今回は、FUTU Studioが手掛け、Astrolabe Gamesから発売された『シャンハイ サマー』のPC版をプレイ!本作は、2003年の上海を舞台に、明晰夢のような夏の12日間を辿るノスタルジックなアドベンチャーです。
過去に絵日記でもお届けした『完璧な一日』は、世紀末の中国を舞台にしたノスタルジー溢れるアドベンチャーでした。ノスタルジーといえば昭和なイメージがありましたが、今ではもう平成もノスタルジーの範囲内なんですね。確かにノスタルジーを感じるな……!
◆夢か現実か。不思議な世界で過去を想う
主人公の「屠 百川(と びゃくせん)」は、意識の境目である「境界」に囚われていた。言葉を話す不思議な黒猫が言うには、「最後の質問」に答えなければ現実世界へ戻れないらしい。
百川は、書店のカウンターでうたた寝から目覚める。先程の真っ暗な空間での出来事は夢だったのだろうか。黒猫が喋るだなんて現実ではありえない……。
どうやら今いる場所も現実ではなく、さきほど黒猫が言っていた「境界」の中なのだろうか。この書店の中に、抜け出すヒントのようなものが無いか探してみよう。特定のポイントにカーソルを合わせると調べられるようだ。古い本を調べてみると……
百川が書店で女性と話をしているシーンがフラッシュバックした。女性の名前は黒塗りされていてわからない……。
黒猫が言うには、「最後の質問」に関する情報は全て隠されてしまっているらしい。この女性に関する記憶を取り戻すのが、境界から抜け出す鍵になるのだろうか。
黒猫と会話をしていると、「蘇 静娴(そ せいかん)」という女性が現れた。猫と話をしていたのかと心配され、百川はとっさに誤魔化している。
僕なんて、実家で親と暮らしていた時より口数が増えているぞ。猫と話をするのはいたって普通のことだ。
特定の人物と出会ったり会話したりすると、手帳に情報が記入されていく。百川は、他人の情報をこまめに手帳に記入するタイプらしいな。
僕は人の顔が全く覚えられないタイプの人間なので、出会った人の特徴をメモしているんだけど……ボキャブラリーの貧困さ故にあまり意味をなしていない。
静娴との会話にも、謎の女性の名前が登場する。百川と謎の女性は高校時代によくデートをしていたようだ。
蘇 静娴と別れたあとは、高校からの友人である「若 奉一(じゃく ほういつ)」と合流し、晩飯を食いに馴染みの店へと向かう。
どうやら奉一も謎の女性の存在を知っているようだ。奉一いわく、高校時代の百川はひねくれていたらしい。そのこともきちんとメモに残す百川。ちょっと切ない。
自宅に戻り、これまで得た情報を整理しよう。文章の穴あきの部分にキーワードを選んで挿入するんだな。「高校生の私はひねくれていて、友だちもほとんどいなかった」……悲しい。
そして翌日。机の上に貼ってある付箋によると、この日は謎の女性と会う約束をしているようだ。出かける前に、室内の調べられるものを見ておこう。お、某テニス漫画っぽいポスターが貼ってあるぞ。目覚まし時計を調べ、次はベッドを調べてみよう。
ベッドを調べると、二度寝をして約束の時間を過ぎてしまい、有無を言わさずエンディングに突入してしまった。約束をすっぽかしたせいで謎の女性との縁が途切れてしまい、その後はとるに足らない人生を送ったようだ。
僕のこの人生も、大事な局面で二度寝してしまったせいでイベントフラグが折れ、バッドエンドルートに入っちゃっているのかもしれないな……。
バッドエンドで終わってしまっても、ルートの分岐がある場所からやり直しが可能だ。既読スキップ機能もあるので、やり直しもサクサク出来るな。そうなると、わざとバッドエンドになりそうな変な選択をしてみたくなるんだよね。
夜中に学校に侵入していた少年を見つけ、家まで送っていくか、放っておくかを選択できる。普通に考えれば、少年を送っていくのが正解のルートなんだろうけど、ここはあえて放って帰ってみた。
その後、少年は家に帰らず失踪し、少年と仲の良かった奉一はショックで実家に帰ってしまった。うむ、明らかにバッドエンドだな。それにしても、バッドエンドのたびに百川は窓辺でたそがれるのだろうか……。
4時間ほどでクリア出来ました。ボリュームは少なめですが、その分、中だるみせずに一気に遊べましたね。
淡々と過ぎていく日常の中で、百川と謎の女性との関わりが少しずつ明かされていきます。推理ゲームのような複雑な謎解きはないので、気軽にプレイ出来るのが良かったです。
体験版も配信されているので、本記事を読んで気になった方はぜひ遊んでみてください。短めの小説を読む感覚でサクッと楽しめます。
『シャンハイ サマー』は、PC(Steam)/PS4/PS5/ニンテンドースイッチ向けに配信中です。