街も人も事件も自動生成!オープンワールド探偵シム『Shadows of Doubt』名探偵スパくんの事件簿#1【プレイレポ】 2ページ目 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

街も人も事件も自動生成!オープンワールド探偵シム『Shadows of Doubt』名探偵スパくんの事件簿#1【プレイレポ】

事件だけでなく、その舞台となる街、そこに住む人々、その人生までもが作り出される本作。その魅力を探偵スパくんが活躍する物語仕立てでご紹介します。

連載・特集 プレイレポート
街も人も事件も自動生成!オープンワールド探偵シム『Shadows of Doubt』名探偵スパくんの事件簿#1【プレイレポ】
  • 街も人も事件も自動生成!オープンワールド探偵シム『Shadows of Doubt』名探偵スパくんの事件簿#1【プレイレポ】
  • 街も人も事件も自動生成!オープンワールド探偵シム『Shadows of Doubt』名探偵スパくんの事件簿#1【プレイレポ】
  • 『Shadows of Doubt』
  • 『Shadows of Doubt』
  • 『Shadows of Doubt』
  • 『Shadows of Doubt』
  • 『Shadows of Doubt』
  • 『Shadows of Doubt』

サイコパス殺人事件

ここからは世界を丸ごと作り直して再挑戦した物語になります。街の大きさ、ゲームの長さの設定は先ほどと同じです。

スパくんはゲムスパ市で活動する探偵です。季節は冬。夕暮れ時のストリートには冷たい風が吹きすさびます。さっきの世界では開始後すぐに事件が発生しましたが、今回はなかなか発生しません。世界の変化は事件の発生時刻にも影響するようです。

夜の21時を回った頃、ようやく殺人事件発生の連絡が入りました。事件名は「サイコパス殺人者」。いったいどんな事件になるのでしょうか。

事件現場はまたもやアパートの一室です。探偵スパくんは土砂降りの中をびしょ濡れになりながら現場に急ぎました。街の天候は刻一刻と変化します。土砂降りの雨の中を走っていたところ、ゲーム内でも実際に「びしょ濡れ」というステータスが発生しました。

ようやく現場に到着すると、規制線はまだ張られていません。この世界なら捜査を開始できそうです。喜び勇んで現場に足を踏み入れたスパくんでしたが、中で作業中だった擁民官2人に銃撃され、またもや病院送りにされてしまいます。

目覚めるとそこは役所の医務室でした。今回は高い治療費を払って即座に退院します。時計を見ると今はまだ事件発生当日の真夜中。まもなく日付が月曜日から火曜日に変わるところです。

「銃撃された傷がたった数時間で治るなんて、この世界の医療技術は素晴らしいスパ!」

再び事件現場に戻ってきたスパくん。入口には規制線が張られていますが、見張りはいないようです。思い切って部屋に侵入すると、不法侵入の警告は点灯しますが人はおらず誰かが襲ってくる気配はありません。

そのまま室内に歩みを進めると、リビングの片隅に女性の遺体が横たわっているのを発見しました。事件の被害者のようです。さっそく遺体の状況を調べると、被害者は刃物で惨殺されており、死亡推定時刻は月曜日の18時~19時15分と判明しました。

捜査で発見した証拠で自分が重要だと思ったものは、「事件ボード」と呼ばれる画面にピン止めしていかなくてはなりません。ピン止めされた証拠はカードで表示され、好きな時に確認したり、自分のわかりやすいように並べ替えたりできます。また、証拠同士の関連性はカードをつなぐ線で表されます。また、事件解決の際、犯人の名前など数項目を除き、該当の項目を告発するためには特定の条件を満たした証拠のカードを添付する必要があります。証拠が自動的にボードにピン止めされる例は少ないので、プレイヤーは無数の「証拠候補」の中から実際に関連した証拠を見つける必要があります。

被害者の周りを調べると、窓際に「資格がなかったんだ 仕事、求む 価値ある存在であれ」と書かれた名刺が落ちており、テーブルの上には謎の頭蓋骨が飾られていました。いかにも怪しいので証拠としてピン止めしておきます。

