれません。

一休み

森の中で軌道車を発見

懐中電灯が頼り

暗い地下
そして、ゲームの中で特に興味を引くのは主人公が持つカメラ。プレイヤーはそのカメラで風景を撮影し、画像データとして保存することができます。スクリーンショットを撮るだけならSteamの機能でもできますが、ゲーム内のキャラクターになりきってシャッターを切るという行為が没入感を高めます(ゲームを進めるための重要な要素というわけでもない)。ただ、仕様なのかバグなのか、記事執筆時点ではゲームを起動するごとに保存名がリセットされ、以前のデータを上書きしてしまいます(ファイル名が再び“Screen_1”から始まってしまう)。そのため、残しておきたいデータはゲーム終了後に退避しておく必要があります。

「ワンちゃんこっち向いて!」

信仰は救いとなるのか

おじさんもパチリ

撮影した写真は閲覧可能
恐らくプレイする人を選ぶであろう『35MM』は、PCを対象に1,280円でSteam配信中。前述のように難点が多いため、良質な“ゲーム”を求める方には気軽にオススメできませんが、筆者個人としては是非プレイして頂いて、この世界観を感じて欲しい作品です。それでは最後にいくつかのスクリーンショットをどうぞ。











トイレが汚いので名作かもしれません
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