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2Kの『マフィア III』ハンズオンで発見した、「映画的ゲーム」の新たな行き先

2KとHangar 13のクライムアクションアドベンチャーシリーズ最新作『マフィア III』。この度、大きな注目を浴びたTGSブースの出展にも合わせて、メディア向けのハンズオンイベントをこの手で体験できました。

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2015年9月に正式発表され、Game*Sparkでも開発者インタビューをはじめ、数々の情報を追いかけてきた、2KとHangar 13のクライムアクションアドベンチャーシリーズ最新作『マフィア III』。この度、大きな注目を浴びたTGSブースの出展にも合わせて、メディア向けのハンズオンイベントが実施。重厚な物語が紡がれる今作のゲーム序盤と、雰囲気バツグンのオープンワールド探索を楽しめる、世界的にも初公開となるゲームプレイデモをこの手で体験できました。

■誠実に描かれた、ヘヴィーなストーリーライン


「60年代後半」「ファミリー」「裏切り」といったキーワードそのものは「マフィアもの」の作品では常套句と言えるポイントかもしれません。しかし、「白人」と「黒人」の狭間で様々な葛藤を感じてきた主人公“リンカーン・クレイ”の生き様はなかなかに過酷で、舞台となる「ニュー・ボルドー」の闇社会での仕事や“ファミリー”の存在は、これまでのクライムアクションの中でもより強い「仲間との結びつき」が感じられるものでした。


こと歴史的な舞台を扱う作品ではその史実に基づいた「正しさ」や、それらを受け取るユーザーへのケアが重要視されますが、今作では暴力表現や人種問題の描き方において、「一部のプレイヤーが不快に感じる」ようなケースも視野に入れているのだとか。「誰もが気持ち良く受け入れられる表現」を用いてリアルな史実描写を削がず、このような手法に踏み切ったのは、正真正銘の“クライムアクション”を描こうとした、クリエイティブディレクターのヘイデン・ブラックマン率いる開発チームの、強い誠実さの現れだと言えます。

■“オープンワールドあるある”を超越した世界表現


そんな濃厚な世界にのめり込む為のキーとなるのは、広大かつ多様性に富んだ「ニュー・ボルドー」の街並みだけではありません。当時の流行を反映したBGMにポスターや雑誌と言ったアイテム達も、プレイヤーの没入度を高める為に一役買っています。当時の文化的背景に詳しくないユーザーでも、要所で流れるヒットソングを耳にしたり、コレクタブルアイテムである有名雑誌の表紙を見つければ、きっとノスタルジックな気分に浸れるはずです。

60年代の米国社会や文化に精通していなくとも「ローリング・ストーンズ」や「プレイボーイ」といったBGM/コレクタブルアイテムで当時の風景が想像できるのは、特に日本のプレイヤーにとってありがたいところ。コレクタブルアイテムやマップを探索していくやりこみ要素に興味があるなら、難なく重厚な世界観に入り込めること請け合いです。

■クライムアクションアドベンチャーとしての自由度


過去の『マフィア』シリーズをプレイしているなら、ある程度は想像できるかもしれませんが、本作は「60年代のアメリカでやりたい放題できるゲーム」ではありません。『GTA』シリーズのように、「ストーリーを進めずにメチャクチャな暴走や破壊を楽しむ」といったサンドボックス特有のプレイは、あまり推奨できないかもしれません。

もちろんシブい街並みでシナリオと関係のないカーチェイスを繰り広げることは可能なのですが、筆者個人としては「世界観をブチ壊したくない」といった気持ちが強く湧き上がりました。それほどに、本作のゲーム舞台やストーリー背景には創り込まれた雰囲気と格式が存在しているのです。


とは言え、尋問した相手を配下に加えるシステムや序盤から利用できる「武器車両」を始めとしたサポート的要素、追跡ミッションやクラブでの激しい銃撃戦からも高い自由度を感じられ、「主人公のロールを辿る」ための道筋が巧妙に同居していました。「やりたい放題」ではない程度に開けたゲーム性は、重厚な物語を紡ぐにあたって最重要なポイントと言えるでしょう。