キッチンを捜索すると、ネームプレートのような形状の職場IDと財布、勤務当番表が見つかりました。職場IDと財布には被害者と同じ顔の写真が付属しており、これらが被害者のものだと特定できます。職場IDの情報から被害者の名前と職業も判明しました。被害者はとある企業の人事部長でした。

事件ボードにピン止めされた人物には、現在までに判明したプロフィールが自動的に記録されていきます。例えば、生年月日を特定すれば年齢が、手書きのサインを発見すれば筆跡が自動的に追加されるといった具合です。

さらに、探偵道具の「プリントスキャナー」で玄関のドアノブをスキャンしたところ、被害者のものではない指紋を発見しました。プリントスキャナーは指紋や足跡を検出する道具で、銃のように対象に向けるだけで証拠を発見できます。玄関付近の床からは被害者の足のサイズとは違う足跡も見つかりました。

「これは怪しいスパ……犯人のものかもしれないスパ」

最後に残った寝室を捜索すると、ベッドの脇のサイドテーブルに数字4桁のパスコードが書かれたメモと抗うつ剤を見つけました。寝室にあった、ちょっとレトロ風味なこの世界のPC「クランチャー」を起動し、メモのパスコードを入力するとあっさりログインに成功。被害者のメールが読めるようになりました。ところが、スパムメールが多すぎてどれが事件に関係あるメールなのか分かりません。

「クランチャー」のユーザーアカウントは必ず数字4桁のパスコードで保護されています。言い換えれば、パスコードさえ見つけ出せばPC内のデータをのぞき見放題になるのです。それらのデータのうちメールは印刷し事件の証拠とすることも可能です。パスワードのかかった自分のアカウントを前にどの世界の人間も考えることは同じようで、たいていの人はパスコードを書き留めたメモを身近な場所に置いています。

探偵の裏技

  • 被害者:人事部長

スパくんは初動捜査を終え、事件現場をあとにしました。地図で調べると、被害者が働いていたオフィスはここから近いビルの一室にあります。現場で見つけた勤務当番表には平日9時~17時と書いてあったので、朝になってから訪れるのが良さそうです。

本作ではいつでも街の地図を参照できます。また、事件ボードの証拠に含まれる地名をクリックするだけで、その場所の位置を調べることや、目的地までの道案内をさせることができます。

表に出ると土砂降りはいつの間にか雪に変わっていました。「空腹」と「喉の渇き」のステータスを感じたスパくんは近くのファストフード店に入り、ホットドッグとコーヒーを注文して一息つきました。

朝になり、被害者のオフィスを訪れたスパくんでしたが、9時を過ぎても入口が開く気配はありません。

「おかしいスパ……このオフィスは実体のないペーパーカンパニーかもしれないスパ」

入口の鍵をこじ開けて侵入したい衝動に駆られますが、廊下には監視カメラが2台も動いています。しかし、探偵スパくんはあきらめません。監視カメラを無力化するため、カメラにつながるブレーカーの箱をこじ開け、ブレーカーを落としたのです。廊下は真っ暗になり、監視カメラは動作を停止しました。

さらに、鍵のかかっている入口の鍵もこじ開けてオフィス内部に侵入します。慣れた手さばきで室内のブレーカーも落とし、室内の監視カメラも無力化しました。本作の鍵開けは鍵開け道具を消費して行います。鍵の強度によって必要な道具の数が変わりますが、ミニゲームのようなものはなく、一定時間待てば確実に鍵が開く仕組みです。

手早く室内を見て回ると、職場IDが置きっぱなしになっている机を見つけました。IDは会計士のものですがデータは抹消済みで、その隣には「保護観察通知」と書かれた書類が置かれています。

「会計士さん、なにかやらかしてクビになっちゃったスパ……」

さらに、机の周りに「1から数えるんだ」と書かれたメモが貼ってあるのを発見しました。机上のクランチャーを起動して会計士のアカウントを選択。パスコードは推測で「1234」と入力しました。

