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『モンスターハンターワイルズ』生存戦略から何を学ぶ?モンスターの観察から生態を考察する

みんなみんないきているけど別に友達でもな(以下略)

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モンスターハンターワイルズ』は「生態」の表現に今までに無く力を入れており、頭数を多く抱えた草食モンスターの群れや、ダイナミックに移り変わる季節など、眺めているだけでも興味深いモンスターの生活する姿を堪能できます。

出会い頭に狩猟許可を仰ぐのも結構ですが、モンスターにもモンスターなりの生きる理由というものがあります。彼らが平静時にどのような活動をしているのか、どのように進化してきたのか、じっくりと観察して推察してみます。

ケマトリス、ププルポルは共に獣竜種ですが、尾羽のような尻尾から引火液を分泌する点から、比較的近い種が環境によって分化したと考えられます。似たような尾はセクレト、前作のアンジャナフ、バフバロも持っており、獣竜種の中でも毛や尾羽を持つ近しいグループに括れるかもしれません。

ケマトリスは一見ニワトリっぽいですがそこは獣竜種、嘴は無く歯が生えた口になっています。ケマトリスはスカベンジャー、つまり自分からは狩らず死体を探して食べる習性であるとともに、植物や虫も捕食しているのが確認できました。代謝量が多いのか、縄張りを常に歩き回りながら水を飲みつつつまみ食いしています。尾から分泌したオイルや古くなった鱗を落とす仕草も見られました。

肉を食べる動物の糞は、血液の色が反映されて若干黒に近い色をしています。雑食性の場合、茶色と黒の割合を観察すれば、食性の割合も予測できるという訳です。見事POOPOTYに輝いたケマトリスの糞を確認すると、8割ほどの茶色に混ざって所々黒っぽいところがある感じです。繊維質も結構残っており、そうすると、この糞の主はなかなか死体にありつけず、普段はほとんどを植物食で凌いでいるのかも知れません。

ププロポルは獣竜種でありながら顎が細くなり、シギの嘴のように細くなっているのが特徴。シギの細い嘴は、深い沼地や湿原の中に突っ込んで探るのに向いています。ププロポルも同様に、大きな獲物を食べず、油の沼の中から小さな生物をつまみ出して捕食すると推察されます。油湧き谷はエビなどの甲殻類が多く、「噛む」よりは「つまむ」「挟む」に特化した口の形に進化したのではないでしょうか。

チャタカブラはオアシスを中心に大きな縄張りを巡回します。植物と虫だけで無く、石岩でさえも目に付いたものは何でも口の中に入れてしまいます。非常に大食いであるにもかかわらず、排泄行動はほとんど見られませんでした。唯一休息するのはオアシスの水の中で、隠れて潜っている間に排泄を済ませていると見られます。

強烈な冷気を纏うジン・ダハドは海竜種に分類されています。ヒートシンクのような板状の甲殻を持ち、空気が白くなるほど冷却できる一方で、赤熱するほどの高い体温を維持しているようです。狩猟が進んで甲殻を壊していくと、熱を抱えきれなくなり一気に放出する熱暴走攻撃を放ってきます。熱と冷気を持つ海竜種というとアグナコトルと同亜種。大きな背びれが特徴的ですが、耐熱のコントロールはこれを使って行っていると思われます。

生物のほとんどは熱を下げるための汗を掻かないため、耳などの薄い部分に毛細血管を通して放熱する仕組みを持っています。ステゴザウルスの背にある大きな板状の骨も同様の機能があり、血管が通っていることが近年改めて確認されました。

暑い地域に住む生物は耳が大きくなる傾向があり、逆に寒い地域では体温を逃がさないよう耳や尾が小さくなります。これを「アレンの法則」といいます。『モンスターハンター』の世界では、冷気を操る生物だとむしろ放熱部が大きくなる、いわば「逆アレンの法則」でしょうか。レイギエナは尾の皮膜部分に霜が付き、鋼鉄を纏うクシャルダオラも住む環境によっては冷気を纏うことが可能です。

ジン・ダハドはどちらかというとラギアクルスのフォルムに近いですが、突起部分の放熱機能を進化させて大きな甲殻を手に入れたようです。元々はアグナコトルと同様に熱に溢れる環境で生息していて、金属質の成分を摂取して利用するために体温を高く維持しているのではないでしょうか。それが寒冷地に進出するにあたって強力な冷却を獲得した結果、さらに高い熱を発生させるようになった――まるでハードコアPCゲーマーのような生態で、ちょっと親近感が湧きませんか?

群れからはぐれて必死に追いかける。
そんなところに乗っかると……

環境生物もしばらく観察していると面白い行動を見せてくれます。食虫植物がこの後どうするかというと…それは自分で確かめてください。

ハンターにとってモンスターは、あるときは打ち払う敵、あるときは生活物資のための獲物。ですが、決して「討つべき悪」ではありません。時にはこちらが謙虚に道を譲ることも必要でしょう。モンスターを丁寧に追っていくと、狩りに役立ちそうな相互関係もきっと発見できるはず。双眼鏡と隠れ身の装衣を準備して、トラッキングに是非挑戦してみましょう。


『モンスターハンターワイルズ』は、PS5/Xbox Series X|S/Steam向けに販売中。価格はダウンロード通常版が9,900円(税込)、デラックスエディションが11,900円(税込)、プレミアムデラックスエディションが13,900円(税込)です。


【Steam】モンスターハンターワイルズ
¥9,900
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
ライター:Skollfang,編集:蟹江西部

ライター/好奇心と探究心 Skollfang

ゲームの世界をもっと好きになる「おいしい一粒」をお届けします。

編集/十脚目短尾下目 蟹江西部

Game*Spark編集部。ゾンビゲームと蟹が好物です。以前は鉄騎コントローラー2台が部屋を圧迫していましたが、今は自分のボディが部屋を圧迫しています。

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