2022年も終わりに近づいています。今年のゲーム業界は『Horizon Forbidden West』『ELDEN RING』『Stray』など、さまざまなゲームタイトルが登場して非常に盛り上がりました。2023年もきっと面白い新作ゲームが数多く登場し、ゲーマーたちを喜ばせてくれるでしょう。
Game*Sparkでは、新作ゲームのリリース後すぐのプレイレポートをお伝えする「爆速プレイレポ」を定期掲載しています。しかしレポート掲載後に早期アクセスから正式版リリースへと移行したり、幾度の大型アップデートを行い、紹介時とは大きく変わっている作品もたくさんあります。
以前紹介したあのゲームの“今”を伝えたいという企画、それがこの「再訪・爆速プレイレポ」です。今回は2020年9月22日に爆速プレイレポを掲載したオープンワールドRPG『Medieval Dynasty』の“今”をお伝えしていきます。
じっくり系村運営サバイバル『Medieval Dynasty』とは
パブリッシャーToplitz Productions、デベロッパーRender Cubeより2020年9月17日にSteam早期アクセスでリリース。プレイヤーは戦争によって家族も財産もすべて失った青年・ラシミールとして、かつて偉大な叔父が切り拓いた土地を舞台に一から村作りを行っていきます。
ゲームジャンルとしては、飢えや渇きなどのサバイバル要素を持つRPG。他のNPCとの交流や採取、クラフトなどの行動で経験値が貯まり、レベルアップすればスキルを覚えることが可能です。自身の行動経験値によって建築できる建物の種類が増え、プレイヤーが運営する村は少しずつですが豊かになっていきます。NPCと恋愛して結婚することもできます。
しかし、最初は自分の家すらも持っていない流れ者である主人公。少しずつ経験値や人脈、お金を貯めながら家を作りながら人を集め、やがては自分だけの大きな村を作ることもできるのです。村人に施設で仕事を与えることで生産品を作り、他の村で売ってお金を稼ぐこともできます。


2020年9月17日の早期アクセスリリース時点でも、Steamストアページに書かれているサバイバルや村の運営、クラフトなどの要素はほとんど揃っていました。決して派手なゲームではないものの、RPG視点でじっくり村作りを楽しめる作品として発売以来高評価を受けている作品です。

『Medieval Dynasty』はどう進化した?
ここからは『Medieval Dynasty』の主要なアップデートをいくつかピックアップして紹介しつつ、本作がどのように進化したのかを紹介。Steam早期アクセスリリース時のバージョンはアルファ0.1.0.0で、現時点のバージョンは1.5.0.4です。なお、本作はアップデート前にベータブランチでテストを行ってから正式対応しています。
◆2020年10月14日
まずはこちらを紹介しなくてはなりません。リリースからおよそ1ヶ月後に日本語やフランス語を含む多言語に対応しました。ただし決して翻訳の精度が高いものではなく、かろうじて中身が分かる程度と言ったものでした。
日本語の翻訳はその後のアップデートで改善され、現時点のビルドでは十分プレイ可能な内容になっています(不安定な部分も多いので完璧ではありませんが……)。
◆2020年10月28日
・季節イベントや装飾品の追加(V0.2.0.0)
本作はひとつの季節が3日間で過ぎていく方式なのですが、このアップデートで季節間などイベントが発生するようになりました。イベントではスキルを鍛えてくれるNPCが登場したり、嵐で村の建物に損害が出たりと、さまざまな内容が用意されています。
また、本アップデートから村を明るくするランタンなどの装飾品や、所持重量が増やせるバックなどのアイテムが実装。また、ゲームの難易度をカスタマイズするオプションも導入されました。



◆2020年12月22日
・馬の実装および乗馬システムの追加(V0.3.0.2)
◆2021年3月11日
・養蜂、酒造システムの追加(V0.4.0.2)
果樹園の種類も増えて、果実や蜂蜜を使用した酒造りが可能になりました。
◆2021年4月21日
・金属鉱石と金属アイテム生産の追加(V0.5.0.3)
マップ内に洞窟が追加され、銅や鉄などの鉱石を入手できるようになりました。村の生産施設に「鍛冶場」が追加されたことで、金属ツールを作成できるようになっています。
また、NPCからのアイテム売買の価格が変更されるなど経済システムを刷新しています。