「ログイン成功。ビンゴスパ!」

さっそくクランチャーから情報を引き出し始めたスパくんでしたが、ブレーカーを落としたせいで真っ暗だったフロアに突然明かりが灯りました。あわてて机の下に身を隠したものの、誰かが来る気配はありません。どうやら、監視カメラが再起動しただけだったようです。

従業員データベースにアクセスし、保護観察通知に書かれていた差出人の名前を検索すると、この会社の取締役であることが判明しました。さらに、データベースから取締役と会計士のプロフィールと指紋を引き出します。指紋は事件現場のものとは一致しませんでした。

その時です。「そこに誰かいるのか?」と声がかかりました。隣の部屋にいた誰かがクランチャーに内蔵されているプリンターの印字音に気づいたようです。その人物はこちらの部屋に近づいてきましたが、そのまま部屋の電気を消して立ち去っていきました。

「危なかったスパ。そろそろ脱出する頃合いスパ!」

急転直下

  • 被害者:人事部長

  • 参考人:会計士

  • 参考人:取締役

会計士がなにかの事情を知っていそうな予感がするので、スパくんは直接会ってみることにしました。プロフィールに書かれていた住所を訪ねますが、ドアをノックしても誰も出てきません。あきらめて帰ろうとした時、新たな殺人事件の連絡が届きました。

「事件現場は……このアパートの最上階スパ!」

エレベーターに乗り現場に急行すると、入口のドアは閉まっており、擁民官はまだ到着していません。スパくんはドアの鍵をこじ開けようとしますが、オフィスに侵入する際に鍵開けの道具を使い果たしていて手も足も出ません。

仕方がないので体当りでドアを破ることにします。数回体当りして、ようやくドアが開きました。鍵がなくてもドアは体当たりで破ることができますが、非常に大きな音が出るので潜入には向きません。

部屋の中に入るとキッチンの隅で遺体を発見しました。被害者は見覚えのある顔です。なんと、殺されていたのはさっきのオフィスの取締役でした。遺体を調べると死因は毒。死亡推定時刻は火曜日の17時15分~18時30分です。今は火曜日の19時なので、まだ殺されてからあまり時間が経っていません。

遺体の周りを捜索すると、謎の頭蓋骨と「資格がなかったんだ 仕事、求む 価値ある存在であれ」と書かれた名刺を発見しました。第1事件現場にあったのと同じものです。そして、名刺からは第1事件現場のドアノブと同じ指紋が検出されました。2つの事件が完全に結びついたのです。

これは連続殺人事件スパ……

頭の中を整理していると誰かが部屋に入ってきました。とっさにキッチンの戸棚に身を隠してやり過ごします。侵入者が去った後、そっと入口に戻ると規制線が張られていました。早くも擁民官が到着したようです。一か八か見張りの擁民官の隙を突いて脱出し、背後に発砲音を聞きながら全速力で逃げ去りました。

擁民官の追跡をまいた後、スパくんはようやく留守だった会計士に会うことができました。2人の被害者について尋ねると会社の同僚との答えが返ってきましたが、それ以上の有力情報はありません。

やはり、さっきの事件現場を捜索しないと捜査の進展は望めないようです。しかし、事件現場の入口には見張りの擁民官が立っていました。

「別の世界で見た悪夢が蘇るスパ……」

幸いにも、スパくんは擁民官がよそ見をしているタイミングであっさり部屋に忍び込むことに成功。事なきを得ました。

部屋の中でまだ捜索していないのは寝室です。中に入るとダブルベッドがありました。ベッドの両脇にあるサイドボードの片方からは、取締役の名刺と一緒に抗うつ剤が見つかりました。第1被害者の人事部長も同じ薬を服用していましたが、関連性はあるのでしょうか。

もう一方のサイドボードには初めて見る名前の名刺がありました。名刺の住所はまさに今いるこの部屋で、職業は医務官とあります。勤め先は最初にお世話になった役所の医務室でした。名刺からは指紋が検出され、同じ指紋が部屋のあちこちから見つかりました。