■『マフィア III』はどんなゲーマーにフィットするのか


現代、過去、未来、ハイファンタジー、Sci-Fiまで、様々な世界観が、オープンワールドゲーム化されている昨今。『マフィア III』がどこに行き着くのか気になるファンは多いはず。本作はいわゆる「入れない建物」も少なくなく、マップや景色のディテールを極限まで追い求めるゲーマーにはフィットしないかもしれません。


グラフィックスの表現力だけで言えば『マフィア III』を越える作品は確かに存在するかもしれませんが、本作のこだわりはカットシーンでの「キャラクターモデルの表情」「映画的な演技・演出力」にも大きく表れています。「映画的」でもあり「ゲーム的」でもある、抑制されながらも自由度の高い世界“ニュー・ボルドー”。

そこでは、一方的にストーリー進行に追われるようなストレスを感じることなく、クールであり憎しみと葛藤に溢れた主人公リンカーン・クレイを自然と演じたくなることでしょう。そういった意味で、60年代後半の米国で“マフィア”になりきりたいゲーマーには、諸手を挙げてオススメできる作品だと言えます。


およそ6年ぶりとなるシリーズ最新作『マフィア III』は、PlayStation 4/Xbox One/PCを対象プラットフォームとして、日本国内で2016年10月27日にリリース予定です。

Game*Sparkでは、東京ゲームショウ 2016の出展レポート開発者インタビューも掲載しているので、あわせてチェックです。
《subimago》
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  • スパくんのお友達 2016-09-21 10:47:50
    本筋自体は別にリニアでもいいけど
    それならそれで自由にぶらつけるフリーロームをちゃんと入れてくれ

    前作があれだけ叩かれたのは作りかけのフリーモードがPC版で見つかって
    ひたすらアップデートで塞いでDLCで売るような真似したからだからな?
    2 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2016-09-21 9:37:22
    2が無料で貰えたのってGoldenJoystickAwardsだったっけか?
    積みっぱなしなのを思い出した
    0 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2016-09-21 8:32:15
    今年1番楽しみにしてるゲーム。
    3 Good
    返信
  • さん 2016-09-21 2:35:39
    ほんとに映画作っちゃったり、ムービー多様した映像鑑賞リニアゲーム作っちゃったりする某日本ゲームメーカーがやりたかったことをサラリとやってしまう海外勢。シナリオ面白そうだね
    5 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2016-09-21 2:26:00
    おうdoope!に記事の質で負けまくってんぞ。
    もうちょい頑張れや。
    13 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2016-09-21 0:27:33
    規制一個でもかけたら
    クソゲーになる可能性が
    6 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2016-09-20 23:31:09
    >>「一部のプレイヤーが不快に感じる」ようなケースも視野に入れているのだとか。
    >>「誰もが気持ち良く受け入れられる表現」を用いてリアルな史実描写を削がず、
    >>このような手法に踏み切ったのは、正真正銘の“クライムアクション”を描こうとした、
    >>クリエイティブディレクターのヘイデン・ブラックマン率いる開発チームの、強い誠実さの現れだと言えます。

    2Kのことだから、2K JAPANも問題無いと思うが、頼むぞ?
    このゲーム規制したら大変なことになるからな
    CEROもこれ読んどけ
    14 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2016-09-20 20:58:17
    そりゃGTA5みたいに遊べたら楽しそうとは何度も思ったけどさ。

    それより、その時代背景にあったマップ構成と雰囲気がいいんだよね。
    その雰囲気の中で濃いシナリオを進めるのが本当に楽しみだ。
    11 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2016-09-20 20:08:35
    mafia2はかなりリニアなゲームだったからオープンワールド勿体無いなって気もしたけどあの雰囲気とそのストーリー活かすためだけに必要だったんだなって思った
    3で変に誇大な収集要素とか御使いが入らなそうで安心した
    17 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2016-09-20 18:57:30
    オープンワールド系のゲームって、車の表現がgta4の頃(2008年)から全然変わってないのがこの作品限らず残念なポイントだわ、個人的に

    at車は運転が楽しくないし何より機微っていうか、雰囲気がまるで出ないんだよ。

    最低でも、
    ・mt運転(クラッチも)
    ・車内視点
    ・イグニッション(エンジンのオン、オフ)
    くらいの表現をしてくれたら、よりオープンワールドの世界に没頭できるのに。
    5 Good
    返信

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