◆2021年7月6日
・会話やギフトなど関係システムの強化(V0.6.0.5)
NPC異性キャラクターとの会話選択肢の大幅な追加や商人から購入できる贈り物の登場、結婚時のカットシーン追加など、NPCとの関係性をより改善するアップデートを配信。これが正式版実装前の最後の大型アップデートです。


◆2021年9月23日
・早期アクセス終了、正式版リリース(V1.0.0.5)
Steam早期アクセスからおよそ1年を経てついに正式版がリリースされました。正式版ではメインストーリーやNPCクエストラインが追加されたほか、フィールド上に敵対NPC「盗賊」が登場するようになりました(設定でON/OFF可能)。
また、新たな生産施設として「薬草小屋」が登場し、ポーションの生産や毒を付与した武器の製造などができるようになりました。そのほか多くの動物やアイテム、装飾品なども追加されています。

◆2021年12月16日
・三人称視点の追加(V1.1.0.2)


◆2022年8月11日
・相続人システムの実装(V1.4.0.3)
これまでシステムとして紹介されてきた「子どもへのプレイ引き継ぎ」がついに実装されました(子どもが成人していることが条件)。また、家族クエストの実装や会話の増加、子どもに仕事を与える見習いシステムなどを実装しています。
◆2022年12月21日
・村人農業システムの改善(V1.5.0.4)
現時点で最新アップデートです。村の施設に「農舎」が追加され、村人の畑や果樹園での仕事がより細分化されました。また、ウインターアップデートということで、雪玉や雪だるまを作れるようになるなどの遊び心も追加されています。

なお、本作は2022年から2023年にかけてのロードマップを公開中。コンソール向けにはPS5/Xbox Series X|S向けに2022年10月にリリースされています。2023年には鎧などの装備品追加、Co-opモード対応などを予定しています。
早期アクセス時点での中毒性は変わらずボリュームアップ!
現在の『Medieval Dynasty』は上記のアップデートにより、爆速プレイレポで紹介した時期よりもゲームの幅が大きく広がっています。元々メインストーリー兼チュートリアルが用意されていたので、早期アクセス時点でも生産や村作りなどの操作は比較的理解しやすい作品でした。
ただし、当時はまだやれること自体が多くはなかったため、村の運営やサバイバル要素はどうしても限定的にならざるを得ませんでした。動物や施設の数が増えたことでプレイの幅は広がり、ビジュアル的にも豪華になっているのはとても嬉しい部分です。お金を稼いで馬を買いたい!などの目標も立てやすくなっていると思います。


なお、ストーリー部分も少し変わっています。早期アクセス初期ではプレイヤーは叔父の形見であるハンマーを受け取る形でしたが、現在のビルドではその展開がなくなっています。代わりにチュートリアルの一環としてクラフトするようになっているので、ドラマ性よりゲーム性を選んだということでしょうか。
木を切り、石を拾い、土台部分から少しずつ家や施設を建設していく。村人を勧誘して仕事を与え、定住させる。プレイヤーはトップとして税金の支払いやリソース管理、季節ごとの適切な仕事の指示、他の村の人々との交流などを行って村を発展させていく。本作はこの繰り返し作業がなんとも心地よく、不思議な中毒性を秘めているのです。



ある程度親切なヘルプ項目や、商人や野生生物の位置などをNPCから尋ねられることで、クエストなどで混乱することも少ないと思います。日本語も十分理解できる翻訳内容なので、基本的なプレイに支障をきたすこともないでしょう。




ここまで紹介してきた『Medieval Dynasty』の“今”。派手ではないもののサバイバルや村運営、クラフトなどさまざまな要素を楽しめた中毒性の高いゲームは、各要素を充実させるアップデートを行い、魅力を損なうことなくボリュームのある作品に進化しています。
決してメインストーリーのボリュームが多いわけではなく、基本的にはプレイヤー自身が楽しみ方を見つける必要がある作品でもあります。今後はCo-opモードも実装予定ということで、今のうちに村の運営やサバイバルに慣れておくのもいいかもしれません。
個人的には村のトップとして次の季節に備えるため、狩りや採取、保存食の用意などの準備を村人とともに行う“ロールプレイ”を楽しむだけでも非常に魅力的な作品です。子どもが生まれたときはやっぱり嬉しいものでした。大きく育てよ、我が後継ぎ。


『Medieval Dynasty』はPC(Steam/Epic Gamesストア/マイクロソフトストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに配信中です。


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