寝室を出ようとすると、入口のドアの片隅に注射器が落ちていました。取締役は毒殺されていましたが、この注射器は事件に関係あるのでしょうか。プリントスキャナーを注射器にかざすと、果たして第1事件現場と同じ指紋が検出されました。さらに、注射器の落ちていた床から第1事件現場と同じ足跡までが検出されます。

「この指紋と足跡に一致する人間が連続殺人犯で間違いないスパ……」

迷探偵スパくん

  • 第1被害者:人事部長

  • 第2被害者:取締役

  • 重要参考人:医務官

  • 参考人:会計士

スパくんは事件現場を出ると役所の医務室に向かいました。すでに日付は変わり、水曜日の深夜です。まさか、また医務室にお世話になるとは思ってもいませんでした。

医務室のクランチャーは一般に解放されていました。従業員データベースにアクセスして医務官のプロフィールと指紋を特定します。指紋は連続殺人犯のものではなく、人事部長宅のあちこちで検出されたものと一致しました。勤務時間を調べると今日は朝から出勤する日のようです。

夜明けまで医務室で待っていると、医務官は律儀に出勤してきました。さっそくつかまえて話を訊きます。まずは取締役について尋ねると、同居しているパートナーで、何かに悩んでいるようだったと証言しました。次に人事部長について尋ねると、火曜日の3時に第1事件現場で酔っ払っているのを見かけたと証言しました。

「ちょっと待つスパ……。人事部長の死亡推定時刻は月曜日の18時~19時15分だったはずスパ。オマエはウソをついているスパ。オマエが犯人スパ!」

スパくんはすかさず手錠を取り出すと、医務官を逮捕しました。さっそく医務官を身体検査すると、財布と職場IDの他にサイレンサーつきのセミオートピストルが現れます。しかし、今回の事件の凶器は刃物と毒。ピストルは関係ありません。

改めて指紋を採取しましたが、従業員データベースにあったものと同じで、第1事件現場と第2事件現場に共通する連続殺人犯のものではありませんでした。さらに医務官を尋問してみますが、証言はさっきと変わりません。

きっと誤認逮捕スパ……申し訳なかったスパ!この通りだから許してくれ……くださいスパ!」

スパくんは平謝りすると、容疑不十分で医務官を解放しました。

to be continued...?

事件を作り出すオープンワールド探偵シミュレーション

本作はサイバーパンクSFの世界が舞台のオープンワールド探偵シミュレーションです。最大の特徴は街が丸ごと自動生成されることで、事件だけでなくその前提となる住民の人生や人間関係までもが自動生成されます。そのため、具体的な名詞は人によって異なり、探偵ゲームにつきもののネタバレの心配をあまりせずに楽しめるでしょう。

本作は探偵という職業のシミュレーションとしても楽しめます。サイバーパンク世界が舞台なので現実世界とは違う部分もありますが、無数のガラクタの中から有用な証拠を見つけ出す難しさや、街中の住民の中から真犯人を探し出す難しさは、他の作品ではあまり味わえない魅力だと感じました。

推理ゲームが好きな方、サイバーパンクSFが好きな方にお勧めの作品です。

スパくんのひとこと

ひどい目にあったけど楽しかったスパ!探偵さんの苦労がよくわかる素晴らしい作品スパ!

  • タイトル:Shadows of Doubt

  • 対応機種:PC(Steam

  • 記事におけるプレイ機種:PC(Steam)

  • 発売日:2023年4月24日(早期アクセス)

  • 著者プレイ時間:15時間

  • 価格:2,300円(2023年5月2日までは2,070円のセール中)

    ※製品情報は記事執筆時点のもの


風都探偵 Blu-ray BOX 上巻 [Blu-ray]
¥6,404
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
名探偵コナン(103) (少年サンデーコミックス)
¥528
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《FUN》

遊ぶより創る時間の方が長いかも FUN

元ゲームプログラマー。得意分野はストラテジーゲーム。ゲームライターとして活動する傍ら、Modの制作や有志日本語化に携わっています。代表作は『Crusader Kings III』の戦国Mod「Shogunate」。

+ 続きを読む
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top